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日本の「軽トラ」がアメリカで人気!? バギーより安いのに快適すぎる“田んぼのベンツ”が最強なワケ

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  • 乗りものニュース
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アメリカの荒野に「軽トラ」がクール?

 2025年12月5日、トランプ大統領はSNS上で「TINY CARS(小さな車)を米国内で作ることを承認した」と投稿。現時点で対象車種が日本の軽自動車そのものであると特定された公式な資料は確認されていませんが、アメリカ国内では「軽トラ」に注目が集まっています。

Large figure1 gallery6スズキ「キャリイ」1999年型。いわゆる「25年ルール」をパスするモデルだ(画像:スズキ)

 通称は、日本語そのままの「Kei Truck(ケイトラック)」。SNSにはハッシュタグ「#keitruck」で、マッチョな大男が小さなキャビンに窮屈そうに、しかし嬉しそうに乗り込む動画などが投稿され、話題になっています。

 ただ、とうぜんながらアメリカにはフルサイズのトラックを始め、ピックアップトラックも各サイズあります。なぜ、わざわざ日本の軽トラが注目されるのでしょうか。その答えは、アメリカで普及しているUTV(多目的四輪車)との比較にあります。

 広大な農場での移動や作業用として、アメリカではUTVと呼ばれるバギーのような乗りものが使われています。しかし、UTVの新車価格は、エントリーモデル(入門用)でも1万ドル前後(1ドル150円換算で約150万円前後)からが目安で、装備が増えると2万ドル(約300万円)を超えるモデルもあります。

 対して日本の軽トラは、人気上昇により価格が高騰しているとはいえ、キャビン付きの高級UTVを買う予算があれば、状態の良い個体をお釣りが来る価格で入手可能なケースが多いのです。

 加えて、軽トラは雨風をしのげるキャビン付き(屋根&ドア)で、エアコンまで装備している個体がほとんどです。UTVより安く手に入り、UTVより快適に使える、軽トラはそういった立ち位置です。

 アメリカのなかでも、UTVを使うような仕事に就いている人、そういった郊外エリアに住む人などにとって、「この値段でエアコン付きの四駆が買えるなんて」と驚くほどの、最強のコスパと快適性を備えた乗りものに軽トラは映っているといえるでしょう。

 ただ、現地で使われている軽トラは総じて“ボロボロの古いもの”ばかり。「軽トラが人気ならば新車がないのはなぜ?」と疑問に思うかもしれません。実はそれにも理由があります。

古いからこそ乗れる「25年ルール」の恩恵

 アメリカでは、製造から25年を超えた車両は連邦の安全基準(FMVSS)の適用対象外として輸入できる枠組みがあり、通称「25年ルール」と呼ばれています。なお、排ガスについては別枠で、EPA(米国環境保護庁)の手続き要件があります。

Large figure2 gallery7UTV。通称「バギー」(画像:写真AC)

 通常、アメリカで販売されていない右ハンドルの日本車は各種基準の適合でハードルが高めですが、製造から25年が経てば輸入時の適合負担が軽くなります(公道での登録や走行の可否は州によって扱いが異なる)。

 そのため、いまアメリカに渡っているのは、1990年代後半の軽トラに加え、製造年月によっては2000年製の個体も“25年”の条件を満たし始めています。

「そんなに古くて大丈夫」と思うかもしれませんが、むしろそこが人気の秘密でもあります。90年代の日本車は過剰品質といわれるほど頑丈に作られ、構造もシンプルです。DIYが好きな人が自分で修理して楽しめる点もウケています。

 また、楽しみ方は作業用だけにとどまりません。迷彩柄に全塗装したり、車高を上げて大径タイヤを履かせたりと、実物大のプラモデルのようにカスタムのベース車両としても愛されています。

 エンジン音が静かなので(UTVと比べて)狩猟に使ったり、小回りが利くので大学やリゾート施設の構内移動に使ったりと、その用途は広がるばかり。若者がファッションツールの1つとして街乗りを楽しむ例も増えています。

 日本独自の規格で「ガラパゴス」だと思われていた軽トラが、海を渡って「有能なギア」として再評価されているのです。そう捉えると、普段は無味乾燥な街中の軽トラが、少し誇らしく見えてくるかもしれません。

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