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巡洋艦「ウクライナ」 沈んだ「モスクワ」同型艦ながらあまりに異なる航跡を追う

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  • 乗りものニュース
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ロシアの首都名を冠した巡洋艦「モスクワ」沈没の報は、大きな話題になりました。実はウクライナにも「ウクライナ」というフネがあり、しかも「モスクワ」と同型艦なのですが、その航跡はずいぶんと違います。

まぁ危ないよね…ミサイル盛りまくり巡洋艦「モスクワ」沈む

 2022年4月14日、ロシア海軍黒海艦隊旗艦「モスクワ」が火災を起こし沈没しました。ウクライナ軍のネプチューン地対艦ミサイルが命中したとされます。

Large 220420 ukr 01航行中のロシア黒海艦隊旗艦「モスクワ」(画像:ロシア国防省)。

 このロシアの首都名を冠したフネはスラヴァ級ミサイル巡洋艦で同型艦は4隻、そしてその内1隻が実はウクライナにあります。その名はズバリ「ウクライナ」です。

 スラヴァ級の排水量は1万2490トンと日本の護衛艦「ひゅうが」級の1万3950トンよりひと回り小さいイメージです。しかし「砲艦外交」という言葉もあるように艦艇は国力を誇示するシンボル的役割もあります。いかつい外見に国名や首都名を冠し、その押しの強さで海軍力を象徴するフネとなっているようです。

Large 220420 ukr 02「モスクワ」沈没地点と「ウクライナ」の位置(画像:Google Earth)。

 スラヴァ級巡洋艦は、アメリカ空母に対艦ミサイルの飽和攻撃をするために建造されました。

 船体のほぼ中央部左右に、連装の大型対艦巡航ミサイルランチャーが4基ずつ計8基、つまり16発ぶんものランチャーが並ぶ外見は、一度見たら忘れられない強い印象を与えます。このランチャーには射程700kmといわれる巨大なP-1000「ヴルカーン」対艦巡航ミサイルが装填され、飽和攻撃のため8発を一斉に発射できました。ちなみに16発を撃ち尽くしたら次弾はありません。

 羅列されたミサイルランチャーは、脆弱性も指摘されていました。対艦ミサイルは炸薬と燃料が詰まった危険物の塊なのです。アメリカ海軍関係者がスラヴァ級を視察した際の「被弾したら危なくないですか?」という質問に、ロシア海軍関係者は「被弾する頃には全弾あなた方の空母に向かって飛んでいっていますよ」と言ったとか。

 今回の「モスクワ」の沈没はこの対艦ミサイルの誘爆が原因ともいわれますが、詳細は分かりません。

一方「モスクワ」の同型艦「ウクライナ」は竣工にも至らず

 スラヴァ級は1976(昭和51)年から建造開始された、2022年現在で新型とはいえないフネです。同型の4隻は、1番艦が今回喪失した黒海艦隊の旗艦「モスクワ」(竣工1982年12月30日)、2番艦北方艦隊「マーシャル・ウスチーノフ」(竣工1986年9月15日)、3番艦太平洋艦隊の旗艦「ヴァリャーク」(竣工1989年12月25日)、そして4番艦がウクライナに移譲された「ウクライナ」(未成)になります。

Large 220420 ukr 03ムィコラーイウ造船所の「ウクライナ」(画像:Валерий Вильяльд、CC BY-SA 2.5〈https://bit.ly/3EuH0m4〉、via Wikimedia Commons)。

「ウクライナ」は1984(昭和59)年、「コムソモーレツ」の名でソビエト連邦ウクライナ共和国(当時)のムィコラーイフ造船所で起工されましたが、1991(平成3)年にソ連が崩壊してウクライナが独立した当時も建造中でした。

「コムソモーレツ」はそのままウクライナに移譲されますが、スラヴァ級は建造費ばかりか維持費も莫大に掛かります。ウクライナの経済状況も最悪の時期にあたり完成度70%で工事は中止されます。その後1998(平成10)年にウクライナ海軍へ編入しようと艦名を「ウクライナ」に変更しますが、予算不足で工事は再開と中止が繰り返されます。はっきり言ってウクライナには持て余すフネでした。

 2010(平成22)年にはロシアの協力で完成させ、ロシアに再移譲も検討されました。2013(平成25)年9月には10億ルーブル(約20億円)でロシアが引き取ることで合意したとも報じられましたが、その後のクリミア問題で両国関係が悪化しこの話は立ち消えになります。もしこの時、ほとんど捨て値でロシアに引き渡していたら、この海域でロシア海軍はスラヴァ級2隻体勢となり、今回のウクライナ戦争にどんな影響を及ぼしていたでしょう。

国名を冠するフネなのに…クリミア問題以降の「ウクライナ」

 ロシアとの対立が深刻化した2014(平成26)年になって、ウクライナの軍需企業「ウクロボロンプロム」が「ウクライナ」を技術的に完成させることは可能とウクライナ政府に打診しましたが、やはり予算が最大のネックとなりました。

 そもそも経済が最悪の時期、ウクライナは旧ソ連から引き継いだタービンエンジンなど造船技術を次々と売却しています。その中にはスクラップとして中国に売られ、中国海軍最初の空母「遼寧」となったアドミラル・クズネツォフ級「ヴァリャーグ」があり、広く知られています。また中国海軍の多くの駆逐艦がウクライナ製ガスタービンエンジンを搭載しているとされます。ウクライナのビジネスが、現在のインド太平洋地域に少なくない影響を与えているのも事実です。

 結局「ウクライナ」も、2017年3月に非武装化しスクラップとして売却することに決定します。2018年にはブラジル海軍が取得に関心を示していると報じられていましたが、この話も立ち消えになりました。

Large 220420 ukr 04ムィコラーイウ造船所に係留された「ウクライナ」の衛星写真(画像:Google Earth)。

 着工から38年を経ても完成させられることなく歴史に翻弄され、引き取り手のないまま現在もムィコラーイフ造船所に係留されたままで、WEBやアプリで閲覧できる衛星写真でもその姿が確認できます。今回のロシアによるウクライナ侵攻にも当然、関与できていません。

 ムィコラーイフは、クリミア半島の西側付け根の激戦地で知られるようになったヘルソンに近く、被害を受けている可能性もあります。ロシア軍の攻撃目標になっているかはわかりませんが、もし国名を冠した「ウクライナ」が沈められたら、「モスクワ」ロスのようなショックが巻き起こるのでしょうか。

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