子どもの自己肯定感を高め、親のイライラも減る!「子ども向けお片付けファイル」が大ヒットするまで
- マイナビウーマン |

妊娠期から子育て期の困りごとに対し、「あってよかった!」という商品・サービスを取り上げて紹介する連載『神商品&サービスの開発秘話』。今回はサクラクレパスの「こまごまファイル™」をピックアップ。子どもの自発的なお片付けを促す工夫や、ユーザーの声を反映させながら成長を続けた変遷について、お話を聞きました。
今回取り上げる商品:こまごまファイル
こまごまファイル
子どもが自主的に折り紙やシール、紙などを整理整頓できるジャバラ式の収納グッズ。「文房具総選挙2025」(主催:『GetNavi』『GetNavi web』)では、総合3位、収納する部門で1位を受賞。また『文房具屋さん大賞2025』(主催:扶桑社)でも卓上収納賞第2位を獲得。
お話をうかがったのは……
サクラクレパス マーケティング部 商品企画三課 人見遥奈さん
クーピー®︎の新商品担当から「おかたづけシリーズ」や「家事が楽になるシリーズ」など、新しいコンセプトの商品開発する部署へ異動。商品の企画に携わる中で、整理収納アドバイザーの資格を取得。「こまごまファイル」は前任の開発者から引き継ぎ、現在に至る。
サクラクレパスだからできた「子ども向け収納ケース」
ーーサクラクレパスが手がけた「こまごまファイル」は、数々の文房具賞を受賞し、大ヒット商品となりました。開発のいきさつについて教えてください。
人見遥奈さん(以下、人見) この商品の開発は、子育て中の親御さんの「折り紙やシールの片付けがすごく大変!」という声がきっかけでした。たくさんの折り紙を重ねて収納するようなタッパー状のケースでは、お子さんの欲しい色や柄を探す際に全部出してしまい、散らかって片付けがさらに大変になる、という“負のループ”が課題として見えてきました。そこで、既存の商品とはまったく違う、「サクラクレパスならではのお片付けファイルを作ろう!」と考えたのが、「こまごまファイル」の始まりです。
実は、この「こまごまファイル」を含む「おかたづけシリーズ」は、整理収納アドバイザーの水谷妙子さんに監修していただきながら、「子どもが進んでお片付けができて、親も『よくできたね!』と褒めてあげられるような、親子の暮らしを応援する商品」というコンセプトで始まったものです。
ーーなるほど。普段から子ども目線の商品を作っているサクラクレパスだからこそ実現できる商品を目指したんですね。開発スタート時の社内での反応はいかがでしたか?
人見 すでに「おかたづけシリーズ」は2、3商品ほど発売していたのですが、まだ在庫が残っていたこともあり「この企画続けて大丈夫?」「本当に売れるの?」というような声も出ました。ただ、すでに市場にはファイルやボックスの収納グッズは販売されていたものの、子ども専用としているものはほとんどなかったんです。そこで、サクラクレパスなら、最初から「お子さま用です!」と打ち出して販売できるのが付加価値になると見込んで、実現に向けて企画が走り出すことになったんです。
実際に我が子が使う様子を観察して見付けた「使いづらさ」
ーー開発は順調に進んでいきましたか?
人見 前任の開発者の話を聞くと、当初はなかなか大変だったそうです。試作品は、全部で10種類ほど。あるとき、子どもが開いた絵本を立てて、その内側で工作をしていたのを見かけたそうなんです。そこから、「自立できる絵本のような型が良いのではないか?」と考えて、自立できるジャバラ型ファイルの試作が始まりました。
開発者は、実際に自分のお子さんに数々の試作品を使ってもらい、その様子を動画で撮影しながら丁寧に観察したそうです。どの場面で使いづらそうにしているのか、どういうタイミングで使用するのかなど、家庭内での使用状況を見守ることで、改善のヒントが見えてきました。
たとえば、従来の「重ねる収納」では目的の色紙やシールが見つけにくく、使い勝手がよくないことが判明しました。そこで、ジャバラ式で立てて収納できるようにし、どこに何があるか一目でわかるように改良したのです。その結果、お子さんも欲しいものをすぐに取り出せるようになり、使い勝手が良くなりました。
さらに、前任の開発者のお子さん自身も「ここが使いにくい」と率直な意見を伝えてくれたそうです。「使いづらい!」という我が子からのひと言は、母として改良への大きなモチベーションになり、より良い商品を目指す後押しになったと聞いています。
ーー子どもからのフィードバックを元に開発を進められたのは心強かったですね。数々の試作を重ねて商品が完成するまでに、一番苦労された点はどこでしたか?
人見 やはり、子どもたちが自分でできる、というポイントです。親にやらされて、工作も中途半端なところで切り上げられて、片付けも途中で嫌になって……ではなく、自分で「こまごまファイル」を開けて、創作を始めて、納得できるところで終わったら自分で使って戻す、という商品ができれば、子ども達の自己肯定感の成長や、創作への意欲向上にも繋がると考えたんです。そのためには、子ども目線でとことん“使いやすさ”を追求するのが必要でした。
試作品では、ハンドルが収納できるもの、マジックテープではなくゴムで留めるものも試しましたが、やはり子どもの手では使いづらいようでした。少しでも面倒だと思われると使わなくなってしまうので、「どうすれば使い続けてもらえるか?」については細心の注意を払い、こだわって製作しました。
試作品の数々。子ども自身が使いやすいものを目指し、さまざまな形状を試作した
ーー子ども向けということで、耐久性も気になります。耐久テストなども行われましたか?
人見 はい。耐久テストは行っています。高いところから落としたり、強く引っ張っても裂けないか調べたり。さらに、素材の中に金属など毒性のあるものはないか、などの安全性のテストもしているので、安心して使っていただけます。
子どもが片付ける、パパ・ママの心理的負担も減らせる
ーー部屋や机が片付くだけではなく、教育的な側面や、お母さんの心理的負担もなくなりそうだと感じました。
人見 折り紙やシールなどこまごましたものを、疲れた親御さんが一日の終わりに片付ける姿を思うと、精神的な負担が大きいことは想像できます。家事と育児と仕事をこなし、やっとゆっくりできる……となったときにこまごましたもので部屋や机が散らかっていると、ドッと疲れが増すと思うんです。
そこで子どもが自分で片付けられたら、親御さんの気持ちも楽だし、「よくできたね!」と子どもを褒めることで、子どもの自己肯定感も上がり、親子の絆も深まるのでは、と考えました。開発者は子ども向けの商品として販売することで、親子双方にとってより快適な暮らしやコミュニケーションに繋がるはずだと思ったそうです。
ーー前任者から企画を引き継がれて、不安なことはなかったですか?
人見 実は私はまだ独身で、子どももいないんです。この「おかたづけシリーズ」自体、子どもが自主的に片付けをして親が褒めてあげられる、というコンセプトなのですが、子どものいない私には想像できない部分も多く、引継ぎ直後は不安もありました。
でも、家事と育児をこなしながら、仕事も新商品の企画をはじめ、お子さんへの取材と試作を重ねて努力されていた前任者の姿を見てきたので、私もがんばろうと思えました。子どもがいる生活が想像できない部分もあるのですが、それだけに商品のモニター調査などで「子どもたちはどうやって使ってくれるのかなぁ」と見学するのがとても楽しみなんです。子どもって、想像もつかない予想外の行動をしますよね。毎回驚きますし、勉強になると感じています。お片付けについてももっと勉強したくて、最近、整理収納アドバイザーの資格も取得したんですよ(笑)!
子ども向けなのにSNSのバズで見えた想定外の使い方
ーー2024年4月にいよいよ「こまごまファイル」が発売開始されますが、当初の反応はいかがでしたか?
人見 SNSで「こまごまファイル」をご購入されたお客さまの投稿が何度かバズって、その都度売上が伸びていきました。そこで、サクラクレパスの公式アカウントでも「こまごまファイル、みなさんなら何を入れますか?」と呼びかける投稿をしてみたんです。すると、みなさんそれぞれ「ふりかけを入れたい!」「処方箋を分けて入れると便利そう!」「領収書を分類するのにも使えるのでは!」など、いろんな使い方のアイデアが寄せられ、とても驚きました。その後も子ども向けの商品だとパッケージに書いてあるにも関わらず、購入された方がさまざまな使い方を発見し、シェアしていただけたのが本当にありがたかったです。
ふりかけの収納例を公式Xで紹介(サクラクレパス公式Xより引用)
ーーヒット後、商品の認知度や販売状況はどう変わりましたか?
人見 劇的に変わりました。発売当初の売上のほとんどは自社ECサイトやAmazonなどが中心でしたが、話題になる前と後では認知度がまったく違いました。文具店さんも「こまごまファイル入荷しました!」とSNSに投稿してくれることも増えました。その後も文房具総選挙や文房具屋さん大賞の受賞なども相まって、どんどん露出が増え、直接手に取っていただける機会が増えたことで、より多くの方々に「こまごまファイル」の魅力が伝えられるようになったと思います。
ーー最初は折り紙やシールを入れる想定のサイズで販売されましたが、現在はA4の書類が入る大きいサイズも販売されていますね。この商品展開に至ったきっかけは何だったんでしょうか?
人見 ECサイトにて「こまごまファイル」をご購入された方に向けて今後どんなアイテムが欲しいのかアンケートを取ったところ、自分用に使える大きいサイズが欲しい、との声がたくさん集まったんです。
通常サイズとA4サイズの違いを比較。大きさがだいぶ違うことがわかる(サクラクレパス公式Xより引用)
そこで、仕事の書類や学校のプリントが収納できる、A4サイズの販売を開始しました。最初に当社のECサイトでテスト販売したのですが、500個が数分で完売して。ちょうど、前任者の商品開発までを取材した映像がテレビで放送されたタイミングだったので、その影響が大きかったと思います。
ーー最初に発売された小さいサイズの「こまごまファイル」はカラー展開も豊富ですが、人気のカラーはどれですか?
人見 圧倒的にホワイトですね。次はダークグレーとパステルブルー。4月に発売して、4月末頃にはお客さまからカラー展開のご要望が届いていました。その中でも、くすんだニュアンスカラーがいいのか、パステル調がいいのか、またさらにアンケートを取って色合いを決めました。
こまごまファイルのカラーラインナップ
ーー開発時は子どもの声を、販売後もお客さまの声を大切に、商品に反映されているのが人気の秘訣であることがよくわかりました。大人気商品に成長した「こまごまファイル」ですが、今後さらに展開の予定はありますか?
人見 カラー展開を出したばかりなので動向を見ながら、さまざまな角度から検討していきたいと思っています。
目指すは「ひとり1個持ち」
ーー機能としてはシンプルな商品だからこそ、今後どんな展開が続くのか楽しみです。最後に、今後の目標を教えていただけますか?
人見 目標は“ひとり1個持ち”。みんなが専用のこまごまファイルを持ち、片づけるのに困るこまごまとしたメモやチケットの半券、レシートなどを簡単に収納できる生活になればいいなと思っています。お客さまから「こんな使い方もあるよ!」と教えていただいたことがヒットに繋がったと思っているので、子どもが楽しく片付けできる収納グッズとしてありつつ、今後もいろいろな可能性を探っていきたいと思います。
ココがポイント!パパ・ママたちに支持されるヒミツ
Point1:子どもでも中身が取り出しやすい
ジャバラ状で中身が広く開くので、どこに何が入っているのか一目瞭然。取り出したいものがすぐ見つかります。
Point2:ハンドルが付いているので、持ち運びがしやすい
子ども部屋からリビングへ、友だちと一緒に遊ぶために自分のお気に入りのスペースへ。ハンドルがあるので、どこにでも持って行きたくなります。
Point3:面ファスナーなので開け閉めも簡単でストレスフリー
ゴムやスナップボタンなど、少しの手間でも子どもは嫌がるケースもしばしば。ペタッと貼るだけの面ファスナーは簡単で、「最後までおかたづけができた!」という達成感にもつながります。
まとめ
子どもの自己肯定感や、安心して育児ができる環境まで整える収納グッズ「こまごまファイル」は、働くママ社員とそのお子さんとが二人三脚で開発した商品でした。子どもと向き合い続けたサクラクレパスだからこそ実現できたアイテムかもしれません。ユーザーの声を聞き、さらに進化を遂げる予定に、今後も目が離せません。
サクラクレパス おかたづけシリーズ こまごまファイル
https://www.craypas.co.jp/products/feature/okataduke-series/
(取材・文:米田ゆきほ 撮影:宮脇茂雄(アワード) 取材協力:サクラクレパス 編集:マイナビ子育て編集部)
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