浜松発車の「サンライズ瀬戸・出雲」次の駅は400km先の姫路? 時刻表に出ない運転停車
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駅に停車したのにドアが開かない、開閉ボタンもない……夜行列車や京王線、阪急京都線などでも体験するこの現象は「運転停車」です。能生駅ではかつて、“勘違い”から珍事も起こっていますが、そもそも「運転停車」とは何でしょうか。
浜松の次、豊橋に運転停車する寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」
2020年5月から、JR西日本が夜間も走る新たな長距離列車「WEST EXPRESS(ウエストエクスプレス)銀河」を運行します。
ところでこうした夜行列車ですが、深夜に「列車が駅に止まっているのにドアが開かない」ということがあります。
寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」は、途中で何度か運転停車する(恵 知仁撮影)。
たとえば、東京駅発の「サンライズ瀬戸・出雲」を時刻表で見ると、午前1時12分に浜松駅(静岡県浜松市)を発車後、次の停車は姫路駅(兵庫県姫路市)に午前5時25分です。時刻表では、列車はこのあいだの駅には停車しないという表記ですが、実はその途中にある豊橋、岐阜、米原、大阪の各駅に停車します。ただし、前述の通りドアは開かず、乗客が乗り降りすることはできません。
では、なぜ列車は停車するのでしょうか。その理由は「乗務員の交代」です。
浜松駅を出た「サンライズ瀬戸・出雲」は、東海道・山陽本線を西へ進んでいきますが、このうち途中の米原駅(滋賀県米原市)まではJR東海の、米原駅から先はJR西日本のエリアです。そこで、米原駅でJR東海の乗務員からJR西日本の乗務員に交代するため、停車するのです。ただし、列車が米原駅に着くのは午前3時20分ごろ。駅は営業していないため、列車はドアを開けません。
踏切を正常に作動させるため 「京王ライナー」の運転停車
また、浜松駅から米原駅までは約190km、米原駅から姫路駅までは約200kmあります。仮にこの2区間をそれぞれひとりの運転士が担当するとなれば、2時間以上運転し続けることになり、負担がとても大きくなります。そこで、豊橋駅(愛知県豊橋市)や岐阜駅、大阪駅でも乗務員が交代するのです。
ちなみに、JR東日本とJR東海の境界である熱海駅(静岡県熱海市)でも乗務員の交代は行われていますが、ここは乗客が乗り降りできる停車駅です。
このように、乗客が乗り降りする以外の目的で列車が停車することを「運転停車」と言います。
東京近郊では、たとえばJR新宿~東武日光・鬼怒川温泉間を結ぶ特急「日光」「きぬがわ」が、JR東日本と東武鉄道の線路が接するJR東北本線の栗橋駅(埼玉県久喜市)で、乗務員交代のため運転停車します。
座席指定列車「京王ライナー」などに使われる京王5000系電車。通過扱いの明大前駅に運転停車する(2017年7月、恵 知仁撮影)。
一方、京王電鉄では乗務員交代のためではない運転停車が見られます。2018年にデビューした座席指定列車「京王ライナー」は、明大前駅(東京都世田谷区)に運転停車しますが、その目的は駅の前後にある踏切を作動させるためです。
明大前駅は「京王ライナー」が運転されるまで、特急を含めすべての列車が停車していたことから、踏切が作動するタイミングは列車が同駅に停車することを前提に設定されています。そのため、「京王ライナー」も同駅にいったん停車する必要があるのです。
なお、付近は高架化工事が進められており、完成すれば踏切がなくなるため、運転停車する光景もいずれ見られなくなるでしょう。
行き違い、スイッチバック… 様々な理由がある運転停車
関西でも、阪急電鉄の十三駅(大阪市淀川区)で運転停車が見られます。同駅が2019年3月、京都線の京都河原町方面行きホームに可動式ホーム柵を設置したところ、ほかの車両とドアの位置が異なる6300系電車の観光特急「京とれいん」は乗客の乗り降りができなくなったため、同駅を通過することになりました。ただし、先述の明大前駅と同じく、十三駅のすぐ北側にある踏切を正常に作動させるため、列車はいったん運転停車します。
JR土讃線の坪尻駅。写真は、通過列車を待避するため引き上げ線に運転停車中の列車内から撮影したもの。本線が左下から右上に通っている(2018年10月、伊原 薫撮影)。
なお、運転停車するのは駅のホームに限ったことではありません。たとえば、単線区間を走る列車が反対方向から来る列車と行き違うため、停車駅ではない待避場所に停車するケースが挙げられます。また、山岳路線などで列車の進行方向を変えながらジグザグに進む「スイッチバック」運転でも、乗務員が反対方向の運転席に移動するため、簡易的な停車場などに運転停車します。
さらに、電化区間から非電化区間へまたがって走る場合に、その境界となる駅などで、電気機関車からディーゼル機関車に付け替えるべく運転停車することもあります。
「ミス能生」まで出迎えた特急「白鳥」、しかし…
ところで、運転停車といえば新潟県糸魚川市にある国鉄(現・えちごトキめき鉄道)の能生駅で、これにまつわる珍事が発生しています。
かつて能生駅は国鉄北陸本線の駅で、停車するのは普通列車だけでした。ところが1961(昭和36)年のダイヤ改正で、北陸本線を経由して大阪~青森・上野間を結ぶ特急「白鳥」が運行されるようになったとき、能生駅に掲示された時刻表に、大阪行き上り「白鳥」の時刻が書かれていたのです。
というのも、北陸本線のこの区間は当時単線で、多くの駅に行き違い設備がありました。上りの「白鳥」は能生駅で下り「白鳥」と行き違うため、運転停車するダイヤになっていたのです。運転停車ですから同駅は通過扱いとなり、時刻表に時刻が書かれることはありません。しかし、時刻表を作った部署の“勘違い”で、能生駅の時刻表に特急停車時刻が書かれてしまったのでした。
青森駅に停車する485系電車の特急「白鳥」(画像:写真AC)。
これに驚いたのが、地元の人たちです。先述したように、これまで普通列車しか停車しなかった能生駅に特急が停車するというのですから、まさに一大事と騒ぎになります。一番列車を地元の人たちが浴衣で出迎え、急きょ選ばれた「ミス能生」が、「白鳥」の乗務員に花束を贈呈することになりました。
そして迎えた運行初日。行き違いのため能生駅に停車した上り「白鳥」は、大勢の人々から熱烈な歓迎を受けます。乗務員はなんだかよく分からないまま花束を渡されましたが、その理由を知る由もありません。もちろん列車のドアは開くことなく、数分後に下り「白鳥」が通過すると上り「白鳥」も発車。後には、呆然とした地元の人々が残された……ということです。
その後能生駅は、1982(昭和57)年に特急「北越」が停車するようになり、正真正銘の特急停車駅になりました。2003(平成15)年ごろには再び普通列車しか停車しない駅になったものの、現在も待避線がある駅構造になっていて、かつての雰囲気を感じ取れます。
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