「農道」が海を渡る…!? 暫定的に蘇った壮麗な斜張橋 復旧には“生い立ち”が影響も
- 乗りものニュース |

石川県の本土と離島の「能登島」を結ぶ壮麗な斜張橋は、2024年の能登半島地震で大きな被害を受けました。その復旧にはこの橋ならではの“生い立ち”が影響しました。この橋は、なんと「農道」なのです。
「農道の常識」を覆す海を渡る橋
一般に「農道」という言葉から思い浮かぶ道路のイメージは、「畑や果樹林の間を走る田舎道」ではないでしょうか。なかには、市街地から離れた地域を通り、国道や県道のバイパス的存在として機能している農道もありますが、それでも「周囲に農地が広がるのどかな道」という状況は共通でしょう。
「ツインブリッジのと」能登半島地震の前の姿。現在は片側交互通行となっている(画像:PIXTA)
しかし石川県には、そうした“農道の常識”を覆すような農道が存在します。その農道は主塔2本を持ち、延長620m、最大支間長230mを誇る“斜張橋”で、海を渡っているのです。
橋が結ぶのは、能登半島の七尾市と七尾湾に浮かぶ同市「能登島」です。半島側には駐車場のある公園「長浦うるおい公園」が整備され、その中央にある「パノラマ展望台」からは、優美な橋の姿を一望にできます。
この橋の正式な名前は「中能登農道橋」ですが、その印象的な主塔2本にちなみ「ツインブリッジのと」という愛称が付けられています。
ふたつの橋が能登島の観光を発展させた
この橋で能登半島と結ばれる能登島は、石川県最大の島で、面積は東京の都心3区(千代田区、中央区、港区)の合計よりもやや広い約47平方キロメートルです。2004年に七尾市と合併するまでは単独で鹿島郡に属する「能登島町」でした。人口は約2400人、主な産業は農業および漁業ですが、豊かな自然を活かした観光業も盛んです。
この島が初めて能登半島と道路で結ばれたのは1982年のこと。このとき島の南側と、対岸の「和倉温泉」とを結ぶ一般有料道路「能登島大橋有料道路」が開通しました。能登半島の一大観光地である和倉温泉との陸路での直結の効果は絶大で、能登島が観光地として発展するには、この能登島大橋が大きな役割を果たすことになります。
そして能登島大橋は1998年に償還が完了し、無料開放されたのですが、さらにその翌年3月に開通したのが「ツインブリッジのと」です。島の南側に加え、西側にも旧中島町(現七尾市)とを結ぶ無料の橋が開通したことで、観光客誘致へいっそうの効果を生んだのです。
アクセスは、金沢市方面からの「のと里山海道」からつながる「能越自動車道」にある「横田IC」が便利です。「道の駅 なかじまロマン峠」を目指して進み、そこから道なりに3kmほど進むと突然、視界が開け、ツインブリッジのとの美しい姿と、その向こうに広がる能登島の全景が視界に入ります。お天気のいい日なら、橋の上からの絶景も楽しめます。
「農道」という“生い立ち”が復旧に影響?
ただこの「ツインブリッジのと」も、2024年1月1日にこの地域を襲った「能登半島地震」で大きな被害を受けました。
もう一つの橋「能登島大橋」。こちらは県道(植村祐介撮影)
七尾市の震度は6強もしくは6弱で、ツインブリッジのとは路面に約40cmの段差が発生、さらに両端の橋台、能登島側の橋脚が破損し、通行止めを余儀なくされたのです。
もうひとつの能登島への陸路である「能登島大橋」も、地震による一部損傷で同様に通行止めとなり、能登島は一時的に道路交通から孤立します。ただその後の復旧においては、被害の規模に加え、両橋の“生い立ちの違い”が明暗を分けることとなります。
能登島大橋はジョイント部に破損があったものの、基礎には大きな被害はなく、地震発生翌日の1月2日には応急修理の上、片側交互通行が可能となりました。しかしツインブリッジのとは、被害の大きさに加え、そもそも農道であることが、復旧作業への着手遅れにつながったのです。
2011年の東日本大震災では、都道府県道、市町村道が大きな被害を受けたことを踏まえ、これら道路で災害復旧工事を国が代行できる「地方管理道路の災害復旧工事等の代行制度」が定められ、より迅速な復旧を可能とするスキームが生まれました。しかし農道はこの制度の対象外であったことから、復旧作業への着手そのものが遅れてしまったのです。
七尾市に代わり県が応急復旧工事に着手し、一部片側交互通行での暫定供用が始まったのは、地震から1年半が経った2025年6月16日になってからでした。
なお暫定供用後も、本格復旧に向けての工事は続き、2025年10月現在は前記の片側交互通行に加え、「総重量17トンを超える車両の通行禁止」「総重量10トンを超える車両は20mの車間距離を確保」「歩行者は通行禁止」という規制が引き続き行われています。
このように能登半島ではまだ地震の被害からの復旧が続いていますが、主要道路はほぼ交通が回復し、また今回訪れた能登島も観光への影響はなくなっています。被災地を応援する意味合いからも、この珍しい「海を渡る農道」を通り、能登島の観光、そして海の幸を楽しみに出かけてみてはいかがでしょうか。
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