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世界最強の米空軍力の要が「オンボロ空中警戒管制機」ってなんで!? 判断の遅れが招いた致命的な“空白期間”

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議会が下したE-3「セントリー」退役禁止の判断

 アメリカ空軍が長年運用してきた空中警戒管制機(AWACS)E-3「セントリー」が、思わぬかたちで延命されることになりました。2026年6月5日、アメリカ下院軍事委員会は、E-3の退役を少なくとも2027会計年度までは認めないとする法案を可決しました。

Large figure1 gallery5E-3G「セントリー」AWACSはアメリカ空軍の指揮統制・早期警戒の中核を担う。しかし現有戦力は16機しかない(画像:アメリカ空軍)

 一見すると旧式機の寿命を無理やり引き延ばしただけの話にも思えます。しかし、その背景には、世界最大の航空戦力を誇るアメリカ空軍が直面する、極めて深刻な「AWACS危機」が横たわっています。

 現代の航空戦においてAWACSは「空飛ぶ司令部」とも称される存在です。高度数千mを飛行しながら主に低空を飛行する数百km先の航空機や巡航ミサイルを探知し、味方戦闘機へ迎撃指令を下すだけでなく、空中給油機や電子戦機、爆撃機まで含めた航空作戦全体を統制します。第5世代戦闘機がいかに優れたセンサーやステルス性能を備えていても、それらを戦域全体で統合する「頭脳」がなければ能力を十分に発揮することはできませんから、AWACSはまさに航空優勢を成立させる中核的存在なのです。

 その役割を半世紀近く担ってきたのがE-3「セントリー」です。民間旅客機ボーイング707をベースとし、巨大な回転式レーダードームを背負った特徴的な姿は、冷戦時代以来のアメリカ航空戦力の象徴でもありました。

本来であれば、後継機E-7が導入されていたはずなのに…

 しかし現在、E-3「セントリー」はその栄光とは裏腹に機体の老朽化が深刻です。ボーイング707系列はすでに民間航空の世界から姿を消し、補修部品の確保さえ容易ではありません。配線や構造材の疲労も蓄積し、維持整備には膨大な費用と時間が必要となっています。

Large figure2 gallery6E-3の後継となるE-7「ウェッジテイル」(画像:ボーイング)

 こうした事情からE-3は急速に数を減らし、現在アメリカ空軍が保有する機体はわずか15機にまで縮小しました。世界中に航空戦力を展開し、欧州、中東、太平洋を同時に監視しなければならない超大国としては、驚くほど心許ない数字です。

 比較対象として航空自衛隊はE-767とE-2C/Dを合わせると、早期警戒・管制能力を持つ航空機の保有数でアメリカ空軍を上回る20機規模となります。世界規模の軍事行動を担うアメリカが日本より少ないAWACSしか保有していないという事実は、現在の苦境を表していると言えるでしょう。

 本来であれば、この問題は後継機E-7「ウェッジテイル」の導入によって解決されるはずでした。ボーイング737をベースとしたE-7は、固定式の多機能AESAレーダーを搭載し、360度の広域監視能力と高い信頼性を兼ね備えます。すでにオーストラリアや韓国、トルコなどで実戦運用され、その性能は高く評価されています。

宇宙空間からの監視網構築に夢を見たアメリカ

 ところがアメリカ空軍は一時、E-7「ウェッジテイル」導入計画を見直しました。地球低軌道人工衛星や無人機、分散型センサーをネットワークで結び、従来型AWACSを代替できるという構想に傾いたのです。

Large figure3 gallery7老朽化が進むE-3G「セントリー」だが、後継機の目処がつくまで当面運用は続きそうだ(写真:アメリカ空軍)

 宇宙空間から常時監視を行う構想は魅力的であり、将来の統合指揮システムとして発展する可能性もあります。しかし現実には、人工衛星だけでは低空を飛ぶ巡航ミサイルや航空機を継続的に追跡することは難しく、結局、空中で直接指揮統制を行うAWACSの役割を完全に置き換えることはできていません。

 この判断の揺れが、現在の空白を生み出した最大の要因です。E-7計画は再始動したものの、ボーイング737からの改修はようやく開始された段階であり、量産機が部隊へ十分に配備されるまでにはなお数年を要します。その間にE-3退役をさせれば、アメリカ空軍の早期警戒能力は著しく低下し、世界各地での同時展開は極めて困難になります。

 こうして下院軍事委員会は、苦渋の選択としてE-3の退役延期を決断しました。これは新世代システムへの移行が間に合わない現実を認めた結果であり、言い換えれば、E-3は能力が優れているから残されるのではなく「代わりがまだ存在しない」から飛び続けなくてはならないのです。

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