「最後は満身創痍」昭和の「レトロ巡視船」ついに引退「終戦直後の設計残る最後の船」との声も
- 乗りものニュース |

昭和・平成・令和を駆け抜けた激シブ巡視船が引退
横須賀海上保安部(神奈川県横須賀市)所属の巡視船「たかとり」が2026年3月16日午前、解役場所の八戸に向けて同保安部の巡視艇基地を離れました。
巡視船「たかとり」と田中船長(深水千翔撮影)。
「たかとり」は約40年にわたって日本の海を守り続けていた大ベテラン。今では珍しくなった旋回窓を備えたレトロな外観が特徴的でした。同船の田中康広船長は「『たかとり』は出港するたびにどこかが故障する船だった」と振り返り、「地味ではあるが、東京湾内の海上交通の安全確保に貢献してきたと思う」と同船の引退を惜しみました。
昭和、平成、令和の3時代を生き抜いた「たかとり」が竣工したのは、1988(昭和63)年6月1日です。てしお型巡視船(当時)の14番船(最終船)として、四国ドック(高松市)で建造され、当初は「せんだい」と命名されています。総トン数は325トンで、全長は67.8m、幅は7.9m。船首側に20mm多銃身機銃1基を備えるとともに、高速警備救難艇2隻を搭載しています。
推進方式は2つのスクリュープロペラと1枚の舵で構成された2軸1舵を採用。主機として新潟鐵工所(現、IHI原動機)製のディーゼルエンジンを搭載し、18ノット(33.34km/h)の速力を発揮することができました。乗組員は最大33人です。
「せんだい」という船名からわかるとおり、当初の所属は鹿児島海上保安部の山川海上保安署(現、指宿海上保安署)で、国際海峡として多くの船舶が通過する大隅海峡や大隅諸島、トカラ列島などを舞台に警備・救難業務に当たってきました。
横須賀海上保安部の近藤修志部長は、「『たかとり』が就役した昭和63年は、200海里の新海洋秩序が本格的に始まり、海上保安庁の活動内容が大きく拡大し、国際化していった時期だった」と振り返ります。
乾舷が低い! 終戦直後の設計思想を残すレトロなシルエット
当時、日本は領海の拡張と排他的経済水域(EEZ)の設定という新しい海洋秩序形成への対応が迫られていました。国際的な潮流と国内世論の高まりを受け、1977(昭和52)年5月には「領海法」と「漁業水域に関する暫定措置法」が成立。領海は3海里から12海里へと拡張されるとともに、200海里の漁業水域が設けられることになります。
引退する巡視船「たかとり」と乗組員たち(深水千翔撮影)。
これを受け、海上保安庁が警備を受け持つ海洋の面積は領海だけで従来の約4倍、漁業水域を含めると50倍へ大きく増加することから、外洋での行動能力を高めた新たな巡視船艇が求められました。
こうした背景から、中型巡視船(PM)のてしお型は1980(昭和55)年9月竣工の1番船「てしお」(後に「なつい」)から、最終船の「せんだい」まで全14隻が建造されます。
竣工から25年後の2013(平成25)年12月、「せんだい」は横浜海上保安部へ移動。ここで「つるみ」へと名称を改めた後、2016(平成28)年1月に下田海上保安部へ配属が変わり、そして同年10月に横須賀海上保安部の「たかとり」となりました。
近藤部長は「国際情勢の変化などに伴って配属替えや船名の変更を重ねながら、『たかとり』はどの地でも能力をいかんなく発揮し、与えられた任務を全うしてきた。長い間、第一線で活躍し、満身創痍となった同船を整備・運用してきた乗組員に心から感謝したい。この船を見送る日が来たことは寂しい限りだが、有終の美を飾られるよう、最後までのご安航を心から祈る」と別れの言葉を述べました。
「たかとり」を側面から見ると海難救助など海面での作業のしやすさを重視し、乾舷が非常に低くなっています。船首に向けては波への抵抗力を高めるため「シアー(傾斜)」がついており、それが独特のシルエットとなっています。
船内を案内してくれた海上保安官は「終戦直後に建造された船艇の設計思想が残っている最後の巡視船なのではないか。『たかとり』を最後に、乾舷が高い新世代の船にどんどん変わっている」と説明していました。
操船は熟練の技! クセの強い「2軸1舵」と激渋ブリッジ
「たかとり」のブリッジ内にはレーダーやエンジンコンソール、操舵スタンドなど航海計器が所狭しと置かれ、窓の小ささと相まって現代の巡視船に比べると非常に狭く感じます。前面には、今では見ることが少なくなった「旋回窓」が備わっています。
横須賀を後にする巡視船「たかとり」を「帽振れ」で見送る横須賀海上保安部職員たち(深水千翔撮影)。
これは、丸いガラスを高速回転させて遠心力で水滴を飛ばす構造で、荒天時でも視界を確保できる一方、どうしても死角ができやすいため、その後はワイパー付きの角窓が主流になりました。このように「たかとり」は死角の多いブリッジゆえに、実際の運用ではさまざまな工夫が必要だった模様です。
また、機関についても2軸1舵船のため操作性が悪く、操船には熟練の技が必要でした。田中船長も「曲がりたいと思って舵を切ってもなかなか曲がらない。早く動いてくれという時に動いてくれない。出入港のたびに神経を使う船だった」と話します。
とりわけ横須賀海上保安部の桟橋へは、スペースの関係で船尾から接岸していたため、アンカーを落としながら慎重に寄せ、左舷側はビットではなく浮桟橋の係留杭にロープを張るという作業を行っています。
一方で「非常に好きな船」という声も乗組員から聞けました。「『たかとり』は低速度域での安定性がかなり高かった。乗組員数も多く、警備や救難、密漁の取り締まりでも真っ先に投入できる船だった」と語っていました。
「たかとり」は八戸港(青森県八戸市)へと回航され、3月26日にそこで解役されます。最後の出航に伴い、横須賀海上保安部巡視艇基地に接岸している巡視船艇にはUW旗(ご安航を祈る)が掲げられ、多くの海上保安官に見送られながら、「たかとり」はゆっくりと横須賀を離れていきました。
なお、横須賀海上保安部には、代替として横浜海上保安部から巡視艇「いそづき」が移動してくる予定です。
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