旧陸軍 秘密兵器「空中機雷」の正体 「一〇〇式司偵」に搭載し戦果6機の本当のところ
- 乗りものニュース |

太平洋戦争中、南方戦線にいた連合国軍のあいだに、日本軍が「空中機雷」なる新兵器を完成させたとの情報がもたらされます。やがて旧日本陸軍の一〇〇式司偵を追撃する連合国軍機の眼前で、それは秘密のベールを脱ぎました。
情報戦を制するために…旧陸海軍で使われた一〇〇式司偵
戦況がひっ迫してくると奇想天外なアイデアが出てくるものです。旧日本陸軍は太平洋戦争で、偵察機を敵戦闘機から守る新兵器「空中機雷」を開発します。どういう仕組みで、どう使われたのでしょうか。
一切余計な装備を載せず、長距離偵察任務に特化した一〇〇式司令部偵察機二型。
攻撃一辺倒のような印象のある日本陸軍ですが、情報戦も軽視していたわけではありません。航空偵察には、列国では戦闘機や爆撃機が流用されることも多かったのですが、日本陸軍は対ソ連戦を意識して、前線の彼方にある敵航空基地を偵察できるような専用の偵察機を開発していました。長距離飛行して敵地の奥深くまで進入し活動する機体で、「司令部偵察機」、略して「司偵」と呼ばれていました。いまでいう戦略偵察機カテゴリーの先鞭とも言えます。
なかでも傑作機として高い評価を受けていたのが、太平洋戦争全般で使われた「一〇〇式司偵」こと「一〇〇式司令部偵察機」です。高速性、高高度性、長距離性など戦略偵察に特化して開発され、1940(昭和15)年に採用されました。
一〇〇式司偵は外見が流麗なだけでなく、当時の列強各国の戦闘機をも凌駕する高性能を発揮します。偵察機としては異例ともいえる1742機が生産され、終戦まで、ほぼ全ての戦線で日本陸海軍の重要な主力戦略偵察機として使われ、末期には武装してB-29の迎撃戦に駆り出されたり、一部は特攻機になったりもしました。
一〇〇式司偵の地味だけど危険で重要な任務
護衛無しに単機で敵地奥深く侵入する司偵の任務は危険で、そして何より生きて情報を持ち帰ることが必須でした。連合軍にしてみると、高高度を単機侵入してくる一〇〇式司偵はそもそも発見すること自体困難で、発見しても余裕をもって上空待機していない限り迎撃は不可能であり、ちょうど戦争末期、B-29を迎え撃った日本軍戦闘機部隊と同様の立場だったようです。
また、連合軍から「ビルマの通り魔」「空の百合」「写真屋のジョー」「地獄の天使」などと呼ばれていたように、一〇〇式司偵が姿を見せるのは日本軍が何らかの行動を起こす前触れで、疫病神のように見られていたとも。
前部操縦席風防と胴体が段差無しとなり、流麗な外見を見せる三型。
しかし連合軍戦闘機の性能が向上してくると、一〇〇式司偵も段々、逃げ切ることが難しくなってきます。長距離を高速で飛ばなければならないため、重くかさばる武装も最小限に抑えられており、後席に自衛用の7.7mm旋回機銃が装備される場合もありましたが、性能が向上した連合軍の戦闘機相手には気休めにしかなりませんでした。
そうしたなか、陸軍の高橋正巳技術少佐が「空中機雷」という新兵器を考案します。
その正体はゴム風船。一〇〇式司偵の後席にゴム風船30個から40個をダンボール箱に入れて載せ、操縦席からの操作で風船をただ空中に散布するという簡単なものでした。日本アルプス上空で散布実験も行われていたようです。旋回機銃でも気休めにしかならないのに、ゴム風船でどうしようというのでしょうか。
新兵器「空中機雷(ゴム風船)」南方戦線へ…実戦投入の結果は?
日本陸軍は南方戦線で、新兵器 空中機雷を完成させたというフェイク情報を流します。しかしこの新兵器に関する詳細情報は出しません。というより、あるわけがありません。そして1944(昭和19)年、ビルマ(現ミャンマー)に空中機雷装備の一〇〇式司偵8機が配備されます。
実際に使われたのは3月18日のことです。写真偵察に出た一〇〇式司偵はイギリスのスピットファイア戦闘機、2機の迎撃を受けました。低空に急降下したものの逃げきれそうにありません。
スピットファイアの機銃の射程に入りそうな瞬間、秘密兵器 空中機雷が初めて放出されます。いきなり目の前に飛んでくる無数の黒い物体群にあわてたスピットファイアは、操縦を誤って相次いで地面に激突、これが空中機雷の初戦果となりました。
後年、空中機雷による撃墜戦果は、陸軍の記録では6機とされています。本当に撃墜したのかは眉唾物でもありますが、偵察機も戦闘機も600km/h以上での、ギリギリの高速追跡戦であり、いきなり爆弾かもしれない物体が目の前に飛んできたらびっくりするでしょう。追跡側からは射撃しているのかどうかも分からない、豆鉄砲のような7.7mm旋回機銃よりも、威嚇効果ははるかに期待できます。思いがけない反撃で敵機がひるんだ隙に一〇〇式司偵の高速性を発揮して、一気に離脱するという雲隠れの術は可能だったと思われます。
フィリピンのルソン島西部リンガエン湾で1945年1月29日、アメリカ軍によって撮影された、放棄された一〇〇式司偵の残骸。植生で偽装されていた(画像:アメリカ海軍)。
「空中機雷」のフェイク情報効果とこの風船による雲隠れ術がいつまで見破られず通用したのか、はっきりした史料はありませんが、この術を使った機体は全機帰還を果たしています。ゴム風船で偵察機を守る……奇想天外ですが、究極にコストパフォーマンスの良い秘密兵器であったことは間違いありません。
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