なぜ醜くした!?「世界一ブサイク」と酷評されたクルマ 実はオーナーたちの評判は悪くなかったワケ
- 乗りものニュース |

2008年の『デイリー・テレグラフ』紙で、「世界一醜いクルマ」という不名誉な称号を得たのがポンティアック「アズテック」です。ただ、スタイリング以外は使い勝手に優れていたため、ひょっとしたら傑作車に化けた可能性もありました。
「世界一醜いクルマ」という不名誉な称号を得たクルマ
かつてGM(ゼネラル・モータース)のデザイン部門を率いた伝説的なカーデザイナーのハリー・アールは、「ユーザーは性能ではなくデザインでクルマを選ぶ」との言葉を残しました。
2000年7月に北米市場で販売を開始したポンティアック「アズテック」。その特異なスタイリングから「世界一醜いクルマ」との不名誉な称号が与えられている(画像:GM)。
しかし、彼がGMを去ってから42年後、2000年7月に発売されたポンティアック「アズテック」は、クルマとしての機能や使い勝手が大変優れていたにもかかわらず、その独特なデザインゆえに失敗作の烙印を押されてしまいました。加えて、2008年にはイギリスの新聞『デイリー・テレグラフ』紙が実施した読者アンケート「史上最も醜い車100台」で1位に選ばれ、「世界一醜いクルマ」という不名誉な称号を得るまでに至ったのです。
そもそも、ポンティアック「アズテック」は、当時20代~30代の「ジェネレーションX世代」と呼ばれる若い世代をターゲットに、レジャーユースに適した多目的SUVとして開発されました。このクルマは、もともと1999年1月のデトロイト・モーターショーで発表されたコンセプトカーが源流ですが、こちらは近未来的なスタイリングが絶賛され注目を集めています。こうした「前フリ」があったからこそ、「アズテック」は市販化されたと言えるでしょう。
ここで多くの人が疑問に感じるのは「なぜコンセプトカーでスタイリングが絶賛されたのに、市販化したクルマが『世界一醜い』と評されたのか?」という点ではないでしょうか。じつはデトロイト・モーターショーで披露されたコンセプトカーと市販車「アズテック」は似て非なるもので、デザインテーマは同じでもスタイリングはまったく別物だったからです。
筆者(山崎 龍:乗り物系ライター)は、コンセプトカーの発表時に取材で現地を訪れており、このときにコンセプトカーの「アズテック」を見ています。それはトヨタ「ハリアー」にも通じるワイド感を強調したフォルムに、少々アクの強いフロントマスクを組み合わせたサイバー感溢れる斬新なクロスオーバーSUVでした。
コンセプトカーに期待していたら市販モデルがヒドすぎてビックリ!
「アズテック」のデザインはGMのトム・ピーターズが担当。彼は「万人向けではなく、大胆で目立つクルマを作りたかった」と述べていますが、その言葉どおり、一見するとアクが強く、攻撃的なルックスで、人によって好みが分かれるスタイリングでした。とはいえ、これはこれでまとまりがあり、個人的にはなかなかカッコ良いクルマだと感じたのを覚えています。このコンセプトカーは鮮やかなソリッドイエローでペイントされたこともあって、ショー会場の中でもひと際目立っていました。
2000年7月に北米市場で販売を開始したポンティアック「アズテック」。その特異なスタイリングから「世界一醜いクルマ」との不名誉な称号が与えられている(画像:GM)。
しかし、その1年半後にデビューした市販モデルの「アズテック」は、GMのミニバン用プラットフォーム「Uボディ」を使用したことで、ナローボディで妙に腰高感のあるフォルムへと様変わりしていました。
エクステリアの見どころのひとつが、ボンネットの切れ目から後方に向けて車体前方をぐるりと回り込んだラインでしょう。これがウエストラインへ溶け込み、このラインを起点にしてヘッドランプが装着され、ブリスター化されたフェンダーが大きく盛り上がることでフロントマスクはワイドさが強調されています。こうすることで、スレスレのバランス感覚のなかで調和が図られていました。
これが、市販モデルの「アズテック」では、ミニバンをベースにしたことでプロポーションが破綻してしまったのです。コンセプトカーに少しでもカタチを似せるべく、あれこれ手が加えられているもののまとまりが悪く、ヘッドランプなどのパーツも適当に組み込んだかの印象になってしまっています。お世辞にもスタイリングを褒めることはできません。
魅力的なコンセプトカーを見て、ポンティアックの新型車に期待を寄せていたアメリカのユーザーは、市販化された「アズテック」を見て大いに失望したとか。その結果、GMが想定した年間7万5000台の計画販売台数はおろか、損益分岐点の年間3万台にも1度として届くことなく、わずか4年でモデル廃止となりました。
デザイン以外は傑作車! ポンティアックの救世主になった可能性も……
それでは「アズテック」が不出来なクルマだったかと言えば、そうではありません。
テールゲートテントとエアマットレスなどをセットにした「キャンプパッケージ」を装着した「アズテック」。収納も多く、使い勝手は良好で、実際に購入したユーザーの評判は良かった(画像:GM)。
レジャーでの使い勝手を重視したこのクルマには、広大なラゲッジスペースやフルフラットになるシートに加え、椅子としても使用可能な上下分割式のリアテールゲート、食料品収納庫としても使えるラゲッジのスライド式荷室床、荷室からでも操作可能なオーディオシステム、取り外し可能でクーラーボックスとしても使えるセンターコンソールなど魅力的な装備が備わっていました。
加えて、オプションの「キャンプパッケージ」を選択すれば、テールゲートテントとエアマットレスが付属するなど、便利な機能がふんだんに用意されていたのです。
また、デビュー1年後に追加された「ヴァーサトラック」と呼ばれる4WDシステムは、ビスカスカップリングの代わりに、油圧ジェロータポンプとマルチプレートクラッチパックを採用しており、独立懸架式のリアサスペンションと相まって、クロスオーバーSUVながら本格的なCCV(クロス・カントリー・ヴィークル)にも匹敵する悪路走破性を獲得しています。
だからか、実際に「アズテック」を購入したユーザーの評判は上々で、2001年に独立系消費者調査機関『JDパワー』が行ったアンケート調査によると、SUVのカテゴリーではスタイリングの項目を除き、ほぼ満点に近い評価を得ていました。
こうした結果から考えると、あるいは好評を得たコンセプトカーのままのスタイリングで「アズテック」が販売されていれば、「世界一醜いクルマ」との謗りを受けることもなく、商業的にも成功したのかもしれません。仮にこのクルマが大ヒットしていれば、2010年にブランド廃止となったポンティアックの運命は、まったく別のものになった可能性すらあるのです。
そのように考えると、デザインの失敗で正当な評価を得られぬまま終わった「アズテック」は本当に惜しいクルマであったと、悔やまれてなりません。
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