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息子を“程度の低い子”と言われ、入会断られた経験 私が考える「断り方」

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受け入れが難しい子、どう対応する?
受け入れが難しい子、どう対応する?

 私は昔、幼児教室の経営者でした。習い事は小中学校や幼稚園、保育園とは違います。各家庭が時間とお金を投資し、「わが子にこういうことを身に付けさせたい」という目的を持って子どもを通わせるのですから、そこへ、授業を進める際に妨げとなる子が入会してきたら困るわけです。

 頂く授業料は決まっていますから、手のかかる子を受け入れたからといって、講師の数を増やすことは経営上できませんでした。そうした理由から、走り回ったり、大声を発したりして、周りの子どもの学習に影響を与えてしまう子どもの入会をお断りすることがありました。

 現在は2013年に制定された、障害がある人の不当な扱いを禁止する法律「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」で、個々のニーズに合った合理的配慮を提供することが求められています。しかし、そうはいっても、公的機関ではない習い事の教室や学習塾は、受け入れること自体が難しい場合もあると思います。

涙が止まらなかった経験

 私の息子は、知的障害のある自閉症児です。息子が幼い頃、体力をつけさせたくてスイミングスクールの体験授業に連れていきました。じっとしていられない多動な子どもだったので、どの水泳教室にも受け入れてもらえませんでした。

 運営側に立てば、コーチの人数にも限りがあり、他の子に迷惑をかける息子を受け入れたくないのはよく分かります。ある水泳教室では「せっかくお越しくださったのに申し訳ございません。障害のあるお子さんは対象外ですから、入会をお受けすることはできかねます」、別の教室では「他のお子さんに迷惑がかかってしまいます。誠に申し訳ございませんが、お引き取りください」と断られました。

 この2つの教室はとても丁寧な言い方でしたが、それでも断られた事実に悲しくなりました。しかし、ある有名なスイミングスクールでは、心をえぐり取られるようなきつい言葉を浴びせられました。大会に出場する選手を輩出する教室で、足を運んでしまった私たち親子が場違いではあったのですが。

 このスクールの体験を受ける前、何とか入会許可が下りるよう、息子に「コーチの言うことを聞いて、じっとしているのよ。動いたり走ったり、暴れたりしたら絶対に駄目よ」と何度も言い聞かせました。保護者用の観覧席から見学していると、普段は落ち着きのない息子がそれなりに頑張っているのが分かりました。ただ、しばらく時間がたつと、プールサイドで順番をじっと待っていられなくなり、モゾモゾと動き始めました。

 すると突然、コーチが息子の腕をわしづかみにして、私のいる保護者席まで連れてきました。「ああ、もう駄目だ」と私は悟りました。息子は自分の身に何が起こったのか状況が分からない様子で、キョトンとしていました。その息子と私を前に、コーチはこう言い放ちました。

「お母さま。あなた、一体何を考えているんですか。こんな程度の低い子、うちで水泳を習えるわけがないでしょ。入会はお断りします!」

 私は息子の体をタオルで拭きながら、「よく頑張ったね。偉かったね。もう帰ろう。帰りにお菓子を買って、おうちで食べようね」と言うのがやっとでした。「他の子は体験授業に行けば、『入会しませんか?』と声を掛けられるのに、私たち親子はこんなふうに言われてしまうんだ」と思い、涙が止まりませんでした。

同じ思いをさせないために…

 習い事の無料体験授業の段階で「部屋から脱走する」「他の子を突き飛ばす」…こうなると入会を受け入れることはできないのですが、私はスイミングスクールでの苦い経験があるため、「他のお子さんにご迷惑をかけることになるので、入会をお断りいたします」と心では思っても、そのまま口に出すことは決してできませんでした。

 落ち着きのないわが子に対して、親には「教室に入会すれば、椅子に座ることができるようになるかもしれない」「母親がしつけるのはもう限界だから、教室の先生に助けてほしい」という気持ちがあるのかもしれません。他の保護者からしたら、「いい迷惑」なのかもしれませんが、わが子のことに必死でそうなってしまうのは、私自身の状況が全く同じだったのでよく分かりました。そこで、苦し紛れに絞り出した言葉は…

「○○君は、個別指導だと伸びるお子さんですね。でもあいにく、今の段階ではそれができる講師がおらず、1クラス10人の集団授業の形態をとっております。教室に来たら椅子に座らなければならず、お子さん自身がつらい思いをすることになります。体制が整ったときにはご連絡いたします。お受けしたいのはやまやまなのですが…。今回は誠に申し訳ないのですが、入会していただくことができないのです」

 これで相手が納得したかどうかは分かりませんが、少なくとも「あなたのお子さんは、他の子に迷惑をかける存在で困る」とは言わないようにし、こちらの体制が整っていないとだけ伝えました。

 あれから15年がたち、息子は20歳になりました。今でも、近所のあのスイミングスクールの前を通るたびに、当時の光景やコーチの顔が思い浮かび、何ともいえない気持ちになります。「自分だったら、どう言われたら納得できるか」という視点に立って、断る――なかなか難しいことだと思います。

子育て本著者・講演家 立石美津子

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