「うちは男だから大丈夫」ではない。日本はリスク世界1位、10代で被害急増の「セクストーション」とは
- マイナビウーマン |

私たち親世代は、子どものデジタル機器の付き合い方や、ITリテラシーの教え方にどう向き合ったらよいのでしょうか? ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザーとして活躍し、自身も二児の母である鈴木朋子さんに教えてもらいます。今回は、近年被害が増えている「セクストーション」について解説してもらいました。
セクストーション(性的脅迫)とは
皆さんは「セクストーション」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。セクストーション(Sextortion)とは「Sex(性的)」と「Extortion(ゆすり・脅迫)」を組み合わせた造語で、性的脅迫を意味します。
セクストーションはこれまで、元恋人などから自身の性的画像や動画を拡散するなどの脅しを受けるケースが多かったのですが、近年は金銭を目的としたセクストーションが増加しています。被害相談に応じるNPO法人「ぱっぷす」によると、金銭目的のセクストーションは男性が被害に遭うことが多く、2025年度の性的脅迫に関する相談をした人は7月中旬までに1000人を超えています。これは過去数年でもっとも多く、特に15~18歳の相談が急増しているとのことです(※1)。
10代でも巻き込まれる危険があるセクストーションの被害について、その手口と対策を説明します。
金銭型セクストーションと従来型セクストーション
セクストーションには2種類あります。
従来型のセクストーション
ひとつは、従来型のセクストーションです。加害者は被害者に恋愛感情を抱かせ、性的な画像や動画を送るように求めます。加害者が撮影することもあります。やがて「画像や動画を拡散されたくなければもっと画像を送れ」と脅してきます。
従来型のセクストーションは、女性が被害に遭いやすいとされています。元恋人など、過去に関係のあった人からの脅迫も従来型のセクストーションに含まれます(この場合「リベンジポルノ」と言われることもあります)。
金銭型のセクストーション
もうひとつは、金銭型のセクストーションです。こちらは、SNSなどのメッセージ機能があるサービス経由で加害者と被害者が出会います。加害者は女性になりすましていることが多く、被害者とメッセージを交わして親しくなるうちに「裸を送り合おうよ」「あなたの動画を送って」などと声をかけてきます。被害者が性的な画像や動画を送ると態度を急変させ、「画像や動画を拡散されたくなければ金銭を支払え」と脅すようになります。
また、「このアプリならもっと画像を共有しやすい」といった理由をつけて、不正なアプリをインストールさせられるケースもあるそうです。アプリをインストールすると連絡先データを抜き取られ、「性的画像をあなたの知り合いに拡散する」と脅されます。最近は、英語を学ぶサービスで外国人とビデオ通話を行い、相手の要求に応じて裸を見せると撮影されてしまうという事例もあるそうです。
加害者は、電子マネーや現金振り込みで金銭を支払うように求めてきます。10代の場合は特に恥ずかしさが先に立ち、周囲に打ち明けられずに支払ってしまうこともあるようです。
日本はセクストーション被害のリスクが世界一!?
アメリカでは17歳の男性がセクストーションの被害に遭い、命を絶ってしまいました。被害者のジョーダン・ディメイさんは、若い女性になりすました加害者の男2人によって性的な画像を要求され、拡散すると脅されました。金銭の要求が何度も続いたのちの悲劇だったそうです(※2)。
日本でも相談が急増しているセクストーションは、今後もリスクが高いと予測されています。セキュリティ企業・ノートンライフロックの調査によると、2024年のセクストーション詐欺の標的になるリスクの比率が日本は世界で1位とのこと(※3)。同社では、ダークウェブ (漏えいした個人情報や企業機密情報などを売買する闇サイト)で入手したメールアドレスに対して、捏造した画像などを送りつけ、被害者のデバイスに保存されている性的コンテンツを拡散できると脅す事例が紹介されています。こちらが何もしていなくても、ある日突然セクストーションの被害に遭う可能性もあるのです。
セクストーションの被害にあわないためにできること
セクストーションは、突然巻き込まれることがあります。セクストーション被害にあわないために、何ができるでしょうか。
セクストーション被害について親子で話す
あらかじめ「セクストーション」の被害について親子で話し、知っておくことが最大の防御になります。セクストーションについてうまく伝えられないと思ったら、京都府警察が作成している啓発資料がわかりやすいので、そちらを活用することもおすすめです。
京都府警察本部が作成・公開している啓発資料
ネット・SNSを使う上での約束を守る
具体的な注意としては、ネットで知り合った人とやり取りしないこと、自分のプライベートゾーンを撮影しないこと、SNSへのアップやメッセージで画像を送らないことをあらためて約束します。
怪しいアプリをダウンロードしないことも大切です。もし相手が、「Telegram」や「カカオトーク」などのあまり周囲で使われていないようなメッセージアプリ、もしくはアプリストア以外で配信されているアプリをインストールするよう勧めてきた場合、脅しの連絡手段やデータ抽出に利用される可能性があります。これらのアプリを相手に求められても決してインストールしないように説明しておきましょう。
ペアレンタルコントロール機能を活用する
知らない人とのやり取りやアプリのインストールを防ぐには、ペアレンタルコントロール機能の活用がおすすめです。子どもが何のアプリをどれぐらい使っているのかを、親のスマホから把握することができます。
ペアレンタルコントロール機能は、スマホ全体を紐づける「ファミリー共有」(iOS)や「ファミリーリンク」(Android)と、SNSが用意している機能があります。前者はアプリの利用時間や頻度を把握でき、インストールを親の許可制にできます。後者はSNSで誰と連絡を取っているかを親が見守れるようになります。ぜひ組み合わせて利用してください。
普段から、なんでも話しやすいような親子関係を築く
そして、何よりも被害に遭ってしまったときに相談してくれるような、風通しの良い親子関係を築くことも大切です。スマホに関するちょっとした出来事も普段から話すようにすると、スマホをブラックボックスにせずに済みます。
我が子がセクストーションの被害にあったら
① まずは警察に相談
もし我が子がセクストーションの被害にあったら、すぐに最寄りの警察、または各都道府県警察の性犯罪被害相談電話につながる「#8130(ハートさん)」や、警察相談専用電話「#9110」に相談しましょう。 その際に、相手とのやり取りなどをスクリーンショットに保存しておき、証拠として提出できるようにしておきます。
そして、お子さんは性的な画像や動画を送ってしまったことに罪悪感を抱いているかもしれません。性的な画像や動画を要求している相手が犯罪者であることを説明し、「あなたは悪くない」と伝えましょう。
相手がさらに性的コンテンツを要求しても、絶対に渡してはいけません。また、金銭の要求にも応じてはいけません。「要求に応じてくれれば二度と連絡しない」などと加害者が言ってきたとしても、約束を守ってくれるとは考えられないからです。
② 相手をブロック、アカウント削除などで連絡を遮断
警察への相談後は、相手との連絡ツールを遮断します。関わったサービスはすべて相手をブロック、またはアカウントを削除することをおすすめします。新たに入れさせられたアプリがある場合も、アカウントを削除してアンインストールします。携帯電話番号を知られている場合は、電話番号を変更しましょう。携帯電話のSMS(ショートメッセージ)で連絡を取られることや、携帯電話番号でアカウントを検索できるサービス(LINEやWhatsAppなど)から連絡を取られるリスクがなくなるからです。
③ ツールで画像の拡散を阻止
「Take It Down.」
また、お子さんの性的画像がネットに拡散されてしまったときは、18歳未満の性的な画像や動画を検出して削除する「Take It Down.」に登録すると、拡散を停止することができます。「Take It Down.」はアメリカの民間非営利団体「全米行方不明・被搾取児童センター」が、Instagramなどを運営するMeta社との協力のもと提供しているツールで、無料かつ匿名で利用可能です。2025年10月現在、InstagramやThreads、TikTok、YouTubeなどのプラットフォームに対応しています。
ただし、ネット上からすでに拡散した画像や動画を完全に削除できないことには留意してください。
親子でSNSのルールを作り、普段から子どもの様子を気にかけて
子どもがSNSを使いたい、何かしら被害にあった後にSNSに復帰したいというときは、顔や実名を出さないようにすることはもちろん、アカウントを「非公開」にして、信頼できる相手とだけ交流するように子どもと約束します。SNSだけではなく、オンラインゲームや掲示板、オープンチャットなどのサービスも出会いの場になることがあるので、すべて注意が必要です。
また、前述のペアレンタルコントロール機能も忘れずに設定しておきましょう。お子さんのスマホ利用状況を見守ることで、いち早く異変に気付くことができます。
セクストーションは性的な事柄に関わるため、相談をためらってしまう傾向があります。普段よりも落ち込んでいる様子があったり、急に「お金がほしい」と言われたりした場合、何らかの被害に遭っている可能性もあります。優しく声をかけ、ゆっくりと話を聞いてあげてくださいね。
※1 子どもや若者が狙われている。急増する「金銭セクストーショ ン」の実態と必要な対策とは(ぱっぷす)
※2 ナイジェリア人の男2人、米に移送 性的脅迫に関与か(CNN)
※3 2025年にて注意が必要なサイバー犯罪は“セクストーション詐欺”(株式会社ノートンライフロック/PR TIMES )
(文:鈴木朋子、編集:マイナビ子育て編集部)
実は損している?
ニュースを読んでポイントが貯まるサービスがあるのを知っていますか?ポイントサイトのECナビでは好きなニュースを読んでポイントを貯めることができるのです。(※ECナビはPeXの姉妹サイトです。)今日読んだニュースが実はお小遣いになるとしたら、ちょっと嬉しいですよね。
ポイントの貯め方はニュースを読む以外にも、アンケート回答や日々のネットショッピングなど多数あるので、好きな貯め方でOK!無料で登録できてすぐに利用できます。貯まったポイントはPeXを通じて現金やAmazonギフトカードなどに交換できます。
運営実績も15年以上!700万人以上の方がポイントを貯めています。毎日好きなニュースを読んでお小遣いを貯めてみませんか?
簡単無料登録はこちらYOUの気持ち聞かせてよ!
いいね | ![]() |
|
---|---|---|
ムカムカ | ![]() |
|
悲しい | ![]() |
|
ふ〜ん | ![]() |