午後に眠くなっても「昼寝」NG？　専門家に聞いてわかった「午後3時」以降に寝てはいけないワケ

　睡眠を十分に取っていても、日中に眠くなってしまう人は多いのではないでしょうか。日中に眠くなる原因はさまざまで、例えば昼食後に血糖値が上がると眠くなりやすいといわれています。ネット上では昼寝を推奨する内容の情報がありますが、もし日中に眠くなった場合、本当に昼寝をしても問題はないのでしょうか。日中に長い睡眠を取ってしまった場合や夕方に寝てしまった場合に生じる影響などについて、上級睡眠健康指導士の山本智子さんに聞きました。

昼寝は問題ないが時間に注意

Q.午後に眠くなった場合、昼寝をしても問題はないのでしょうか。

山本さん「昼寝をするタイミングと眠る長さに気を付ければ、むしろ昼寝をした方が良いとされています。実は、私たち人間は約25時間周期の『サーカディアンリズム』で生活をしています。そのため、午後の時間に眠気が来るのは自然なことなのです。

だいたいの目安としては、就寝時間の15時間後くらいに日中の眠気のピークが訪れます。それに加えて『ボーッとテレビを見ている』『退屈な授業や会議に参加している』といった単調な環境だと、1時間半から2時間周期で訪れる『ウルトラディアンリズム』の影響も受けやすくなります。

そのため、適切な時間に短めの睡眠を取ることで、頭がスッキリして仕事の効率アップにもつながります」

Q.もし昼寝をする場合、どの程度の長さであれば問題ないのでしょうか。また、昼寝の際は横になって寝た方がよいのでしょうか。それとも、椅子に座った状態で寝た方がよいのでしょうか。

山本さん「昼寝は午後3時までの間に15分程度、椅子に座った状態で行うのをお勧めします。横になって寝てしまうと、どうしても深い睡眠に移行しやすくなって寝過ぎてしまったり、寝起きが悪くなったりする原因となります。

そのため、平日の仕事がある日の場合は机に伏せて眠るようにしてみてください。最近では机に伏せて眠るために開発された枕なども販売されているので、そのような製品を活用するのもお勧めです」

Q.午後3時以降に昼寝をしたり、昼寝の際に必要以上に寝てしまったりした場合、どうなるのでしょうか。

山本さん「午後3時以降に寝てしまったり、長い時間、昼寝をしてしまったりすると、夜の睡眠に影響が出てしまいます。また、職場や学校で何とか眠気をこらえることができても、油断しがちなのが、電車やバスに乗っているときです。疲れから、つい居眠りをしてしまうことがあるでしょう。

夕方に寝てしまうと、確実に夜の睡眠に影響が出てしまいます。例えば、寝付きが悪くなったり、睡眠の質が低下したりします。寝付きが悪かったにもかかわらず、朝は同じ時間に起きないといけないとなると、夜の睡眠自体が不足することにつながります。結果としてまた日中に眠気が生じてしまい、変な時間につい居眠りをしてしまうことでさらに夜の睡眠に悪影響が出てしまうという悪循環に陥る可能性があるのです。

そういったことを防ぐためにも、先述のように午後3時までの間に15分程度の昼寝をするのがお勧めです。昼寝に適した時間の長さは年齢によっても違います。若い人の場合は15分程度にとどめておいた方が良いですが、高齢者は30分ほど寝ても大丈夫です。これは、年齢によって深い睡眠に移行するのにかかる時間が違うからです。若い人が30分も昼寝をしてしまうと、深い睡眠に差し掛かった状態で起きなければならなくなるため、昼寝後の目覚めが悪くなります」

＊　＊　＊

　昼寝をする際は、椅子に座った状態で机に頭を伏せて眠るのが望ましいことが分かりました。横になって寝てしまうと、寝過ぎてしまったり、すっきりと起きられないリスクがあるということです。

　また、午後3時以降に寝てしまうと、確実に夜の睡眠に影響を及ぼすといいます。そのため、帰宅時にバスや電車に乗っている際にうっかり居眠りをしないように気を付けましょう。

オトナンサー編集部

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