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なんで「国際興業カラー」なの? 変えないの? 離れた地方で走るバスが“同じ色”の理由 運行会社役員に聞いた

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  • 乗りものニュース
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山梨県の県庁所在地の玄関口、JR甲府駅の南口ロータリーには、首都圏在住者らにとって「見覚えがある色のバス」が並んでいます。運行会社役員に直撃すると、そこには明確な「理由」がありました。

「見覚えがある色のバス」が勢揃い

 山梨県の県庁所在地の玄関口、甲府駅の南口ロータリーに降り立つと、首都圏在住者などに「見覚えがある色のバス」が並んでいます。富士急行と並ぶ山梨県の主要バス会社で、2025年5月に設立80周年を迎えた山梨交通(甲府市)の乗合バスです。

Large figure1 gallery15JR甲府駅前に並んだ山梨交通の路線バス。車種はいすゞの中型バス「エルガミオ」(大塚圭一郎撮影)

 路線バスの塗装は、白地に濃淡の緑色を鋭角的に配しています。一方、竜王・湯村温泉・甲府駅―新宿線や甲府―京都・大阪線などの高速バスと、貸切バスは白地に青色のラインが入っています。このカラーリングは東京都と埼玉県を地盤とする国際興業のバスとほぼ共通です。

「国際興業カラー」なのは、山梨交通が秋北バス(秋田県大館市)、十和田観光電鉄(青森県十和田市)、岩手県交通(盛岡市)とともに国際興業グループだったことに由来します。しかし、国際興業はこれらのバス会社の持ち株を既に手放し、各社とも独立しています。

 筆者(大塚圭一郎:共同通信社経済部次長)は山梨交通の路線バス事業部長、池田雄次常務取締役執行役員に単独インタビューし、今後“模様替え”する可能性があるのかどうかを直撃しました。

「国際興業グループになっていたからこそ」

 山梨交通は1945年5月、太平洋戦争中の強化策として山梨県内の9つの鉄道・バス事業者が合併して発足しました。路線バスに加え、甲府駅前駅―甲斐青柳駅(20km余り)を片道56分で結んでいた鉄道(電車線)も営業しました。

 しかし、マイカーの拡大などを背景に利用者数が低迷していた1962年に電車線は廃止。山梨交通の経営も振るわず、現在の甲州市出身で国際興業創業者の故・小佐野賢治氏側が山梨交通株を取得して同年に国際興業グループに入りました。

 国際興業の傘下に入った山梨交通は経営基盤を立て直しました。現在の雨宮正英社長は「国際興業グループの一員になっていたからこそ、現在まで安定した事業を展開できた」と強調します。

グループの"渡り鳥"車両も

 池田常務は敷島営業所(甲斐市)で「国際興業から中古バスを譲り受けてきたのも大きなメリットの1つです」と指摘し、「これも元国際興業の車両です」と指さしました。それはシャシーをいすゞ自動車、車体を旧いすゞバス製造(現・ジェイ・バス)が手がけた1997年式の中型バス「ジャーニーK」でした。

Large figure2 gallery6山梨交通の貸切バス用のいすゞ「ガーラハイデッカー9」の旧型。側面に「貸切」の表記があり、車番は「B」で始まっている。これも国際興業カラーだ(大塚圭一郎撮影)

 また、動態保存している四輪駆動(4WD)のボンネットバスで、1966年式と同社最古参の車両でもあるいすゞ「TSD40」は、国際興業グループの”渡り鳥”と呼べる存在です。岩手県交通が運用後、引き継いだ国際興業は「さわらび号」と命名して1997―2002年に現在の埼玉県飯能市にある日帰り入浴施設「さわらびの湯」への輸送などに活用。引退後に山梨交通が引き取りました。

 池田常務は国際興業グループ各社が情報を交換し、経営や事業展開に生かす利点もあったとして「かつては国際興業、秋北バス、十和田観光電鉄、岩手県交通、当社が参加するグループの乗合バス部会があり、担当者が集まっていろいろな共通の課題などを話し合っていました」と紹介しました。

 ところが、2000年代前半になると国際興業は過大な債務(借金)を抱えて経営難に陥り、アメリカ系投資ファンドのサーベラスに買収されました。サーベラスは国際興業が保有する資産の切り売りを進め、グループの地方バス会社も手放しました。

 国際興業が持っていた山梨交通株は同社側が買い取り、2014年に山梨交通は“独立”したのです。

 では、国際興業グループを脱した山梨交通は、そのイメージを変えるべく、車両の塗装を一新する可能性はあるのでしょうか。筆者が池田常務に尋ねると、「カラーリングを変える予定はありません」と断言しました。

「国際興業カラー」を変えないワケ

「国際興業との資本関係は外れましたが、営業面ではいろいろな協力をしています」と池田常務は説明し、同じようなカラーリングを維持していることのメリットを例示しました。

Large figure3 gallery16いすゞ「TSD40」の前に立つ山梨交通の路線バス事業部長、池田雄次常務取締役執行役員(大塚圭一郎撮影)

「『山梨でトラベルの仕事があるから山梨交通のバスを出してほしい』と国際興業から頼まれることもあり、その時には当然ながら当社の貸切バスを出します」

 国際興業の利用者であれば社名の表記こそ異なっていても、見慣れたカラーリングのバスが来れば違和感なく乗り込める効能もあります。

 また、山梨交通は国際興業の中古バスを多く譲り受けてきましたが、塗装を大きく変えずに導入できるためコスト低減に一役買うのも利点です。

 ただし、カラーリングは社名表記以外でも一部異なる点があります。池田常務は一例として「当社の高速・貸切バスならば正面を真っ白に塗装していますが、国際興業の車両は青いラインが入っています」と説明しました。

 なお、山梨交通の高速バスと貸切バスのカラーリングは共通ですが、池田常務は見分ける方法も教えてくれました。「側面にそれぞれ『乗合』『貸切』と記しているほか、車番が『C』で始まるのが乗合バス、『B』は貸切バスだと区別できます」

 一方、路線バスでは異なる塗装の車両も存在します。一部の旧型バスは、側面にブドウのイラストが入った山梨交通の旧塗装を今もまとっています。2021年から順次導入している電気バスは、独自のカラーリングが施されています。

 それでも、大部分のバスは国際興業グループの一員だったことを物語る車体色で彩られています。池田常務はその1台を見つめながら、「今も同盟関係が続いていますからね」と目を細めました。

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