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「スマホを持っているだけで受信料を取られる?」テレビのない若者にNHKが「怪しい実験」!

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  • J-CAST ニュース
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図表:テレビを持たない若者へのネット配信実験の仕組み(NHK公式サイトより)
図表:テレビを持たない若者へのネット配信実験の仕組み(NHK公式サイトより)
「スマホを持っているだけでNHKの受信料を取られる!?」

そんな心配が現実になりそうだ。NHKが「怪しい実験」を始めようとしている。テレビを持たない若者を対象に、NHK番組をインターネット配信するのだ。いったい何のために?

「公共放送の使命」とか言っているが、信じる人は少ない。ネットでは怒りの声が巻き起こっている。

「テレビがない若者に質の高い公共放送を届ける」

このNHKの「怪しい動き」について主要メディアは淡々と報じている。たとえば、朝日新聞(8月31日付)「テレビない人向けの配信実証、NHK来年度実施めざす」は、こう伝える。

「NHKは8月31日、テレビを持っていない人などを対象に、インターネットを通じて番組などを試験的に配信する『社会実証』を可能にするため、ネットを使う業務の実施基準の変更案を発表した。8月27日に武田良太総務相が社会実証の実施を求めたことを受けたもので、来年度の実施をめざす。
NHKによると、開始時期や期間、放送番組以外のコンテンツも配信するかなどの内容は今年度中に決める。松坂千尋専務理事は『テレビを持たない人や見ない人に、公共メディアとして情報を届ける意義や役割などについて検証したい』と述べた」

具体的には、どういう「実験」を行うのか。NHKが公式サイトに掲載した「『NHKインターネット活用業務実施基準』の変更について」によると、テレビを持たない若者に、「NHKプラス」にメールアドレスなど連絡先情報を入力してもらい「仮登録」する。

この仮登録でも登録後に近い状態で利用できるが、しっかりと「フルサービス」で番組を見るためには、住所・氏名など契約照合に必要な情報を入力しなくてはならない=図表参照。その後、番組視聴の感想などを調査するようだが、まだ詳しいことは決まっていない。

この突然の「社会実証」の実施は4日前の8月27日に、武田良太総務相が記者会見でNHKに要請した内容を受けてのことだった。なぜ、「社会的な実験」をしてまでテレビを持っていない人にNHKの番組をインターネットで配信する必要があるのか。大いに疑問だが、読売新聞(8月27日付)「NHKのネット視聴、テレビ持たない人にも... 総務省が社会実験を要請」では、こう説明する。

「総務省は8月27日、NHKに対して、テレビを持たない人にもインターネット配信を通じた番組視聴を可能にする社会実験を行うよう要請する。武田総務相が記者会見で明らかにした。ネット上のフェイクニュースや悪意のある情報が問題となるなか、テレビを見ない若者を念頭に、多様なメディアに接してもらう狙いがある。
現時点では、テレビを持たない数千人を対象に、NHK番組のネット配信を無料で視聴してもらう。NHKは昨年4月、地上波テレビ番組のネット同時配信などを行う『NHKプラス』を本格的に開始した。受信契約を結んだ世帯が追加負担なく利用できる。今後ネット配信のみの契約を認めれば、テレビの受信契約減少につながるリスクもある。武田総務相は27日の会見で、『利用者の視聴スタイルは急速に変化している。公共放送におけるネット配信の意義や、サービスニーズを検証する』と述べた」

つまり、インターネット上でフェイクニュースなど質の悪い情報ばかり見ている若者に、公共放送の「質の高い」情報に接してもらうと同時に、ネット配信で番組を提供すると、ますますテレビを購入しなくなり、受信料がとれなくなるという「課題」も検証しようという狙いがあるわけだ。

そのため、あえて「テレビを持たず、NHKと受信料の契約を結んでいない若者数千人」を対象に選んだのだ。

武田総務大臣「スマホから受信料」を否定せず

こうした背景があるため、武田総務大臣の記者会見では、記者たちは大事なことを聞いている。総務省の公式サイトによると、こうだ。

武田総務大臣「インターネットを通じたコンテンツ視聴の拡大など、国民利用者の視聴スタイルが急速に変化する中、公共放送の果たすべき役割・使命について議論を進めていくことが重要です。そこで、NHKに放送番組のインターネット配信の意義や、サービスニーズを検証するため、テレビを保有していない方を対象にした社会実証の実施の検討を要請することにしました」
記者「テレビを保有しない人を対象にした実証実験ということですが、将来的にテレビを持っていない人からも受信料と言いますか、何らかの形でお金を取ったりすることも想定しながらやる実験になるのでしょうか」
武田総務大臣「将来的な方針については、現時点で考えているものではございません。まずは社会実証を通じて、公共放送におけるインターネット配信の意義やサービスニーズが検証されることを期待していきたいと考えています」

将来、ネット配信の利用者から受信料を取るかどうか、武田総務大臣は明確に否定しなかったのだ。

懲りないNHKと武田総務大臣

そもそも今回の「実証実験」の裏には、スマホやパソコンでテレビ番組を見る人からも受信料を取ろうとするNHKの狙いが隠れており、武田総務大臣もそれを支援してきた経緯がある。

今年1月、J-CASTニュース会社ウォッチ(1月25日付)「『NHK受信料はもっと安くなる』と自画自賛の武田良太総務相に『スマホから受信料をとるのを止めさせて!』と怒りの声(1)(2)」で指摘したが、簡単に言うと、若い世代を中心にテレビ離れが進んでおり、テレビ受像機を持たずインターネット経由でテレビ番組を見ている人が少なくない。

そういうスマホやパソコンがある人から受信料を徴収するシステムをつくることはNHKの悲願なのだ。

参考リンク:「『NHK受信料はもっと安くなる』と自画自賛の武田良太総務相に『スマホから受信料をとるのを止めさせて!』と怒りの声(1)」(J-CASTニュース会社ウォッチ 1月25日付)
「『NHK受信料はもっと安くなる』と自画自賛の武田良太総務相に『スマホから受信料をとるのを止めさせて!』と怒りの声(2)」(J-CASTニュース会社ウォッチ 1月25日付)

実際、2020年6月に、総務省の有識者会議では、テレビ受像機を持たずインターネット経由でNHKの番組を視聴している世帯に対して、受信料を徴収することを含めたNHK受信料の制度改正の検討を始めた。

この制度改正は昨年11月、「時期尚早」として見送られたが、武田大臣はその後も、NHKが画策しているスマホやパソコン、カーナビ所有者らからも受信料をとろうとする動きを容認する方向と受け取られる発言を何度もしてきた。たとえば今年1月19日、BS日テレの報道番組「深層NEWS」の中で、ネット受信料について聞かれ、「NHKは受信料によって成り立つ。将来、避けて通れない」と容認の方向を示しつつ、「NHKは国民に賛同されるようなビジョンを示すべきだ」と語り、NHKに丸投げする姿勢を示したのだった。

「ネットの通信は放送法とは関係ない」

そうした中で突如登場した、総務省とNHKが仕掛けた「社会実証実験」。インターネット上には怒りの声があがっている。

ITジャーナリストでソーシャルメディアコンサルタントの神田敏晶氏は、こう指摘した。

「放送法では、テレビ受信機を持っていることが受信料支払いの条件。インターネットでNHKも視聴できる環境があれば同様の考えになりそうだ...。その前に『公共放送』としての資質と資格、そして膨大なネットの中での『公共放送』の位置付けを確認する必要がある。そもそも、ネットのおける『通信』は『放送法』とはまったく関係がない。
たとえば、ブラウザのプラグインでNHKサイトを表示しないツールを作り、そのダウンロード数なども計測するべきだ。現行の『公共放送』を必要としていない人や属性がどれくらいいるのかなども、同時に社会実証実験すべきだ」

他にも、こんな声が。

「「テレビない人向け」にどうすればカネが取れるかの実証実験ですな」

最後にこんな意見を紹介したい。

「私は元NHKのコールセンター・オペレーターです。NHKから教えられたことは、解約させないために手続きを複雑にしていて、契約者に継続させること。だから、電話をしてきた人への案内も、ややこしい話し方で案内していました。今はテレビが主流の時代ではありません。スマホなどで、情報は簡単に得られます。NHKを見るか見ないかは、国民が選択すれば良いこと。そして、見た人が払う。NHKは公共料金という時代、もう止めませんか?」

(福田和郎)

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