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これがカブ!? よく見ろ“ビミョーに名前が違う”だろ――30年前のホンダが放った「世界初の市販電動バイク」とは? 20年後に再来!

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あえて「カブ」と誤読される覚悟で命名された理由

 今ほど環境問題などが注目を浴びなかった1990年代、ホンダは他バイクメーカーに先駆け、世界初の市販電動スクーターを発売しました。

Large figure1 gallery191994年にバイク業界に先駆けて発売された電気スクーター・CUV ES(シーユーヴィー イーエス)(画像:ホンダ)

 その名はCUV ES。一見すると「え? スーパーカブのスクーターが出たの?」と誤読してしまいそうですが、カブのスペルは「CUB」。この電動バイクのスペルは「CUV」であり、読み方は「シーユーヴィー イーエス」なのでした。

 ホンダの矜持たる商標「カブ」と誤読される覚悟で、あえてこの名が付けられたこの電動バイク。そこには、並々ならぬ開発への想いが詰まっていました。

 1980年代からホンダは、環境保全への対応に取り組み、エネルギー源の多様化に向けて研究開発を重ねていました。これらで培った電動技術と、バイクの設計技術とをかけ合わせて誕生させたのがCUV ESです。

 当時のリリースによれば“都市部での使用など比較的短距離での移動に適した原付スクーターの特性や、手軽で軽量かつ機動性が良く、省スペース性に優れたミニマムトランスポーター”であるとしています。また“排気ガスを出さないクリーンで静かな新しい乗り物”とあり、今日の電動バイクの合理性やコンセプトを、ホンダが1990年代にしてすでに確立していたことがわかります。

ライバル・ヤマハの初の電動バイクは数々の賞を受賞

ただし、このCUV ESの市販台数はわずか200台でした。

 販売後はバッテリー充電・回収などを行うため、使用状況を管理する「官公庁や自治体向けの3年間のリース販売」で提供されました。価格は85万円がベース。よって一般に出回るEVバイクではなく、ホンダとしてはある種の「自社開発の製品パフォーマンス」的な意味合いでのリリースだったかもしれません。

 そのため一般バイクユーザーにはほとんど知られなかった一方、バイク業界や官公庁・自治体では「未来のバイク」としておおいに注目を浴びた1台でした。

 ちなみにライバル・ヤマハによる初の電動バイクは2002年に地域限定で発売されたPassol。ヤマハもまた自社の歴史を語るに欠かせない大ヒットスクーターの名をそのまま冠させ、「エレクトリックコミューター」としてリリースしました。

 このPassol は、1993年に「世界初の電動アシスト自転車」として、ヤマハが発売したPASの知見を大いに活かされ、「省エネ大賞・資源エネルギー庁長官賞」をはじめ、数々の輝かしい賞を受賞。この点では、電動バイクの先駆けだったCUV ESよりも時代の注目度と合致していたことがうかがえます。

2010年代以降、ホンダは畳みかけるように電動バイクを続々リリース

 こんな経緯がある中でもホンダは独自に電動化への研究を怠らず、2010年に法人向けのEV-neo、2017年に原付二種クラスPCX ELECTRIC、2019年にBENLY e:とGYRO e:といったプロユースの電動バイクを続々とリリース。さらに2023年には原付一種クラスの一般ユーザー向け電動バイク、EM1 e:をリリースします。

 そして、ついに1994年発売の「CUV」の名を継承したCUV e:を2025年6月にリリース。バイク業界における「電動化」をここでホンダが完全にリードすると思われました。

 しかし、そのCUV e:発売の翌月、とんでもないことが起こりました。

思いを込めたCUV発売翌月に起きた、着脱式バッテリーのリコール騒動

 このとき、ホンダの電動バイクに使用される着脱式バッテリー(リチウムイオン電池)「Honda Mobile Power Pack e:」の内部の溶接に問題が発覚。「発火する恐れがある」として、2025年7月16日、合計10車種(シリーズモデル含む)に対応する約1万9000台のバッテリーのリコールが発表されました。

Large figure2 gallery20満を持して2025年にリリースされたCUV e:(マットガンパウダーブラックメタリック)。1994年発売の「CUV」の名が復活しました(画像:ホンダ)

 神奈川、福岡、熊本県の郵便局車両では実際に3件の火災が起こりました。これを受けてホンダは「対策品への交換が完了するまでは、対象バッテリーの使用をただちに中止すること」と呼びかけました。

 リチウムイオン電池については、今でこそそのリスクが叫ばれるようになりましたが、ホンダのリコール騒ぎを受けて考えると、「電動バイク」はまだ過渡期にあり、本当にガソリンに変わる未来のモビリティになるにはさらなる研究開発と技術進化が必要なのだと思いました。

 まさに「1歩進んで2歩下がる」格好になったホンダですが、これまで数々の革命的開発を続々と行ってきたのもまた、他でもないホンダです。

 今回のリコールで失った信頼を挽回するためにも、「未来のモビリティ」開発へさらに注力し、前進してくれることに期待するばかりです。

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