世紀の失敗作だ!「卑猥なクルマ」「レモンをかじった顔」とまで 自動車大手が “やっちまった” 案件とは
- 乗りものニュース |

誕生から70年近くが経過した現在でも、フォード「エドセル」の記録的な販売不振はマーケティングの失敗例として教科書に載るほどです。綿密な市場調査と多額の宣伝広告費を費やしたにも関わらず、なぜ失敗したのでしょうか。
早逝した創業者の息子から名前をもらった世紀の失敗作
綿密な市場調査を経て巨費を投じて新製品を開発したものの、発売してみると全然売れず、商業的に大失敗ということは、さまざまな製品で起こり得ることです。なかでも高額商品である自動車は、1度でも大きな失敗をすると大手メーカーでも経営が傾き、取り返しのつかないことになってしまいます。
エドセルの最上級モデルで上級部門のマーキュリー車のプラットフォームを流用して作られた「サイテーション」4ドアハードトップ(画像:フォード)。
そのような自動車産業の中でも、マーケティングにおける教科書的な失敗例として今日でも語り継がれているのが、1957年に誕生し、わずか3年で姿を消したフォード社のエドセル部門のクルマたちです。
よく誤解されるのですが、エドセルというのは車種名ではなくブランド名です。共通する意匠のファミリーフェイスを持つエドセルシリーズには、上位モデルから順番に「サイテーション」「コルセア」「ペーサー」「レンジャー」といったセダン4車種と、「バミューダ」「ヴィレジャー」「ラウンドアップ」というステーションワゴン3車種がありました。
ちなみに、ブランド名に使用されるエドセルとは、フォード創業者のヘンリーの息子で、リンカーン部門を立て直し、マーキュリー部門を立ち上げ、第2次世界大戦中にはフォードの工場を軍需へと転換して、B-24爆撃機の量産に尽力するなどの活躍を見せながら、49歳の若さで早逝したエドセル・フォードが由来です。
起死回生を狙った「レモンを齧ったオールズモビル」
1927年のT型フォードの生産終了以来、業界首位の座をGM(ゼネラル・モータース)に奪われて万年2位の座に甘んじていたフォードは、戦後ヘンリーの孫であるヘンリー・フォード2世が経営権を握ると、GMからアーネスト・R・ブリーチを引き抜き、陸軍統計局で働いていたロバート・マクナマラら「神童」と呼ばれるヤングエリート集団を雇い入れたうえで社内改革を実施。GMの追撃を開始します。
フォード創業者ヘンリーの息子エドセル・フォード。経営権を手放そうとしない父親との確執から心労が祟り、1943年に胃癌で死去している(画像:パブリック・ドメイン)。
そのなかで、少量多品種を生産するGMが利益を出している秘密を知ったフォードは、キャデラックからシボレーまでの5部門を展開していたGMに倣い、中級部門のマーキュリーと大衆部門のフォードの間を埋めるブランドとしてエドセルを新設。ここで、マーキュリー車やフォード車のプラットフォームやエンジンを流用した姉妹車を販売する計画を立ち上げました。
新ブランドの立ち上げに際してフォードは、数字至上主義のマクナマラによる指導のもと、綿密なマーケティングに基づいて顧客の要求を製品に反映させます。そのうえで巨費を費やして1年に渡るティーザー・キャンペーンを展開しました。なお、エドセルのスタイリングは発表まで秘密とされ、展示車をディーラーに運ぶ際にも厳重に梱包し、輸送中も警備員を雇って絶対に人目に触れさせないようにしたほどでした。
そして1957年9月4日、いよいよ発売日となりエドセルのベールがついに剥がされます。エドセルに対して期待を膨らませたアメリカの大衆は、ひと目その姿を見ようとディーラーに殺到し、発売日だけで1万人の来場者があったといいます。
しかし、期待に胸を膨らませてやってきた人々は、初めて見るエドセルの姿に失望の表情を浮かべました。デザイナーのロイ・ブラウンは、エドセルを欧州車のように遠くからでもブランドが認識できるよう、個性的なファミリーフェイスを与えたのですが、この斬新すぎたスタイリングが仇となったのです。
過度なマーケティング依存が敗因
アメリカ人の多くは欧州流のファミリーフェイスに馴染みがなく、このクルマのスタイリングを理解できませんでした。結果、エドセルはその特徴的な外観について「レモンを齧ったオールズモビル」「顔に女性器をつけた卑猥なクルマ」とまで揶揄されてしまいました。
アメリカ空軍のF-111「アードバーグ」。マクナマラの音頭で米空軍の戦闘爆撃機と海軍の艦上戦闘機の両方を兼ねる新型機として開発された。結局、海軍は採用せず、商業的に失敗したフォード車になぞらえて「フライング・エドセル」というニックネームが付けられている(画像:アメリカ空軍)。
とうぜん、販売は低迷。冷徹なマクナマラは販売データに基づき、すぐさまエドセルブランドの廃止を決定したとか。このような惨憺たる結果に、発売日翌日にオンエアされた『エドセルショー』が、優れたTV番組に送られるエミー賞の「最優秀ミュージカルショー」に輝いたものの、フォード関係者には全然響かず、慰めにすらなりませんでした。
エドセルの失敗は、さまざまな要因が複合的に絡んだ末と言われています。たとえば、奇抜なスタイリングにも関わらずファミリー内の差別化が充分にされていなかったこと、裏目に出たティーザー・キャンペーン、上級のマーキュリー部門とバッティングする販売価格、デビュー時期が景気の後退局面であったにも関わらずボディの大きな豪華絢爛なクルマを出してしまったことなどが挙げられるでしょう。
しかし、もっとも大きな敗因はマーケティングを過信するあまり、間違った時期に間違った新車を出してしまったことなのではないでしょうか。そして、その責任の一端はとうぜん責任者のマクナマラにあります。
彼はのちにケネディ政権の国防長官に抜擢され、同じ失敗をベトナム戦争で繰り返します。さらに海空軍の機体共通化を目論み、新型戦闘機F-111「アードバーグ」の開発計画を推進しますが、計画から海軍が離脱したことで当初の目論見は大きく外れました。結果、マクナマラのフォード時代の失敗になぞらえて、この戦闘爆撃機には「フライング・エドセル」とのありがたくないニックネームがつけられてしまったほどです。
エドセル本人は1943年に亡くなり、その名を受け継いだクルマは1960年にモデルが廃止され、F-111は計画が失敗したわけで、これらを鑑みるとエドセルは2度ならぬ3度も死んだと形容できるかもしれません。
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