「信号待ち」が全国的に長くなるかも!? 警察庁が指針見直し “歩行者と車の分離”が大幅に増えそうなワケ
- 乗りものニュース |

日本の交通事故死者は、スピードが最も遅いはずの「歩行中」が毎年最多。先進国では日本特有の現象を少しでも改善すべく、警察庁が信号運用の指針を見直します。ただし信号待ちは長くなるかもしれません。
世界的にも特異な「歩行中の死亡事故」大国ニッポン
交通死亡事故の分析手法の一つに「状態別」の分類があります。どんな状態で事故にあったかを示す4類型は「歩行中」「自動車(四輪車)乗車中」「二輪車乗車中」「自転車乗車中」。さらに2024年から「特定小型原付」も加えられました。
一般的な交差点の信号は進行方向の車両用と歩行者用が同時に蒼になる(画像:PIXTA)。
この状態別の類型で、常にトップの割合を示すのが「歩行中」です。これを減らすべく、警察庁が信号の運用指針を見直します。
歩行中の事故には相手車両が存在します。通常の交通死亡事故では歩行者が車両の乗員を死亡させることは考えられず、それゆえ“交通弱者”と呼ばれています。日本では歩行者が犠牲となる事故は当たり前のように起きていますが、歩車分離の進んだ道路や、生活圏と生活圏を結ぶ幹線道路と生活道路が整理された先進国では、歩行中の死亡事故が最上位に来ることは、ほとんどありません。
そんな中でも日本国内の死亡事故は急激な減少を続けていますが、4類型の割合は固定化し、「歩行中」の事故死者がいつも最も多くなっています。2024年と2014年の交通事故死者数とその割合を比較してみます。
・2024年=総数2663人、歩行中965人(36.2%)
・2014年=総数4105人、歩行中1498人(36.4%)
死者数が減少しても歩行中の犠牲者の割合が変わらないのは、それゆえ日本固有の交通事故事情、歩行者とそれ以外の車両が同じ道路を共有していることが原因とされています。
そこで、警察庁交通規制課が打ち出したのが「歩車分離式信号」の設置指針の見直し。つまり、歩車分離式信号を設置しやすくする方針です。
歩行者と車両が分離されれば「歩行者見落とし」はない
交差点は歩行者と車両が混在し、最も事故が起きやすい場所です。一般的な交差点では、歩行者と車両は同じ進行方向の信号に従いますが、歩行者が直進しかできないのに対して、車両は歩行者の直進を遮るようにして左折や右折をすることがあります。この場合、直進する歩行者が優先で、車両は一時停止して安全を確認しなければなりません。
渋谷の有名な交差点で導入されているスクランブル式も、歩車分離信号の一種(中島みなみ撮影)。
しかし、曲がった先の前方に気を取られて、横断中の歩行者を見落とすことが「歩行中」の事故につながります。
「歩車分離式信号」は、歩行者が横断する場合は、歩行者だけが交差点に入るように信号を制御し、車両が同時に交差点へ入らないことが基本です。歩行者の見落としによる事故を信号で防ぐことができます。
歩車分離式信号に切り替えた全国100か所のモデル運用(2002年)では40%の事故を削減したという実績もありました。
歩車分離信号が“大幅に”増える可能性
事故抑止効果がある歩車分離式信号ですが、全国には、1万294基(2023年末)しか広がりませんでした。そのため約20年経過した指針を見直し、整備を加速させることになりました。
その大きなポイントが、事故現場となった交差点での導入を簡単にしたことです。
今回の改正では、死亡事故が起きた交差点では歩車分離式信号の導入が自動的に検討されることになりました。そのほかの事故でも、過去5年にさかのぼって2件以上の交通事故があった交差点や、事故の危険性が高いと見込まれる交差点でも検討すべきと位置付けられました。
さらに、通学路や公共施設付近で生徒、児童、幼児、高齢者などの交通の安全を確保すべき交差点では、特に歩車分離式信号の要望がなくても検討できることになりました。
渋滞するよね? どう考えてるの?
通学路などの交通規制は、通勤時間帯の交通量が増加する時間帯と重なるため、渋滞を招かない慎重な検討が必要です。歩車分離式信号は通常の信号サイクルに、歩行者だけが交差点に進入するもう1つのサイクルが加わるため、信号の待ち時間が長くなるデメリットがあります。
押しボタンに代わってタッチパネル式になった歩行者信号もある(中島みなみ撮影)。
例えば、観光スポットにもなっている東京・渋谷のスクランブル交差点は、斜め横断もできる歩車分離式信号です。あれほど多くの人が一斉に横断する交差点はよいのかもしれませんが、一般的な交差点で、視覚障害者が歩車分離式信号であることを知らないままだと、車両の進行する音で信号が識別しにくくなります。
今回の改正は、こうしたマイナス面があったとしても、歩行中の事故減少が最優先される転換点に来ていることを示しています。
警察庁の指針では、円滑な交通を維持するための対策も盛り込まれています。信号機の色の変化時間や、隣接する信号機とのタイミングのパラメーターを細かく調整することを前提に、例えば、通学路にある交差点のように曜日や時間帯で大きく通行量が変動する場合は、押しボタンが押された場合のみ歩車分離式制御を行い、渋滞の発生を回避・緩和させることとしています。
歩車分離式信号が増えると、さまざまなパターンが登場します。歩行者だけの信号サイクルを作らず、同一方向に進む歩行者信号と車両信号のタイミングをずらすことで、同じ信号サイクルの中で歩車分離を行う「一部歩車分離式」も出てきます。
これからの運転者に求められることは、進行方向の信号を確実に見極めることです。特に歩車分離式の表示がある信号では信号サイクルが複雑になることがあります。交差道路側の信号を見て、「そろそろ(対面の信号が)変わりそうだ」などと予測することは難しくなります。信号機の横に「歩車分離式」の表示が設置されるので、信号の表示を見逃さないように注意が必要かもしれません。
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