高齢者はサイバー犯罪者の「格好の標的」…シニア層に仕掛けられる《犯罪の罠》に専門家が警鐘【敬老の日】
- オトナンサー |

9月15日は「敬老の日」。近年、シニア層を狙ったサイバー攻撃への注意が高まっています。高齢者をターゲットにした詐欺被害は増加傾向にあり、金融情報や個人情報が狙われやすくなっています。高齢者はデジタル機器の操作に慣れていないケースも多く、不審なメールやSMSに反応してしまいやすい点が、犯罪者にとって大きな狙い目となっているのです。
サイバーセキュリティーの専門家であり、NordVPN(オランダ)の最高技術責任者を務めるマリユス・ブリエディスさんは、「高齢者はサイバー犯罪者にとって格好の標的です」と断言。「家族や地域コミュニティーと連携して、事前に安全対策を講じることが重要です」と警鐘を鳴らしています。さらに、「詐欺はメールや電話だけでなく、SNSやメッセージアプリを通じて行われることも多いです」と指摘し、注意の幅を広げる必要があるとも述べています。
高齢者が狙われるサイバー攻撃の種類
警察庁が発表した「特殊詐欺関連統計」によると、2024年、特殊詐欺は日本全国で2万1043件発生し、被害額は717億6000万円に達しました。このうち、65歳以上の高齢者が被害に遭ったケースは1万3738件で、全体の65.4%を占めています。特に、偽警察官や架空請求詐欺が急増しました。
また、2025年にトレンドマイクロが行った調査によると、70歳以上の男性では76.7%が何らかの詐欺や不審な行為に遭遇した経験があり、被害者の52.2%は実際に金銭的損害を受け、平均損失額は264万円に上ります。ブリエディスさんも「統計を見ると、高齢者の被害は深刻です。適切な予防策を講じることで、多くの被害を防げます」と指摘します。
こうした被害の背景には、孤独や相談先の不足もあり、誰にも相談できないまま被害に遭ってしまうケースが少なくありません。高齢者を狙う手口としては、特に次の3つが目立ちます。
【年金関連のフィッシングメール】
日本年金機構や銀行を装い、「情報を更新してください」「支払い内容を確認してください」と誘導する詐欺メールです。リンク先の偽サイトにアクセスすると、個人情報や金融情報が盗まれます。
【生成AIを用いた音声詐欺(ボイスフィッシング)】
AIでリアルな声を作り、家族や役所職員を装う詐欺です。「子どもが困っている」「孫が助けを求めている」などと偽り、緊急送金を求めるケースがあります。ブリエディスさんは「AIの技術進化により、声だけで信用させる手口が増えています」と警告します。
【SMSやメールでの怪しいリンク】
配達通知や公共料金の請求、行政からの更新情報などに見せかけ、偽サイトやマルウェアを仕込む手口です。URLを確認する習慣がない高齢者は特に危険です。
高齢者向けの実践的な防御策
高齢者の詐欺被害防止には、家族や地域での支援が直結します。ブリエディスさんは「家族と定期的にコミュニケーションを取り、典型的な詐欺手口を共有することが最も効果的です」と述べています。
(1)家族との日常的な会話:
「不審なリンクをクリックしない」「見知らぬ番号からの送金は必ず確認する」などの基本ルールを共有しましょう。
(2)デバイスの安全設定:
迷惑メールフィルター、セキュリティーアプリ、二要素認証、自動アップデートを有効化することで、マルウェア感染を防止します。特にVPNの導入は、公共Wi-Fiや外出先でも安全にオンライン活動を行えるため、高齢者に推奨されます。
(3)緊急連絡先のリスト化:
家族、銀行、市役所などの信頼できる番号をまとめ、怪しい連絡があった際にすぐ確認できるようにしておきます。
(4)リモートサポートの活用:
離れて暮らす場合は、遠隔操作やスマホ機能を使い、子どもや地域ボランティアが設定やアップデートを支援しましょう。
(5)高齢者向けセキュリティアプリの利用:
VPN、ウイルススキャン、フィッシング警告機能が付いたアプリで日常的に保護します。ブリエディスさんは「こうしたツールを使うだけでも被害リスクは大幅に減らせます」と語ります。
さらに、フィッシングメールや不審なSMSを見分けるためのポイントも示すと効果的です。具体的には「公式のドメインを確認する」「署名や連絡先情報が不自然な場合は注意」「緊急性を強調して金銭を要求する場合は詐欺の可能性大」の3つです。
高齢者向け啓発の重要性
消費者庁によると、70歳以上の高齢者のうち、フィッシングメールを正しく識別できる人は42.7%、問題を「十分理解している」と答えた人は23.5%にとどまります。全国平均と比べても大幅に低く、認知の遅れが被害拡大につながっています。
ブリエディスさんは「高齢者向けのセキュリティー教育やツールの提供は不可欠です。家族や地域でのサポートと組み合わせることで、被害リスクは大幅に減らせます」と語ります。特に、自治体や地域包括支援センターが中心となって「デジタル安全講座」を開催するなど、啓発活動を日常的に行うことが重要です。
日常生活の中でも、簡単にできる予防策があります。
・パスワード管理:複雑なパスワードを作り、定期的に変更する
・公式サイト確認:銀行や役所からのメールは、必ず公式サイトからログインする
・二要素認証(2FA)導入:アカウント乗っ取りリスクを軽減
・VPN利用:公共Wi-Fiや旅行先でも通信を暗号化し、個人情報漏えいを防ぐ
・地域ボランティアとの連携:自治体やNPOが開催する「シニア向けネット講座」に参加し、最新の詐欺手口や防御策を学ぶ
ブリエディスさんは、こう強調します。「テクノロジーだけでなく、家族の協力と日常的な習慣の改善が、シニアを守る鍵です」。
高齢者はサイバー犯罪者に狙われやすい一方で、予防策を講じれば多くの被害を防ぐことが可能です。家族や地域コミュニティーが定期的に情報を共有し、信頼できるセキュリティーツールを活用することで、安心してオンライン生活を送れます。
敬老の日をきっかけに、離れて暮らす高齢者の安全を一緒に見守る取り組みが求められています。被害の防止には、フィッシング対策、AI音声詐欺への警戒、VPNやセキュリティーアプリの活用など、複合的なアプローチが鍵となるのです。
オトナンサー編集部
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