若者に多い「電話恐怖症」は不安障害? 精神科医が教える3つの“克服法”
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近年、主に20代の若い人が職場で外部に電話をかけたり、職場にかかってきた電話を受けたりする際、強い不安や恐怖に襲われるケースが増えているとして注目を集めています。こうした現象は「電話恐怖症」(テレフォビア)といわれていますが、なぜこのような状態に陥るのでしょうか。電話恐怖症を克服することは可能なのでしょうか。
電話恐怖症の原因や受診の目安などについて、ライトメンタルクリニック(東京都新宿区)理事長で精神科専門医、精神保健指定医の清水聖童さんが解説します。
即座に返答が求められる電話に慣れていない
若い人が電話恐怖症になる原因として「デジタルコミュニケーションの変化」が挙げられます。若年層はテキストメッセージやSNSといった非対面・非同期型のコミュニケーションに慣れており、「即座に返答が求められる」電話に対して強い緊張を抱きやすい傾向にあります。実際、スマホやタブレットなどのデジタル機器を日常的に多用する人ほど電話への不安が高いことが報告されています(※1)。
電話という形式では、声のトーンや反応が即座に伝わり、誤解や沈黙が不安につながることもあります。この点が、もともと対人不安を抱える人々には強いストレスの原因となります。
実際にインドの医学生を対象とした研究では、9%が中等度以上の電話恐怖症を持ち、日常生活に支障を来していることが明らかになりました(※2)。
自分が慣れていない環境やフォーマルな会話に苦手意識がある場合、電話という「即時対応」が求められる場面は、プレッシャーの強い状況になります。このことも不安を増大させる要因となっています。
電話恐怖症が原因で強い不安や恐怖に襲われる状態が続く場合、受診を考える人もいると思います。電話恐怖症自体は現在の「DSM-5」(精神疾患の診断基準)などに正式な診断名としては記載されていませんが、実態としては「社会不安障害」や「特定の恐怖症」に分類されることがあります。つまり、精神的な不安症状の一種と捉えることができます。
受診が望ましいのは次のようなケースです。
・電話が原因で日常的な業務や人間関係に支障が出ている。
・「他の人に電話に出てもらうよう頼む」「着信を無視する」など、電話に対する極端な回避行動が続いている。
・電話対応の前後で、強い動悸(どうき)や発汗、思考停止などの身体反応が見られる。
こうした症状が継続的に見られる場合は、心療内科や精神科の受診を検討すべきです。
なお、電話恐怖症は克服可能です。精神医学的アプローチ、行動療法的アプローチを通して段階的に改善することができます。次の3つの方法があります。
■認知行動療法(CBT)
電話に対する「過剰な恐れ」や「失敗への思い込み」に対処するため、認知のゆがみを修正するトレーニングが有効です。特に「段階的暴露療法」(exposure therapy)では、まず短い電話練習から始めて徐々に難易度を上げる方法が取られます(※3)。
■マインドフルネスや神経フィードバック
不安症状を軽減するための最新アプローチとして、神経フィードバックを活用したマインドフルネスプログラムが注目されています。若年層を対象とした研究では、モバイル依存や関連する不安、ストレスの軽減に効果があると報告されています(※4)。
■スキル訓練とロールプレイ
電話対応時の基本的な対処法を記載したマニュアルを準備したり、職場でのロールプレイを繰り返したりすることで、実践的な安心感を得ることもできます。小さな成功体験を積むことが重要です。
電話恐怖症は、現代のデジタル社会の中で新たに顕在化した社会不安の一つです。特に若年層では「即時対応」や「声のやりとり」に対する心理的な壁が大きく、精神的ストレスの原因にもなり得ます。
しかし、精神的支援や段階的な訓練によって克服は十分に可能です。電話対応に不安を感じている本人が「電話恐怖症に悩んでいるのは自分だけではない」と認識し、必要に応じて専門家に相談することが克服の第一歩となります。
【参考文献】
(※1)Leanna T.Kim,Sang-Hwa Oh(2023).Predicting telephone anxiety:use of digital communication technologies,language and cultural barriers,and preference for phone calls
(※2)Yog P.Bairwa,Arun Udayaraj,Souvik Manna(2024).The fear of smartphone notifications and calls among medical students:The phone ring phobia syndrome or telephobia
(※3)R.Swinson,Karen Fergus,Brian J.Cox,Kim Wickwire(1995).Efficacy of telephone-administered behavioral therapy for panic disorder with agoraphobia
(※4)Mei Fernandez-Crespo,Jose I Recio-Rodriguez,Hsin-Chien Lee,Rosario Alonso-Dominguez,Angel L Montejo,Laura Hernandez-Gonzalez,Virginia Iglesias Sierra,Maria I Rihuete-Galve(2024).Study protocol of a proposed Neurofeedback-Assisted Mindfulness Training Program on symptoms of anxiety and psychological distress associated with smartphone use in young adults:a randomized controlled trial
オトナンサー編集部
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