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地場産業の「皮革製品」をがっちりサポート 台東区の画期的な創業支援施設「浅草ものづくり工房」とは

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浅草ものづくり工房とは

 去る2019年10月、台東区の北東に位置する「浅草ものづくり工房」(台東区橋場)で一般公開が行われました。自治体が運営する施設としてはちょっと珍しい、職人のための創業支援施設。はたしてそれは、どんなところなのでしょうか。早速取材に出かけてみました。

学校の校舎を再利用した「浅草ものづくり工房」のエントランス(画像:黒沢永紀)

 地下鉄浅草駅から隅田川沿いに北へ約2kmにある「浅草ものづくり工房(以降「ものづくり工房」)」は、台東区の地場産業である皮革製品を中心に、ものづくりに関わる職人が独立できるまでの支援を行う施設です。

 クリエイター用のシェアオフィスなどを運営する自治体は他にもありますが、単にスペースを提供するだけではないのが、ものづくり工房の最大の特徴。すでに事業を立ち上げてはいるものの、その事業をより成長させたいという意欲的な職人を対象に、最長3年間の入居期間の間に、さまざまなノウハウを受けられます。

 自治体が運営する施設としては、あまり類例をみないこの台東区の挑戦は、実はゼロから計画したものではありませんでした。その発端は、少子化により増える廃校の用地再活用だったといいます。

 区役所内のさまざまな部署に割り当てられた廃校再活用の課題。その中で、産業振興課が取り組んだのが、地場産業の振興を見据えた、創業支援施設の構想でした。

 新御徒町の小島小学校を再活用したデザイナーの独立支援施設「台東デザイナーズビレッジ(以降(デザビレ)」の成功をもとに、おなじく学校だった建物を再利用して2009(平成21)年にオープンしたのがものづくり工房。

ものづくり工房のさまざまな特徴

ものづくり工房のさまざまな特徴

 そんなものづくり工房には、施設ならではのさまざまな特徴を備えています。

 まず、皮革製品を加工する各種の機器を常備していること。洋服のデザインであれば、家庭用のミシンでも縫えますが、革の場合は特殊なミシンでないと縫製ができません。これが、個人で購入するにはとてもハードルの高いものばかり。そんな高価な皮革用加工機器をいくつも常備しているのが、ものづくり工房の大きな特徴です。

革を型抜きするプレス機械(画像:黒沢永紀)

 また、ハード面でのサポートとは別に、製品や技術の売り込み方など、ソフト面をサポートしているのも、ものづくり工房の大きな特徴です。

 職人の世界では古い慣習が今でも根強く残り、ものづくり工房に入居してくる技術者の人たちも、「下請けです」と挨拶してしまうそうですが、それだと価格を叩かれてしまいます。

 下請けではなく「他にはない技術を提供できる職人」と伝えるなど、ビジネスでの付加価値の付け方や自分の売り込み方、ひいてはより高い稼ぎ方を教えてくれるのも、ものづくり工房の大きな魅力といえるでしょう。

 そしてこれらの支援を行なっているのが、インキュベーション・マネージャーの島田浩司さんです。島田さんは、大手アパレルメーカーのワールド(神戸市)のご出身。ワールドでは新規事業開発に携わり、また退社後には服飾開発、そして事業開発の研究所を設立。ファッション業界を中心に新しいビジネスモデルを創造する事業開発のプロデューサーです。

「職人としては現状のままでもやっていけるが、自分たちをどう伝えて売り込んでいくか。独立するノウハウを教えることこそ、ものづくり工房の最大の特徴」と、第一線で活躍されてきた島田さんは熱く語ります。

実際の工房はどうなっているのか

実際の工房はどうなっているのか

 さらに月例のセミナーでは、マーケティングの専門家や伝説のアパレルメーカー「VAN」の創業メンバーなどを招へいして、貴重な話を聞けるのも、嬉しいことだと思います。

 加えて台東区には靴職人の養成学校もあり、それらの卒業生がより短期間で効率よく独立できる道筋を作るのも、ものづくり工房の役割といえるでしょう。

 2009(平成21)年の開設以来、約30組が卒業し、その半数以上が区内に定着しているといいます。「皮革関連の仕事をする場合、素材も機械もここにあるので、区内の定着率が高くなるのでしょう」と島田さん。

 3階建の建物の中には、皮革用の特殊加工機械が揃えられた制作室と、創業支援を受けている事業者がい9組入居しています。

 1階には皮革用のミシンをはじめ、革の型抜き機や研磨機など、さまざまな皮革加工用の機器がずらりと揃う1室が。いずれも個人で購入するにはいささか高価な機器ばかりですが、ものづくり工房では、これらの機器を全て無料で使用できるのもメリットです。

 靴の底縫いを専門とする高野さんの運営する「セカンド・オーシャン」には、とても高価な四種類の底縫い機械があり、メーカーや個人事業主のさまざまなオーダーに対応できる体制を整えています。一口に底縫いといっても、コバの見える部分や、その横、そして中縫いなど、さまざまな工程があり、特殊な機械とそれを使いこなす熟練した技術を必要とされる分野。それを一手に引き受けているのが、セカンド・オーシャンです。

高価な底縫いの機械が揃う「セカンド・オーシャン」の工房(画像:黒沢永紀)

 和田さんの「ラ・ジョイア」は、本藍染めを皮革製品に取り入れた新しい試み。アルカリに弱い革をそのまま藍染にすると、縮んで硬化してしまい、使い物になりません。そこで、染液を調整すること約2年、やっと皮革に使える染料に作り変えることができたようです。一般的には綿製品で知られる藍染。しかし、藍染された皮は、藍染特有の深い藍色がよりビビッドに発色している印象を受けます。

ニッポンの職人魂を世界へ

ニッポンの職人魂を世界へ

 そのほかオリジナルの靴制作を続けながら、浅草靴産業のあらたな生産システムの確立を目指すシューメーカー・有馬さんの「アリマ製靴所」や、豚の革を半透明にする特殊加工を施した巾着型バッグなどを製造するかたわら、ウェブデザインなどもてがけるマルチクリエイター、一瀬さんの「MZK DESIGN」など、高感度で個性的な挑戦を続ける事業者が入居しています。

「ゆくゆくは、海外の有名ブランドからオファーがくるような形へしていくと同時に、個人の技術をもって海外で単身進出して仕事が出来るような職人を輩出していきたい」と、島田さんは展望を語ります。

 皮革産業に限らず、精密機械をはじめとした職人の技術は世界にも認められる日本の素晴らしい伝統です。しかし島田さんもいうように、職人の仕事が日の目を見ないのもまた実情。「浅草ものづくり工房」の挑戦が、ニッポンの職人魂を世界へ羽ばたかせる魁(さきがけ)になってくれることを願ってやみません。

隣接する建物に併設される、常時観覧可能な皮革産業資料館(画像:黒沢永紀)

 浅草ものづくり工房は普段は一般開放はしていませんが、併設する皮革産業資料館は、常時観覧可能(09:00~17:00・月曜休)。小錦が履いた巨大な革靴や、V9時代の巨人軍選手のミットなど、皮革産業の歴史が楽しめる資料館です。

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