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待望の新戦車も“ムダ花”に… アメリカ製兵器が陥る「機能モリモリ病」の深刻さ

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  • 乗りものニュース
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アメリカ陸軍は、歩兵旅団戦闘チームへの火力支援を目的として開発されたM10「ブッカー」の調達中止を、突如発表しました。じつは、これまでにもアメリカは兵器開発プロジェクトで苦難の歴史を経験してきました。その背景は一体何なのでしょうか。

せっかく完成したのにナゼ中止!?

 アメリカ陸軍は2025年5月5日、戦闘車両M10「ブッカー」の開発・調達プロジェクトを中止して、導入をキャンセルすると正式に発表しました。

Large figure1 gallery4 アメリカ陸軍が調達中止を決めたM10「ブッカー」戦闘車(画像:アメリカ陸軍)。

 M10はアメリカ陸軍が推進している「歩兵旅団戦闘チーム(IBCT:Infantry Brigade Combat Team)の火力支援能力強化を目的に開発された、履帯(キャタピラ)で走行する装軌式装甲車です。主武装には、陸上自衛隊の16式機動戦闘車や、退役した74式戦車などと同じ105mm砲を搭載しています。

 105mm砲を搭載する装軌式装甲車は軽戦車に分類されることが多いのですが、アメリカ陸軍はM10を軽戦車よりも機動性の高い戦闘車両として開発をスタートさせたため、軽戦車ではなく戦闘車両(Combat Vehicle)に分類していました。

 戦闘車両の機動性は、輸送機や船舶にどれだけ搭載できるかで能力が決まる「戦略機動性」と、車両そのものの走行性能で能力が決まる「戦術機動性」で評価することができます。アメリカ陸軍は当初M10に、C-17輸送機で2両を輸送できる戦略機動性と、必要に応じて輸送機から空中投下する能力を与える方針でした。

 ところが、開発途中で重量の増加により、空中投下能力の付与は放棄され、戦略機動性も主力戦車のM1エイブラムスと同様、C-17輸送機に1両しか搭載できないレベルに下方修正されています。

 戦術機動性に関しても、当初は重量の大きなM1などの車両が展開できない場所で運用することを目指していましたが、運用試験を行っていたフォート・キャンベルに所在する11の橋のうち、6つがM10の重みで崩壊する可能性が指摘される始末。こうしてM10は当初の構想からかけ離れた戦闘車両になっていました。

 M10の戦闘重量は42トンと発表されています。フィリピン陸軍はM10と同じ105mm砲を主兵装とする軽戦車「サブラ」をイスラエルから導入していますが、サブラの重量は防御力を高める増加装甲を装着した場合でも33トンにおさまっています。サブラと比較すると、M10が軽戦車としては重すぎて戦略・戦術機動性に乏しく、それでいて攻撃力や防御力では主力戦車のM1に及ばない、中途半端な戦闘車両であることがよくわかると思います。

 M10が中途半端な戦闘車両になってしまった最大の原因である、当初計画からの大幅な重量の増加は、アメリカの兵器開発にありがちな、開発中の機能の追加によって起こったものと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。

使い勝手が良い兵器を目指した結果…?

 航空自衛隊が運用しているF-35戦闘機も、当初はステルス性能こそ重視するものの、その他の点ではF-16戦闘機などと大差ない、簡素な代わりに安価な戦闘機として開発がスタートしました。

Large figure2 gallery5アメリカ空軍が導入したOA-1K「スカイレイダー2」(画像:アメリカ空軍)。

 F-35を開発していた1990年代から2000年代にかけては、コンピュータや電子機器が急速に進化していた時期でした。このためF-35も当初計画の簡素で安価な戦闘機から、先進技術の導入によって機能を追加した結果、より複雑で高価な戦闘機になってしまいました。

 もっともF-35の場合は機能の追加が大きな拡張性につながったため、それがアメリカ軍の戦力を増強だけでなく、輸出面での成功も導きました。

 しかし、F-35と同時期に計画されていた、アメリカ陸軍のM1などの車両をすべて更新する「FCS」(Future Combat System)は、国家対国家の正規戦、テロ組織などを相手とする非正規戦のどちらにも対応できる兵器システムを目指した結果、機能の追加に伴う重量の増加や価格の高騰で、計画そのものが頓挫してしまいました。

 アメリカ特殊作戦軍が2025年に就役させた偵察機兼軽攻撃機OA-1K「スカイレイダー2」は、こうした経緯で大幅に就役が遅れた装備の一つです。OA-1Kは当初、アメリカ軍が非正規戦への対応を最大の使命としていた2010年代初頭にかけて就役する予定でしたが、機能の追加などで開発が遅れに遅れました。

 依然としてテロリスト集団や麻薬密売組織などとの非正規戦を展開するアメリカにとって、OA-1Kが無用の長物となってしまうことはないのですが、現在のアメリカ軍には正規戦を念頭に置いた装備体系の整備が求められており、やや「出し遅れの証文」になってしまった感は否めません。

 アメリカ軍は全世界で戦うことを想定しているため、自軍向けに開発する兵器には、いかなる環境下でも戦えるだけの高い能力を求めており、アメリカにはそれを実現できる他国とはケタ違いの高額な防衛予算と、高い能力を持つ防衛産業があります。

 軍が運用する兵器に、より高い能力を求めること自体は決して間違いではないのですが、より高みを目指した結果、重量の増加や価格の高騰、開発の遅延などを招き、使い物にならない兵器を生み出してしまう、言わば「アメリカ製兵器病」とでも言うべき弊害が顕在化しています。これを改善できなければ、アメリカの防衛が危うくなるだけでなく、アメリカ製兵器の国際市場競争力も損ねてしまうのではないかと筆者は思います。

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