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風邪薬を過剰摂取…「オーバードーズ」に陥るのはなぜ? 実は“誰にでもなる可能性”【薬剤師が解説】

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オーバードーズに陥ってしまうのはなぜ?(画像はイメージ)
オーバードーズに陥ってしまうのはなぜ?(画像はイメージ)

 市販の風邪薬やせき止め薬などの医薬品を過剰に摂取してしまう「オーバードーズ(OD)」が社会問題化しています。厚生労働省によると、近年、医薬品のオーバードーズが原因と疑われて救急搬送される人が増加傾向にあり、特に10代の人や20代の人が搬送されるケースが増加しているといいます。

 なぜオーバードーズをしてしまうのでしょうか。オーバードーズのリスクや未然に防ぐ方法、オーバードーズをしている人への接し方などについて、薬剤師の真部眞澄さんに聞きました。

うっかり薬を多く飲んでしまうケースも

Q.そもそも、オーバードーズとはどのような行為を指すのでしょうか。オーバードーズの原因も含めて、教えてください。

真部さん「オーバードーズの定義は、意図的または偶発的に、薬を決められた量よりも多く服用してしまうことを指します。意図的なものは自傷行為の一種といわれており、『精神的なつらさを和らげたい』『死にたい』といった理由から、睡眠薬や鎮痛薬、風邪薬、麻薬性のせき止め薬などを大量に服用してしまう行為です。原因は精神的ストレスや孤独感、自己肯定感の低下などで、現実逃避をしたいという願望によるものだと思います。

ネット上の情報から『これくらいなら大丈夫』『市販薬なら大丈夫』という誤った知識を得て、この人が大丈夫なのだから自分も大丈夫だろうと思って手を出してしまうのです。

また、一部の成分によって強い幸福感を得られたり、眠気や疲労感を軽減できたりすることがあります。しかしこれは一時的なので、離脱症状が起きてオーバードーズを繰り返してしまうといったことが起きてしまうのです。これは体を壊すまで続いてしまいがちです。やめろと言って簡単にやめられるものではありません。オーバードーズをやめるには、根本の原因を解決する必要があるでしょう。

なお、麻薬性のせき止め薬は用法、用量を守っていれば非常に効き目がよい薬であり、怖いものではありません。しかし、それを大量に飲むと脳に働きかけて眠気や吐き気、呼吸困難、昏睡状態といった症状を引き起こし、大変危険な状態になってしまいます。

もう一つはうっかりや知識不足でオーバードーズをしてしまうケースです。例えば風邪薬と解熱鎮痛剤のように、含まれている成分が重なっている薬について、成分が重なっていることに気付かずに一緒に飲んでしまい、オーバードーズになる場合があります。また、よく漢方は安全だからと何種類も飲んでいる人がいますが、漢方も成分が重複していることが多く、副作用のリスクが大きいです。知識不足によるオーバードーズも非常に危険なので、成分をよく確認して服用しましょう」

Q.オーバードーズの主なリスクについて、教えてください。

真部さん「主なリスクは中毒症状です。幻覚や精神の興奮状態、思考力の低下、知覚過敏などに加えて、大量の薬を排出するために肝臓や腎臓、心臓にも大きな負担がかかり、ひどい場合には臓器不全になるリスクもあります。

さらに、脳の中枢に影響のあるせき止め薬を過剰に服用した場合は、呼吸抑制や意識障害、めまい、立ちくらみなどが生じることもあるでしょう。薬の代謝の際に強い不安感や動悸(どうき)、けいれん、吐き気などの離脱症状が出ることもあります。

しかし、薬によって少しでも高揚感が得られると、『またそれを味わいたい』『逃げたい』と感じ、薬に依存して繰り返してしまったり、精神状態が悪化してしまったりするのです。

なお、複数の薬を大量に同時服薬した場合は、死亡リスクも出てくるでしょう。もし死亡しなかったとしても、オーバードーズをしたことによって意識がなくなり、緊急搬送されて集中治療が行われたり、入院したりすることもあります。オーバードースをした薬の種類や量によって中毒症状が異なるため、搬送されたときに薬の確認が取れないと処置が遅れ、命に関わることもあります。中には、後遺症で物忘れのしやすさが残ってしまったり、通院が必要になってしまったりするケースもあります。

本人の想像以上に心身の健康を損なってから『こんなはずではなかったのに』と後悔するケースも多いです。安易にオーバードーズに手を出すことはしないようにしましょう」

Q.家族や知人などがオーバードーズかどうかを見分ける方法について、教えてください。

真部さん「オーバードーズをしたかどうかについては、激しい錯乱状態や酩酊(めいてい)しているような状態、正しい判断ができない、会話がおぼつかないなどの特徴から見分けることができます。

また、そこまでの症状は出ていなくても、『薬をたくさん飲んだ』という発言や、『もうどうでもいい』といった投げやりな発言、吐き気やふらつきがあったり、ぼんやりしていて何を飲んだのかよく分からなかったりする場合もオーバードーズを疑ってください。ごみ箱に薬の包装が大量にあったり、薬を必要以上に欲しがったり、処方を変えたがったりするのもサインです。

基本的に、何かしらのサインは出していると考えてよいでしょう。わざとサインを出して、誰かに気付いてほしいと思っている人もいると思うので、ご家族などの周囲の人が気付いてあげるのがポイントだと思います」

オーバードーズを未然に防ぐ方法は?

Q.オーバードーズを未然に防ぐ方法はありますか。また、すでにオーバードーズの傾向がある場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。

真部さん「うっかり同じ成分の薬を複数飲んでしまう危険性の場合は、『今これを飲んでいるのですが、これも飲んでも大丈夫ですか?』など、ぜひ薬剤師に気軽に相談してください。うっかりの場合のオーバードーズは、薬剤師に相談することで防げると思います。

しかし、意図的な場合は未然に防ぐのが難しいのが現状です。未成年が簡単に何本も同じ製品を買おうとしている場合、売らないという方法もありますが、薬局を何軒も渡り歩いて1本ずつ買われると、私たち薬剤師にはどうしようもありません。そのため、家族や周囲の人が不調を打ち明けやすい環境を整えてあげることが大切です。つらさや不安は薬ではなく、人との会話で軽減することも少なくありません。否定されずに話すことでスッキリしたり、話している間に自分の中で整理できたりすることもあります。周囲の人は話を否定せずに、まずは傾聴の姿勢で全て聞くことが大切です。

すでにオーバードーズの傾向がある場合は、1人で抱え込まずに医師や薬剤師、カウンセラーといった専門家に相談しましょう。家族や友人などの周囲の人が気付いた場合は、まずは責めたり否定したりせずに話を聞いて寄り添い、できれば一緒に医療機関を訪れるのがお勧めです。周囲も自分が何とかしなければと気負い過ぎずに、第三者や専門家に助けを求めましょう。意識障害や嘔吐(おうと)、呼吸異常などが生じている場合は迷わず救急車を呼ぶか、すぐに受診してください。

薬は安心材料になりますが、頼り過ぎると心も体も追いつかなくなります。そのため、薬のみで心の状態を治すことは難しいです。カウンセリングと薬を組み合わせるのがベストなのではないでしょうか。困ったときは、薬よりもまずは人を頼っていただければと思っています。

なお、『○○を飲んだら楽になった』などのSNSの投稿を真に受けないことも大切です。SNSの投稿には『楽になったけれど、その後にこのような副作用があって体を壊してしまった』といったマイナスの内容までは書いていないかもしれません。都合の良い部分だけ信じてしまわないように注意しましょう」

* * *

 オーバードーズには、さまざまなリスクがあることが分かりました。意図的に大量の薬を飲むケースだけでなく、誤って決められた量以上の薬を飲んでしまうケースもあるとのことなので、オーバードーズをしてしまう可能性は誰にでもあると言えます。薬を飲む際は、風邪薬と解熱鎮痛剤のように、含まれている成分が同じ薬同士を飲まないように気を付けることが大切です。

オトナンサー編集部

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