降車ボタン押してても「通過します」!? 高速バス「東京の“ウラ停留所”」超便利なのにアピールしなくなったワケ
- 乗りものニュース |

東名高速から首都高へ入ってすぐの用賀PAは、一部の高速バスが停車します。しかし、時刻表や予約サイトにその名はなく、まさに“幻の停留所”。同様のことが行われる他の首都高PAとも、対照的な存在となっています。
首都高の渋滞対策で生まれた停留所
静岡、神奈川方面から東名高速道路を東に向かい、本線上の東京料金所(神奈川県川崎市)を通過すると、多摩川を渡ってすぐに東京インターです。その先は首都高速3号渋谷線で、高速バスの車内からは都心の高層ビル群を望めます。終点の渋谷マークシティやバスタ新宿もまもなくです。
用賀PAに停まる高速バス(成定竜一撮影)
ところが、便によっては「まもなく用賀パーキングエリア(PA)です」と車内アナウンスが入ることがあります。
用賀PAに停車するとの情報は、バス事業者の時刻表には記載されていません。予約サイトでも、東名江田(横浜市)、東名向ヶ丘(川崎市)など高速道路本線上の停留所までの予約は取れますが、用賀はその中に入っていません。
ただ、首都高速3号線は用賀から渋谷まで東急田園都市線と並走します。同線用賀駅は用賀PAのほぼ真下にあり、特に首都高速の渋滞時には鉄道への乗り換えは有効といえるでしょう。
事前に予約できない”幻の停留所“。なぜ正式な停留所扱いにならないのでしょうか。
用賀PAは、3号渋谷線の都心方面の車線に設けられています。ここに停留所が設置されたのは2010年のことです。国土交通省関東運輸局らによる実証実験の一環でした。
実験の目的は「高速バス&レールライド」です。首都高速が渋滞した際に、都心に入る手前で鉄道に乗り換えることで定時制を確保するという試みです。先行して、6号三郷線の八潮PA(つくばエクスプレス八潮駅へ徒歩すぐ)でも同様の実験が行われています。
対象となる高速バスは、昼行路線です。高速バスのうち、片道2~4時間程度の中距離路線は「地方の人の都市への足」として成長し、大都市への出張やショッピングなど多様な需要があり、片道1時間ほどの短距離区間では通勤通学需要も少なくありません。御殿場や神奈川県西部から都内への高速バスは、1時間あたり数本と高頻度で運行している上、区間によっては鉄道より速く到着します。
しかし、課題もあります。上り便、特に朝7~9時台に都心に到着する便は、首都高速の渋滞による遅延が懸念されます。
なぜ「正式」じゃないのか
そこで用賀PAに焦点が当たりました。朝の渋滞は用賀から先で起こることが多く、立地としては絶妙といえ、PA内にバス1台分の降車バースを整備し停留所を設けました。当初は、一人100円で田園都市線の用賀~渋谷に乗車できる引換券を乗務員が発行していました。
首都高八潮PAに停まる高速バス。こちらは、つくばエクスプレス秋葉原駅まで100円で乗り継げる制度も継続している(乗りものニュース編集部撮影)
この引換券は、バス営業所での現場オペレーションが煩雑となるほか、東急電鉄と各バス事業者間の精算方法といった課題があり、早期に廃止となりました。しかし降車停留所としての機能はそのまま維持され、東名方面の一部の路線で停車が継続しています。
それなのに時刻表に記載がないのは、「正式な停留所」扱いとなっていないためです。
NEXCOが管理する高速道路(本線上や、SA、PA内)にある停留所は、複数台のバスが同時に停車できるうえ、さらに後続のバスが来ても車路上で待機する余裕があります。
しかし用賀PAは狭小で、降車バースは1台分がせいいっぱいです。複数のバスが連続して到着した場合など、降車ボタンが押されていても通過せざるを得ないこともあります。
そのため正式な停留所扱いされず、あくまで臨時停留所なのです。各地から用賀までの予約や乗車券購入(つまり運送契約)はできず、渋谷や新宿などへの乗客が、「前途放棄」(途中で降車するが差額の返金などを求めないこと)により用賀で降車するという扱いになっています。
バス事業者の対応も、「渋滞発生時のみ、用賀停車を案内する」「渋滞の有無にかかわらず案内する」「臨時停車の対象外」など各社で分かれます。
同様に実証実験からスタートした八潮PAの臨時停車が、本格運用に移行したのとは対照的です。やはり、用賀PAの面積が狭く「場合によっては通過せざるを得ない」リスクが影響しているようです。
なお、実証実験ではなく、自然発生的に渋滞時に鉄道への乗り換えが行われている例として、前述の東名江田(東急田園都市線、横浜市営地下鉄ブルーラインあざみ野駅へ徒歩10分)に加え、中央道日野(多摩都市モノレール甲州街道駅へ徒歩7分)、大阪・千里ニュータウンの桃山台(北大阪急行桃山台駅すぐ)、明石海峡大橋の高速舞子(JR神戸線舞子駅、山陽電鉄舞子公園駅の真上)などの停留所があります。
秘密の通路感がスゴイ!?
さて、用賀PAで降車するとトイレや自動販売機を利用できますが、あくまで降車であって休憩ではないので、バスに戻ることはできません。
高速バス車内での用賀PAの停車案内(成定竜一撮影)
そして、高速バス降車客に限り、業務用(兼)非常用の階段で地上へと降りることができます。この階段は、しゃれた意匠がなされた休憩施設と対照的にコンクリートがむき出しで薄暗く、ちょっとした秘密基地のような趣があります。地上には常時施錠の扉があり、一般客は、出ることはできますが入ることはできません。ここから用賀駅まで300mです。
田園都市線に乗れば渋谷まで11分で着くうえ、そのまま東京メトロ半蔵門線に乗り入れます。JR山手線をはじめ各路線へも乗り換えできます。反対方向に乗ると東急各線やJR南武線への乗り換えも容易で、東京都城南地区、神奈川県の川崎、横浜両市の居住者にも便利です。
首都高速3号線では、池尻、三軒茶屋の出入口改良や付加車線増設を含む更新事業が2027年度に完成予定で、渋滞の緩和が期待されます。さらに、渋谷駅の東側の宮益坂地区には、首都高渋谷出入口の目の前に、新しい高速バスターミナルが2029年度に開業予定です。これらが完成するまで、上り線渋滞時の代替ルートとして、また東急沿線居住者向けの「地元バス停」として、用賀PAの臨時停車は重宝しそうです。
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