世界で最も醜い航空機 フェアリー「ガネット」 なぜこんな外見に…そのワケとは
- 乗りものニュース |

飛行機の世界には「世界最速」や「世界最大」、「世界最多」など様々なうたい文句の付く機体は多数ありますが、「世界最醜」と呼ばれるものは唯一無二かもしれません。性能は優れていたそうですが……どのような飛行機なのでしょう。
「カツオドリ」の愛称が付けられた短鼻の鉄翼
イギリスは時として名機を生み出します。たとえば木製の「モスキート」戦闘爆撃機や、「ハリアー」垂直離着陸戦闘機などが挙げられるでしょう。それに対し、「世界一醜い機体」などと不名誉極まりない評を下されたフェアリー「ガネット」という空母艦載機も、イギリスには存在しました。
同機は、イギリスのフェアリー社が開発した機体で、「ガネット」とは海鳥であるカツオドリの英名です。「世界最醜(さいしゅう)」呼ばわりの一方、、性能は優秀で、複数の国で採用されました。それにしてもあんまりすぎるその評価、いったいどのような飛行機なのでしょう。
イギリスが開発した「ガネット」対潜哨戒機は、オーストラリアやドイツ、インドネシアでも運用された(画像:オーストラリア海軍)。
「ガネット」の開発は、第2次世界大戦末期の1945(昭和20)年にスタートします。このころイギリス海軍は、将来を見据えた新型航空機の開発に取り掛かっていました。そのなかには、大西洋においてドイツの潜水艦Uボートに翻弄された苦い経験から、空母に搭載して用いる艦載型の対潜哨戒機も含まれており、これに対してフェアリー社とブラックバーン社が手を挙げました。
ただし、両社は開発のスピードで大きな差がありました。ブラックバーン社は設計にもたつき、その間にフェアリー社は海軍の要求仕様を満たす試作機を1949(昭和24)年9月19日に初飛行させ、さらに翌1950(昭和25)年6月19日には空母「イラストリアス」への着艦試験まで成功させました。
こうなるとイギリス海軍は、いまだ初飛行すらできないブラックバーン社の案に対して興味を失ってしまいました。その結果、フェアリー社の機体が採用を勝ち取ったのです。
醜い外見は性能を満たすためのデザイン
こうして、フェアリー社が開発した空母搭載用の対潜哨戒機は「ガネット」と名付けられ、1953(昭和28)年から量産が開始されましたが、その外観は非常に独創的なものでした。
空母艦上で主翼を折り畳んだ状態の「ガネット」対潜哨戒機(画像:イギリス海軍)。
まず、機体サイズは空母のエレベーターサイズに収まるように全長、全幅ともに制限されました。その一方で、操縦性をよくするために垂直尾翼は大きくとられ、主翼は薄く伸ばした「W」字、いわゆる逆ガル翼とよばれる形状をしていたほか、翼面積とコンパクト性を両立するため、「Z」字型に折り畳む構造を採用していました。
機首のプロペラは2重反転式で、その直後の胴体内にターボプロップエンジンを搭載しましたが、パイロットの視界を確保するために短鼻とし、エンジン部分の上にコクピットを設置、さらに海軍の要求で魚雷や爆雷などの兵装を機内収容できるよう爆弾槽を機体下部に設けた結果、縦に長い胴体形状となりました。
また、同機は対潜哨戒型のMk.1と、早期警戒型のMk.3の2タイプが生産されましたが、前者は操縦士の後方に哨戒士2名が乗り込みます。この2名は、各種対潜機器を操作するとともに周囲を目視で偵察警戒するため、機体下部を覗き込みやすいよう、キャノピー形状はバブルウインドウと呼ばれるふくらんだ形状をしており、さながら機体背部にふたつのコブがあるようでした。
後者の早期警戒型は、このコブのようなキャノピーこそありませんでしたが、機体下部には大きなお椀型のレーダードームを装備したため、腹がふくれたような形状をしていました。
こんな外観を有していたからこそ、母国イギリス人含めて「世界で最も醜い機体」と呼んだのです。
搭載する空母の退役とともに運用も終了
見た目はともあれ、その性能はイギリス海軍の要求を上回っていたため、改良が加えられながら、1955(昭和30)年の運用開始から20年以上にわたって現役で運用されました。
1950年代後半、イギリス空母アークロイヤルの艦上に並んだ各種艦載機。手前左右の6機が「ガネット」対潜哨戒機(画像:イギリス海軍)。
「ガネット」は1978(昭和53)年に運用終了となりましたが、これは国防予算の不足から、イギリス海軍が大型の正規空母を廃止したあおりを受けたためで、いわば強制的に運用終了となったものであり、仮に海軍が正規空母を廃止しなければもう少し長生きしていた可能性はあります。
この結果、「ガネット」は軽空母での運用が可能な「ハリアー」垂直離着陸戦闘機を除くと、最後のイギリス製固定翼艦載機となりました。なお同機は輸出にも成功し、オーストラリアとドイツが採用したほか、インドネシアが中古機を導入しており、生産数はトータルで約350機を数えました。
この運用期間と生産数を見ると、性能は決して悪くなかったといえるでしょう。見栄えが悪くとも性能が高ければ軍用機の場合は採用され、使われ続けます。もしかすると、イギリス人があえて「ガネット」を「世界一醜い」と揶揄するのは、愛情の裏返しなのかもしれませんね。
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