冬につい「背中」をかいてしまう…もうお手上げ 入浴時のNG行為&かゆみ抑える保湿術とは【医師解説】
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気温が低い冬は背中や腕などがかゆくなります。その際、ついかいてしまいますが、この場合、皮膚にどのような影響を及ぼす可能性があるのでしょうか。冬に皮膚がかゆくなる原因や対処法などについて、豊洲内科・糖尿病/形成・美容外科クリニック(東京都江東区)副院長で形成外科専門医の澤口悠さんに聞きました。
かくと「かゆみの悪循環」を引き起こす
Q.そもそも、寒くなると背中や腕などがかゆくなるのはなぜなのでしょうか。また、体の中でも特にかゆくなりやすい部位はあるのでしょうか。
澤口さん「最大の原因は、空気の乾燥と気温低下による『皮膚のバリアー機能の低下』です。冬になるとかゆみが出る主な理由は、次の3つの要素が重なるためです」
(1)空気の乾燥
冬は湿度が下がり、皮膚から水分が蒸発しやすくなります。
(2)皮脂分泌の減少
気温が下がると発汗や皮脂の分泌が減り、皮膚を守る天然のクリーム(皮脂膜)が作られにくくなります。
(3)衣服による摩擦
化学繊維のインナーやニットなどによる静電気や摩擦刺激が、乾燥して敏感になった肌を刺激します。
これらの要素により、皮膚の表面にある「角層」の水分が失われ、外部刺激から肌を守る「バリアー機能」が壊れてしまうことで、わずかな刺激でもかゆみを感じるようになります。これを医学的には「皮脂欠乏性湿疹(ひしけつぼうせいしっしん)」や「乾皮症(かんぴしょう)」と呼びます。
【冬に特にかゆくなりやすい場所】
・すね(下腿)
体の中でも特に皮脂腺が少なく、最も乾燥しやすい部位です。
・背中
自分でのケア(保湿)が届きにくい上に、衣服のタグや縫い目、インナーとの摩擦などの刺激を常に受けやすいため、かゆみが強く出やすい場所です。
・腰回り、脇腹
ベルトや下着のゴムによる締め付けや摩擦が起きやすい部位であり、かゆみが出る傾向にあります。
Q.寒いときに皮膚をかいてしまうと、皮膚にどのような影響が生じる可能性があるのでしょうか。
澤口さん「皮膚をかいてしまうことで『かゆみの悪循環』に陥ります。そのため、かゆくても絶対にかいてはいけません。皮膚をかく具体的なデメリットは次の通りです」
(1)バリアー機能の完全破壊
爪でかくことで皮膚表面の角層が剥がれ落ち、バリアー機能がさらに低下します。
(2)炎症の悪化
かいた刺激で皮膚内部に炎症が起き、ヒスタミンなどかゆみを引き起こす物質が放出され、かゆみが増します。
(3)神経の過敏化
これが最も怖い点ですが、皮膚をかき壊し続けると、通常は真皮と表皮の境界部(皮膚の奥)にあるかゆみを感じる神経線維が、皮膚の表面近く(表皮内)まで伸びてきてしまいます。
こうなると、服が触れる程度のわずかな刺激でも激しいかゆみを感じるようになり、治療が長引く原因となります。
また、美容的な観点からも、かき壊しを繰り返すと炎症後の「色素沈着(シミ)」や、皮膚がゴワゴワと分厚く硬くなる「苔癬化(たいせんか)」を引き起こし、黒ずんだ跡が残ってしまうリスクがあります。背中は特に跡が残りやすいので注意が必要です。
Q.では、冬に皮膚がかゆいときの対処法について、教えてください。
澤口さん「基本は『保湿』と『生活習慣の見直し』です。市販薬も有効ですが、タイミングと成分選びが重要です。対処法として3つのポイントがあります」
【対処法】
(1)入浴習慣を見直す
42度以上の熱いお湯は必要な皮脂まで溶かし出してしまうため、38〜40度のぬるめのお湯に設定しましょう。また、ナイロンタオルでのゴシゴシ洗いは厳禁です。手で優しく洗うだけで汚れは十分落ちます。
(2)保湿のタイミングを見直す
風呂上がりは急速に乾燥が進みます。入浴後10分以内、できれば入浴後5分以内で肌がまだ湿っているうちに保湿剤を塗ってください。最近では、入浴中に塗れる保湿剤も売られています。
(3)衣服を工夫する
直接肌に触れるインナーは、ウールや、吸湿発熱素材などの化学繊維を避け、肌に優しい綿(コットン)やシルク素材の製品を選ぶと刺激が軽減されます。
Q.市販の保湿剤を使っても問題はないのでしょうか。
澤口さん「市販の保湿剤を使うのは問題ありません。軽度であればワセリン、ヘパリン類似物質、尿素配合のクリームなどが有効です。
すでにかき傷がある場合、『尿素』が入っている製品はしみて痛みが出ることがあるため避けてください。また、かゆみが強い場合は、抗ヒスタミン成分(かゆみ止め)が入っているものを選びましょう」
Q.皮膚のかゆみに関して、皮膚科を受診する目安はありますか。
澤口さん「次のような症状に該当する場合は、セルフケアで改善するのが難しいため、早めに皮膚科を受診してください」
・市販の保湿剤を1週間ほど使っても改善しない、または悪化する場合。
・かゆみで夜に眠れない、かゆみが原因で途中で起きてしまう場合。
・皮膚にかき傷ができ、ジュクジュクしたり出血したりしている場合。
・全身にかゆみが広がっている場合。
皮膚科では、炎症を抑えるステロイド外用薬や、かゆみを抑える内服薬などを適切に処方することで、早期に「かゆみの悪循環」を断ち切ることができます。万一、色素沈着や苔癬化を起こしてしまうと、治るまで数カ月から数年と時間がかかってしまうため、セルフケアでよくならない場合は、すぐに受診を検討してください。
オトナンサー編集部
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