放置すると歩けなくなる? 階段で「膝が痛い」人は要注意…悪化させるNG行為とは【整形外科医に聞く】
- オトナンサー |

「変形性膝関節症」の症状を悪化させる行為とは?(画像はイメージ)
加齢とともに膝が痛くなることが増えた人は多いのではないでしょうか。この場合、「変形性膝関節症」という病気の可能性が考えられます。変形性膝関節症の原因や症状を悪化させてしまう行為、予防するために必要なことなどについて、RDクリニックに所属する整形外科医の小林信也さんに聞きました。
「変形性膝関節症」は女性に多い病気
Q.そもそも「変形性膝関節症」とはどのような病気なのでしょうか。原因や主な症状について教えてください。
小林さん「変形性膝関節症(OA:Osteoarthritis)は、膝関節の軟骨がすり減り、関節が変形して痛みや動きにくさが起こる病気です。
膝の関節には、骨の表面を覆い、クッションの役割を果たす軟骨があります。この軟骨が長年の負担や加齢などで傷み、薄くなることで『骨同士がこすれる』『炎症が起こる』『関節が変形する』という状態になります。日本では中高年に非常に多い病気で、特に女性に多いことが知られています」
Q.「変形性膝関節症」の可能性を疑うべき症状、あるいは変形性膝関節症の前兆症状について、教えてください。
小林さん「変形性膝関節症は、いきなり強い症状が出る病気ではなく、初期には小さなサイン(前兆)が出ることが多いです。患者に次のような症状がある場合、医師は変形性膝関節症の可能性を考えることがあります」
(1)動き始めの膝の痛み(最も典型的)
朝起きて歩き始めたときや、椅子から立ち上がるときに「最初だけ膝が痛い」が、「少し歩くと楽になる」という症状です。これは初期の変形性膝関節症の代表的なサインです。
(2)階段の上り下りがつらい
特に階段を下りるときに膝の痛みが出やすくなります。階段を下るときは膝に体重の約3〜4倍の負荷がかかるため階段昇降での痛みは前兆症状です。
(3)膝がこわばる(動きにくい)
朝起きたとき、長時間座った後に「膝が動きにくい」「少し動かすと楽になる」という症状が出ます。
(4)膝に水がたまる
膝が「腫れる」「重だるい」「曲げにくい」といった症状がある場合は、関節内で炎症が起き、関節液(いわゆる水)が過剰にたまっている可能性があります。
(5)正座がしにくい
初期の段階では「深く曲げると痛い」「正座がつらい」という症状が生じることがあります。
(6)O脚になってきた
進行すると膝と膝の間が開く、足の形がO脚になることがあります。
Q.例えば、膝を曲げたときにポキッと音が鳴ることがありますが、問題はないのでしょうか。
小林さん「音だけなら多くの場合は問題ありません。膝の音の原因は主に次の3つです」
(1)関節内の気泡
指をポキッと鳴らすのと同じで、関節液の中の気体が弾ける音
(2)靱帯(じんたい)や腱がこすれる音
膝を動かしたときに、筋肉や靱帯が骨に触れて音が出ます。
(3)軟骨の摩擦音
軟骨がすり減ると「ゴリゴリ」「ジャリジャリ」という音が出ることがあります。次のような場合は変形性膝関節症の可能性があります。
・音と痛みがある。
・音と腫れがある。
・音と膝が引っかかる感じがある。
特に「ゴリゴリ」「ミシミシ」という感触は、軟骨摩耗のサインのことがあります。
Q.「変形性膝関節症」の最適な治療法について、教えてください。
小林さん「変形性膝関節症の治療の目的は主に『痛みを減らす』『膝の動きを保つ』『病気の進行を遅らせる』の3つです。そのため、治療は通常、軽い治療から強い治療というように段階的に行われます」
(1)運動療法(最も重要)
実は、最も基本で効果が高い治療は運動です。特に重要なのが、太ももの大腿四頭筋を鍛えることです。筋肉が強くなると、「膝への負担が減る」「関節が安定する」「痛みが軽減する」という効果があります。
椅子に座って膝をゆっくり伸ばす運動や軽いスクワット、ウオーキングを週3〜5回、無理のない範囲で行うと効果的です。
(2)体重管理
体重が増えると膝への負担が増えます。一般的に体重が1キロ増えると膝には約3キロの負荷がかかるといわれています。そのため、「適正体重を保つ」「減量すること」は重要な治療の一つです。ただし、過激な減量は骨密度低下を引き起こすため、1カ月に体重の1〜2%以内の緩やかな減量を目指してください。
(3)薬物療法
痛みがある場合には薬を使用します。痛み止め(消炎鎮痛薬)、外用薬(湿布、塗り薬)などを症状に応じて使用します。
(4)関節内注射
膝関節の中に薬を注射する治療です。主にヒアルロン酸注射が行われ、関節の潤滑を改善します。そうすることで衝撃を和らげ、痛みを軽減することが期待できます。
(5)装具療法
膝を安定させるために装具を使うことがあります。膝サポーターや足底板(インソール)は、O脚タイプの変形性膝関節症で効果が期待できます。
(6)手術
手術を行わない治療法では改善しない場合、手術を行います。骨の角度を変えて膝の負担を分散させる「高位脛骨骨切り術(HTO)」、傷んだ関節を人工関節に置き換える「人工膝関節置換術」という2つの手術が行われます。
症状を悪化させる行為とは
Q.変形性膝関節症を予防する方法、変形性膝関節症を悪化させる行為について、それぞれ教えてください。
小林さん「膝に限らず、関節には自己修復能力がなく、変形が進行してしまえば自然修復しません。そのため、膝への負担を減らし、筋肉を保つことで予防や進行抑制が大切になります」
(1)太ももの筋肉を鍛える
膝を支える大腿四頭筋 を強くすると、関節への負担が減ります。
(2)体重を適正に保つ
体重が増えるほど膝の負担は増えます。そのため、適正体重を維持することが大切です。
(3)膝を冷やさない
膝を冷やすと血流低下や筋肉の硬直、痛みが起こりやすくなります。膝サポーターを装着し、入浴時に温めてください。
(4)正しい方法で歩く
膝の負担を減らす歩き方として「背筋を伸ばす」「歩幅はやや広め」「かかとから着地」があります。
(5)適度な運動を続ける
ウオーキングや水中運動、自転車は 関節への衝撃が少ない運動です。
次のような生活習慣は、変形性膝関節症の症状を悪化させる可能性があります。
(1)長時間の正座
深く膝を曲げる姿勢は、関節への圧力が非常に高くなります。
(2)急に激しい運動をする
急なランニング、激しいジャンプ運動、激しいスポーツは軟骨に大きな負担がかかります。
(3)運動不足
筋肉が弱くなると膝の安定性が低下し、膝関節への負担が増えます。
(4)肥満
体重増加は、変形性膝関節症の最大のリスク因子の一つです。
(5)重い物を頻繁に持つ
膝に大きな圧力がかかります。
オトナンサー編集部
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