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相場1万なのに8万!? 自宅の鍵なくしたコラムニスト“ぼったくり鍵開け業者”に遭遇…「予想外の出来事」に感動したワケ

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  • オトナンサー
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高額請求する開錠業者に注意(画像はイメージ)
高額請求する開錠業者に注意(画像はイメージ)

 ある金曜日の午後7時過ぎ、私はポケットに手を突っ込んだときに自宅の鍵がないのに気付き、血の気が引きました。焦ってかばんをひっくり返してみますが、鍵が見つかりません。もう一度ポケットを確認しますが、やはりありません。

「朝、ゴミを出しに行ったとき、いつもと違うポケットに入れた気がする」

「いや、それは昨日か。記憶が曖昧だ」

 50代の私はそう思いながら、最近、年齢のせいか、物忘れがひどいことに自己嫌悪に陥りました。

午後8時前なのに夜間料金

 慌ててスマホで「鍵交換」と検索し、画面の一番上に出てきた業者に電話。「鍵の○○○サービス。口コミ評価4.2」と書かれており、ネットでの評判は悪くなさそうだと感じました。

 電話口で業者から「すぐ伺えます」という言葉を聞き、私は安堵(あんど)しました。この時点では信頼できる業者だと感じていましたが、その後、信じられないことが起きたのです。

 1時間後、作業員が来ました。年齢は20代後半から30代前半ほどでタバコ臭く、第一印象で嫌な予感がしましたが、もう他に選択肢はありません。

 作業員は私の自宅の鍵穴を見た後、電卓をたたいて、こう言いました。

「8万円になります」

「はぁ?」

 私は思わず声を上げてしまいました。ネットで調べた相場は1万円程度だったからです。

「なぜ8倍?」

 私の頭の中で、8万円でできることがすぐに思い浮かびました。

・京都旅行(新幹線往復+1泊2日の宿)※旅行サイトによって異なる
・高級焼肉10回(1回8000円で計算)
・ユニクロのヒートテック80枚(1枚1000円で計算)
・村上春樹の小説約40冊(1冊2000円で計算)

 なぜユニクロのヒートテックや村上春樹が思い浮かんだのかは分かりません。そのくらい、その当時はパニックに陥っていました。

 開錠費用が高額な理由を聞くと、作業員は「特殊な鍵で、夜間料金も入っていまして」と答えました。

「鍵が特殊? 築15年の普通のマンションだぞ」

 マンションの大家は「防犯性の高い鍵です」とは言っていたが、それは営業トークだと思っていました。だいたい、どの鍵も高い防犯性をうたっています。防犯性が低い鍵なんて、誰も作らないでしょう。

「夜間? まだ午後8時前だ。ファミレスだって深夜料金を取らない時間だ。居酒屋だってハッピーアワーをやっている時間だ」

 私がそう思いながら黙っていたところ、急に作業員の態度が変わりました。

「今回だけ特別に4万円で開錠します」

「今回だけ」「特別に」というこの2つの言葉を聞いた瞬間、「ああ、これがうわさに聞く『ぼったくり』というやつか」と私は悟りました。

 最初に高額な値段を提示して、値引きで恩を売るという手口が古典的過ぎて逆に感心しました。「いや、感心している場合じゃない」と思い、「結構です」ときっぱり断りました。

 このとき、われながら冷静でした。本当は「ふざけんな」と言いたかったのですが、言えませんでした。相手は私の住所を知っていて、逆恨みされたら困るからです。

 結局、作業員は露骨に不機嫌になり、帰りました。そのとき、やっぱりぼったくり業者だったのだなと思いました。

一括見積もりで業者と押し問答に

 業者が帰ってから1時間後、ある生活サービスの比較サイトを使い、サイト内のチャットで鍵開け業者5社分の見積もりを一括で取ることにしました。これなら大丈夫だと思いましたが、すぐに甘いことに気付きました。5社ともチャットで「現地で鍵を見てから」と主張するからです。私が「鍵穴の画像を送る」と言っても「現地で確認が必要」だと返答します。

 それでも、私はドアの全体画像や鍵穴のアップ画像を撮影し、チャット上に画像を送りました。角度を変えながら撮影したので、画像は10枚以上ありました。

 すると面白いことが起きました。画像を送った瞬間、5社中2社が返信しなくなりました。残りの3社に「総額はいくらですか?」と聞いても「現地で状況を見て」「追加費用が発生する可能性が」「鍵の種類によって」という返答しかありません。

 業者と押し問答になり、チャットを終了。開錠を諦めかけましたが、このままではいけないと思い、必死にスマホで調べました。「アルファFBロックという特定商品だけを扱い、それを強引に勧める業者がいる」「安く見せかけて、実際は1つの商品しか扱わない」「客の不安につけ込む業者がいる」など、さまざまなことが分かり、結果的に都内某所にあるS社に依頼。この日は私の個人事務所に泊まりました。

まともな業者は絶滅危惧種

 後日、作業員が約束の時間に来ました。40代前半くらいで清潔感があり、タバコ臭くありません。これだけのことなのに好感度が上がるのを感じました。

「お困りのところ、すぐに対応させていただきます」

 作業員は無駄話をせず、作業の説明をして、すぐに取り掛かります。ドアノブを外す手つきが美しく、無駄や迷いがありません。ドリルで古い鍵を破壊する音がなぜか心地よく、私は「これが職人か」と見とれていました。

 作業員は20分で鍵を取り外した後、10分で新しい鍵を取り付けました。掃除まで入れると合計30分ほどで作業が終了。依頼時に作業は30分程度で終わると聞いていたので、約束通りでした。新しい鍵は「ディンプルキー」という名称とのことで、表面に小さな凹みがあります。ピッキング対策に強い鍵だということです。

 見積もり時の請求額は3万円でしたが、実際の請求額を聞くと、作業員は「このタイプなら少し安くできるので2万8000円です」と答えました。

 私は驚いて金額を聞き直しました。

「でも見積もりは3万円でしたよね?」

「はい。でも実際は2万8000円で大丈夫です」

 2000円も安くしてきたのが驚きです。見積もり通りに3万円を請求してもおかしくないと思っていたからです。この業者の対応に、私は良い意味で打ちのめされました。

「世の中には、まだこういう人がいる。適正価格で適正な仕事をして、さらに安くできるなら安くする。当たり前? いや、当たり前じゃない。少なくとも、この業界では奇跡だ」と感動したのを覚えています。

 悪徳な鍵開け業者は、深夜に鍵がなくて家に入れないという客の弱みにつけ込み、「このままだと危険」「すぐに交換しないと」「特殊な鍵だから」と不安をあおってきます。客の冷静な判断力を奪って、サインさせるのです。

 もちろんサービスの価格は自由に設定できますし、一応、鍵は交換されているため、法的に詐欺かどうかは微妙なところです。ただ、悪徳な鍵開け業者の一件を通じて、モラルなき社会になりつつあるのを感じます。

コラムニスト、著述家 尾藤克之

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