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「わざわざ無くさなくてもねぇ」 2桁ナンバーの静岡“古豪バス”お別れへ 運転士や“名物広報”が語った36年の旅

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大鉄の「古豪バス」とは

 2026年2月1日、大鉄アドバンス主催の「大井川鐵道名物広報と行く 大鉄の古豪バス引退へお別れツアー」が開催されました。

Large figure1 gallery9大井川鐵道の古豪バス「348号」。初度登録は平成2年4月で、36年近く活躍を続けている(和田稔撮影)

 大鉄の古豪バスこと「静岡22き2617」は、初度登録1990(平成2)年4月の三菱「エアロスターK」、型式P-MP618K。社内では「348号」と呼ばれています。36年近く活躍しており、2025年9月末日での走行距離はおよそ71万9000kmにおよびます。赤と白を基調としたカラーリングは、今となっては貴重な大井川鐵道が名鉄のグループ会社だった時代の名残です。

 最近は予備用の車両となっており、営業運転に使用される機会は少なくなっていました。大井川鐵道千頭駅(静岡県川根本町)の横で休んでいる姿を見かけたことがある人も多いのではないでしょうか。2026年3月に引退することが決まり、お別れツアーが開催されることになりました。

 ツアーの見どころは、なんといっても古豪バスに「乗る」、そして「撮る」こと。川根温泉ホテルのランチバイキングでしっかりと腹ごしらえした後は、午後の時間をたっぷりと使ってどちらも堪能できました。

「乗る」という観点では、千頭駅前~寸又峡温泉間の往復を味わえます。山間の狭い道を慎重かつ正確な運転で行くのは、この車両の導入当時を彷彿させるかのよう。

 車内では自然と会話も控えめになり、録音したり動画に収めたりと、思い思いの時間を過ごしています(もちろん、会話が禁止というわけではありません)。参加者からは「このバスに乗りたくて何度か訪れたけれど、巡り会えなかった。良い記念になりました」といった声も。また、昨今では少なくなった2桁ナンバーということもあり「久し振りに見たよね」という感想も聞かれました。

「このバスに随分と助けてもらいました」

 寸又峡温泉エリアでは撮影会や臨時バスとしての運行が行われ、参加者は乗る・撮るを自由に選べます。寄りや引き、ライトの点灯状況など参加者同士でリクエストを確認しながら穏やかに撮影が進んでいきます。

 静岡県在住の参加者は「地元なので(このバスを)昔よく見ていましたよ」と懐かしそうな表情。一方、バスの保存活動にも携わる愛好家は、せっかくの機会ということで関西から駆け付けたとのこと。地域の足としての活躍から愛好家まで、幅広く親しまれてきたことがうかがえるエピソードです。

 今回、古豪バスのハンドルを握ったのは丹羽島夫(にわ・しまお)運転士。大井川鐵道では10年以上バスの運転に携わるベテランです。

「お客さんが多くて急遽(きゅうきょ)増便する時や、他の車両整備などで運用に入った際にはこのバスに随分と助けてもらいました。わざわざ無くさなくてもねぇ」と目を細めながら語ってくれました。

 また、運転について「細い山道では後続車に道を譲ります。待避スペースがバス1台分しかないので、後続車がいる状況で対向車とすれ違おうとするとお互い身動きが取れなくなってしまうのです」「昔は路線バスにも車掌が乗っていて、道が混んでいる時は道路に降りて誘導してもらいました。どれだけ走ってもらったことか……一番きつい仕事だったと思うよ」という、当地ならではのエピソードも。

 このツアーには大井川鐵道の名物広報・山本豊福さんが同行し、軽妙なトークとともにバスの旅が繰り広げられます。

「入社して2年ほどした時、井川線のアプト式への切り替えとそれに伴う乗客増加を見込んでこのバスが導入されました。私はちょうどその頃に広報の業務を担当し始めたので、348号車は特に思い入れの深い車両です。導入とお別れ、いずれも携われるとは思ってもみませんでした」

 熱のこもる口調に、その思いが伝わります。

 地域の人々や運行に携わる関係者、愛好家まで多くの人に愛されてきた古豪バス。最後の時まで無事の運行を祈るとともに、参加者それぞれが長きにわたる活躍を労いながら帰路につきました。

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