フリマアプリに「政府備蓄米」出品禁止　普通の米は取引OK？　ルール＆転売対策をメルカリ＆楽天に聞く

　大手のネット通販事業者や小売事業者が5月29日以降、随意契約で仕入れた政府備蓄米のネット販売や店頭販売を順次開始しています。一方、政府備蓄米の販売開始とほぼ同時期に、「Yahoo！オークション」と「Yahoo！フリマ」を運営するLINEヤフー（東京都千代田区）やフリマアプリ「楽天ラクマ」を運営する楽天グループ（東京都世田谷区）、メルカリ（東京都港区）の3社が、政府備蓄米の出品を禁止する取り組みを始めました。

　もしフリマアプリに政府備蓄米が出品された場合、運営会社はどのように対応するのでしょうか。また、米の価格高騰が続く中、以前から米がフリマアプリに出品されていますが、問題はないのでしょうか。政府備蓄米の転売対策やアプリで出品可能な食品などについて、メルカリと楽天グループの広報担当者に聞きました。

政府備蓄米以外の米は出品OKだが「開封済みの食品」はNG

　メルカリの広報担当者に政府備蓄米の出品禁止の経緯を聞くと、「メルカリでは、誰もが安心して参加できる、多様で自由なマーケットプレイスを創るため『安全であること（Safe）』『信頼できること（Trustworthy）』『人道的であること（Humane）』の3つを柱に、外部有識者とともに『マーケットプレイスの基本原則』を策定、公開しています」と説明。

　その上で「この基本原則に照らし合わせ、政府備蓄米の出品禁止を決定しました」と述べました。

　悪意ある出品行為が発生しないよう、「メルカリ」や、個人事業主や法人が出品する「メルカリShops」では、随意契約対象の小売事業者を除いたユーザーを対象に、政府備蓄米の出品の削除に加え、政府備蓄米を出品したアカウントの利用制限などの対応を行っているということです。併せて、アプリ上で政府備蓄米の出品がないかどうか、AIなどを活用して監視を行っているといいます。

　政府備蓄米以外の米は、メルカリに出品しても問題はないのでしょうか。担当者は「政府備蓄米以外の米については出品可能です。ただ、昨今の流通状況を踏まえて、今年2月以降、米の販売時や購入時は冷静に対応するよう、注意喚起しております」と述べました。

　なお、同社はメルカリ利用規約やガイドラインで、食品の出品に関する禁止事項や注意事項を明示しています。

　例えば、食品の出品に関しては、各種法令のほか、安全面や衛生面を考慮した上で、「出品時に消費（賞味）期限と食品表示が確認できる写真を掲載する」「開封済みの食品の出品は禁止」「生の食肉や魚介類の出品は禁止」などのルールを設けているといいます。不適切な出品があった場合は規約違反として対応するということです。

事業者も米を出品

　楽天グループの広報担当者によると、同社は、今回の随意契約による政府備蓄米について、「自然災害や事故などの緊急事態に際し必要とされる物品のうち、市場の供給が不安定となる恐れがあるもの」に該当すると判断。供給の偏りや価格高騰を防ぐ目的で、5月28日から政府備蓄米の出品を禁止しているということです。

　ユーザーに対してはアプリを通じて出品禁止の旨を通知しており、政府備蓄米の出品が確認された場合は、商品ページの削除やアカウントの利用制限などの対応を行うといいます。

　また、担当者は「政府備蓄米の疑いがある商品が出品された際は、警告のポップアップを表示するほか、キーワード検索やAIによる検知など、さまざまな方法で24時間365日のパトロールで不正出品を検知し措置を講じます」と説明。もし該当商品が政府備蓄米であった場合、削除時に出品禁止商品である旨を出品者にメールで通知するなど、再発防止に努めているとのことです。

　政府備蓄米ではない一般の米の出品が可能かどうかを聞くと、「楽天ラクマでは、ルールにより米を含む食料品を出品いただくことができます。ただ、お客さまに安心してご利用いただくために、次に該当する物の出品は禁止しています」と答え、出品を禁止している物品の例を挙げました。

【楽天ラクマで出品を禁止している主な物品】
・開封済みの食料品、飲料品

・購入者が受領するまでの期間に賞味期限が経過する食料品、飲料品

・保健所許可や営業許可が必要な食料品、飲料品（許可がある場合は出品可）

・医薬品成分を含む健康食品、飲料

　もし規約に違反する行為、または出品物を確認した場合は、出品者に通知し、商品ページの削除などを行っているということです。

　米の価格高騰が続く中、政府備蓄米以外の米の出品を認めている理由について聞くと、担当者は「楽天ラクマでは、事業者として楽天の審査に合格したお客さまも『ラクマ公式ショップ』として米を出品いただいております」と説明。

　その上で「米農家のような事業者さまのネットでの販売を支援し、直販の販路をご提供するということも、私たちが『楽天ラクマ』を通じてお客さまにお届けしたい価値の一つです。ルールに沿ってご利用いただく場合は、米についても出品を認めております」と教えてくれました。

　さらに、担当者は「楽天ラクマは引き続き、不正な出品・行為に対するパトロール体制の強化や検知ロジックの見直しを行い、お客さまに安心してご利用いただけるプラットフォームの構築に努めてまいります」と述べました。

オトナンサー編集部

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