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2度も原子力施設を爆撃したイスラエル 国際社会の反応が真逆になったのはなぜ?

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  • 乗りものニュース
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イスラエルはかつて他国の原子力施設を2度も爆撃し破壊しました。一度目は大いに批判を浴びますが2度目はそうでもなく、世界の反応は真逆なものでした。その理由やイスラエルの態度、そして背景にある「自衛権」について見ていきます。

「原子力施設爆撃」の衝撃 しかも2度…世界の反応は?

 2018年4月21日、世界各国のメディアが一斉にある衝撃的な動画を報じました。それは、さかのぼること11年前の2007(平成19)年9月5日深夜から6日未明にかけて実施された、イスラエル航空宇宙軍の戦闘機によるシリアの極秘核関連施設に対する航空攻撃作戦の動画です。

Large 200606 iaf 01イスラエル航空宇宙軍のF-15I(画像:アメリカ空軍)。

「オペレーション・オーチャード(Orchard。果樹園、あるいは死の象徴という意味も)」と呼ばれるこの作戦は、4機のF-15Iと4機のF-16Iの、合計8機の戦闘機によって実施され、シリア北部にあるデリゾール州アルキバルで建設中だった核関連施設を誘導爆弾でピンポイント爆撃し、施設を完全に破壊しました。

 この作戦については長年、その詳細が秘密のベールに包まれてきましたが、イスラエル軍が映像を初めて公開したことで、改めて世界から注目を集めることになりました。

 しかし、イスラエルが核関連施設を爆撃したのは、実はこれが初めてではないのです。

国際社会から非難殺到 世界で初めての原子炉爆撃

 1981(昭和56)年6月7日、イスラエルの基地を飛び立った8機のF-16戦闘機と6機のF-15戦闘機が、イラクの首都バグダッド近郊にあるトゥワイサ原子力研究センター内に建設された原子炉「オシラク」を爆撃し、これを完全に破壊しました。

 その翌日、イスラエルはこの作戦の実施を国連安全保障理事会に報告するとともに、この施設では核兵器に転用可能な濃縮ウランが製造可能であり、これをイスラエルに対する脅威と捉え、この作戦は国際法上の「自衛権の行使」であるとしてその合法性を主張しました。

 しかし、国際社会からはイスラエルに対して厳しい非難が数多く寄せられました。たとえば、国連安全保障理事会では「決議487」が採択され、イスラエルの行動は「国連憲章の明白な違反」であるとしてこれを強く非難したほか、その後の国連総会決議では先ほどの安保理決議487の文言に加え、イスラエルの行動を「侵略」と呼んでこれをさらに強く非難しました。

イラクの時と正反対 シリアの事例で国際社会が沈黙した理由とは

 しかし、2007年のシリアにおける事例では、このイラクの事例とはうって変わって、国際社会からの非難はほぼ皆無に近いものでした。

 攻撃を受けた側のシリアは、これを自国の領土に対する侵略として強く非難しましたが、国連安全保障理事会ではこの事件に関する審議すら行われず、それどころか、イスラエルとは長年、対立してきたはずのアラブ諸国からでさえこの事件に関する公式の反応は、個別には一切、示されませんでした。

 それでは、なぜ核関連施設を攻撃するという同じ性質の事例にも関わらず、国際社会の反応は正反対になってしまったのでしょうか。これについてはさまざまな理由が考えられますが、まずはそれぞれの施設の性質の違いが大きく関係していると思われます。

 そもそも、1981年に攻撃されたオシラク原子炉は、イラクがフランスからの技術協力によって建設していたもので、さらにイラクは核兵器の拡散を防止するための条約である「核兵器不拡散条約(NPT)」の締約国であり、それに基づく国際原子力機関(IAEA)の査察も定期的に受けていました。そのため、イスラエルが主張するようなオシラク原子炉での核兵器開発は難しい、というのが国際社会の見方だったのです。

 それに対して、2007年に攻撃されたアルキバルの施設に関しては、そもそもIAEAに届け出がなされておらず、当然、査察も行われていませんでした。また、アメリカの主張によれば、この施設は北朝鮮との技術協力によって建設が進められていた可能性もあり、こうした事情の違いを考慮すると、国際社会がこの事件に関する反応を差し控えたのは、政治的に無理もない話かもしれません。

イスラエルが全力回避した…かもしれない「先制自衛」と「先制的自衛」の議論

 また、1981年と2007年の両事例において、イスラエル側の行動が大きく異なったことも影響していそうです。

 1981年の事例では、イスラエルは自国の行動を「合法な自衛権の行使」と主張しましたが、2007年の事例ではそうした主張を一切せず、法的な問題については沈黙を貫いたのです。これについて、イスラエルは国際社会における「先制的自衛(pre-emptive self-defence)」に関する議論を呼び起こさないようにしたのではないかと筆者(稲葉義泰:軍事ライター)は考えます。

Large 200606 iaf 02イスラエル航空宇宙軍のF-16戦闘機(画像:イスラエル航空宇宙軍)。

 国際法上、自衛権の行使には「一定の烈度を越える軍事攻撃である武力攻撃の発生」か、あるいは「現実の武力攻撃が発生する急迫した脅威の発生」が必要とされています。特に後者のような場合に行使される自衛権を「先制自衛(anticipatory self-defence)」と呼びますが、これと区別されるものとして、現実の武力攻撃の脅威はあるものの、それが急迫したものではないにも関わらず自衛権を行使する「先制的自衛」というものがあります。

 しかし、この「先制的自衛」に関しては、国際法上の合法性を疑問視する見方が多数派で、そのためイスラエルは、自国の行動を自衛権の行使と明言しないことによって、この先制的自衛との関連を国際社会において議論されないようにし、批判が巻き起こるのを回避しようとしたのではないか、と考えられるのです。

 いずれにせよ、2007年のシリアに対する行動に関して、イスラエルは確かに国際社会からの非難を回避しましたが、それはこの事例が極めて例外的な性質のものだったためであって、これを根拠に、たとえば国際法上の先制的自衛に関する評価を確定しようとするのは尚早といえるでしょう。

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