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雲の上から「敵の潜水艦を発見」できる!? ドイツが導入する「日本と同じ無人機」の使いみち 対潜戦が一変か?

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ドイツ連邦軍で新型無人機導入 海保ではすでに運用も

 ドイツ連邦軍は2025年1月12日、アメリカの無人航空機システム(UAS)メーカーのジェネラル・アトミクス・エアロノーティカル・システムズ(GA-ASI)に、同社製の無人機である「MQ-9B」を8機発注したと発表しました。日本では「シーガーディアン」の名で知られる機体です。

Large figure1 gallery5 GA-ASI製の無人航空機「シーガーディアン」(画像:GA-ASI)。

 対テロ戦争で有用性を実証したMQ-9「リーパー」の発展改良型であるMQ-9Bは、実は2タイプが開発されています。海上保安庁が運用し、海上自衛隊でも導入を決定している洋上運用能力を重視した「シーガーディアン」と、ヨーロッパのUAS飛行規制とNATO(北大西洋条約機構)の装備規格に対応する多用途型でイギリス、ベルギーの両空軍が採用した「スカイガーディアン」です。今回、ドイツ連邦軍は前者のシーガーディアンを発注しました。

 海上自衛隊は2024年にシーガーディアンの採用を決定し、2025年度から予算化。受領開始は2028年度を予定しています。今のところ、海上自衛隊はシーガーディアンを対潜哨戒機であるP-1およびP-3Cが担当している洋上の警戒監視に用いると述べています。

 ドイツ連邦海軍も2028年からの受領を予定しており、当初は海上自衛隊と同様に洋上での警戒監視に使用する計画ですが、2031年から2032年に予定されているアップグレード改修後は、対潜水艦戦にも用いる予定となっています。

 GA-ASIはシーガーディアン用として、潜水艦の捜索に使用する「ソノブイ」を散布するポッドなどの開発を進めています。ソノブイランチャーを搭載するMQ-9Bの対潜戦への活用はアメリカ海軍も検討しており、潜水艦を駆る「ハンター」の役割は十分果たせます。しかしながら、捜索した潜水艦を攻撃する「キラー」の役割を果たすことは今のところできません。

 2025年1月現在、ドイツ連邦海軍は1機で「ハンター」と「キラー」の両方の役目を果たせるP-3C哨戒機を運用していますが、P-3Cは将来的にアメリカ海軍などが運用しているP-8哨戒機への更新が有力視されています。

 ボーイング737-800旅客機をベースに開発されたP-8は、海上自衛隊が運用しているP-1のような対潜戦を想定して開発された哨戒機に比べて、低空へ降下して潜水艦に対潜魚雷を投下する能力が低く、長時間の洋上哨戒には適していても、対潜戦には不向きなのではないかと考えられてきました。

 しかしボーイングは、マーク54対潜魚雷を最大約9000mから投下できる「HAAWC」(High Altitude Anti-Submarine Warfare Weapon Capability/高高度対潜兵器能力)と呼ばれるキットを開発しており、このキットを装着したマーク54魚雷は、P-1や対潜ヘリコプターのように低高度まで降下しなくても、潜水艦に対して有効な攻撃を行うことができます。

有人機と無人機の「セット運用」なるか 日本も他人事ではない?

 ドイツ連邦海軍がHAAWCを購入するのかは不明ですが、10名から11名の乗員が必要なP-3Cに比べて少ない要員での運用が可能で、乗員の疲労を気にすることなく長時間「ハンター」の役割を果たせるシーガーディアンと、HAAWCキットを装着したマーク54魚雷を搭載して「キラー」の役割を果たすP-8を組み合わせて運用すれば、ドイツ連邦海軍はP-3Cに引けを取らない対潜戦能力を獲得できるのではないかと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。

Large figure2 gallery6 DSEI Japan 2025に展示された「MALE RPAS」の模型(竹内 修撮影)。

 前述のように、海上自衛隊はシーガーディアンを対潜戦任務に充てる方針を示していませんが、密接な関係にあるアメリカ海軍は活用を検討しており、GA-ASIは2024年2月に、アメリカ海軍航空システム司令部と合同でソノブイの投下試験を成功させています。こうしたなか、海外の複数のメディアが海上自衛隊もアメリカ海軍と歩調を合わせる形で、シーガーディアンを対潜戦にも活用するのではないかと報じています。

 GA-ASIは2025年5月に千葉県の幕張メッセで開催された防衛総合イベント「DSEI Japan 2025」で、ソノブイのランチャーポッドの搭載案を示したパンフレットを配布していましたが、これも海上自衛隊にその考えがあることの証左と言えるでしょう。

 ところで日本は、フランスなどヨーロッパ4か国が共同開発を行っているUAS「MALE RPAS」(愛称は「ユーロドローン」)の開発に、議決権のないオブザーバーとして参加しています。実のところ、筆者はヨーロッパ諸国が何を目的に日本をこの枠組みへと迎え入れたのかがはっきりわからなかったのですが、2025年5月に来日したエアバスの防衛部門で、MALE RPASの開発でも大きな役割を果たしているエアバス・ディフェンス・アンド・スペースのマイケル・ショホローンCEO(最高経営責任者)は、日本が豊富に持つ、対潜戦に不可欠な航空機の長時間洋上飛行のノウハウについて、忌憚なく意見を聞きたいと述べていました。

 1機で「ハンター」と「キラー」の役割を果たせるP-1やP-3Cのような哨戒機の価値が著しく低下したと筆者は思っていませんが、有人哨戒機に比べれば少ない人員とコストで運用可能で、万が一撃墜されても搭乗員が戦死したり捕虜になったりするおそれのないUASに、対潜戦における「ハンター」の役割を担わせるのは、これから世界的なトレンドになっていくかもしれません。

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