日英伊の新戦闘機開発「仲間に入れて」がまた2か国!? 開発費“3倍”の可能性も 難色を示してもいられない現状とは
- 乗りものニュース |

カナダ「オブザーバーとして参加したい」 欧州では珍しくない?
日本、イギリス、イタリアの3か国が共同開発計画を進めている新有人戦闘機の共同開発計画「GCAP」に、カナダをオブザーバーとして参加させる方向で調整に入ったと、2026年3月31日付の朝日新聞が報じました。
2025年5月に開催された防衛総合イベント「DSEI Japan 2025」で展示された、GCAPで開発される有人戦闘機のコンセプトモデル(竹内 修撮影)
国際共同開発計画にオブザーバーとして、計画参加国以外の国を加えることは、これまでアメリカ以外の国と国際共同開発を行ってこなかった日本では、あまり馴染みの無いことかもしれません。GCAPはいま、どのような状態なのでしょうか。
日本もまた、海外の国際共同開発計画にオブザーバーとして参加しているものがあります。ドイツ、フランス、イタリア、スペインの4か国が進める、MALE(中高度長時間滞空型)に分類されるUAS(無人航空機システム)「MALE RPAS」(通称ユーロドローン)の共同開発計画で、これにはインドもオブザーバーとして参加しています。
また、フランス、ドイツ、スペインの3か国による新航空戦闘システム「FCAS」の共同開発計画にも、プロジェクトが存続する場合、ベルギーがオブザーバーとして参加する意向を示しているなど、ヨーロッパではそれほど珍しい話ではありません。
オブザーバーの役割は計画ごとに異なりますが、MALE RPASの場合、仕様要求を決定する際の議決権は持たない代わりに、自国が導入する際に求められる能力などについて発言することができます。
前に述べた朝日新聞によれば、カナダは現時点で開発に参加する意思はないようですが、GCAPで開発される戦闘機の購入は検討しているようです。単なる購入国であれば、自国の空軍で要求される能力を主張することはできないものの、オブザーバーとして参加するのであれば可能性は開けますし、単なる購入国では得られない、開発や製造にあたっての機密情報を得る機会もあると考えられます。
朝日新聞はカナダが将来、開発計画に参加する可能性も視野に入れて、情報提供を行う方向で調整が進められていると報じています。
“もう1か国”も接近!
カナダは隣国アメリカとの関係が必ずしも良好ではなく、アメリカが開発を進めている第6世代戦闘機「F-47」の輸出が解禁されても、購入しないのではないかとも見られています。
2019年6月に開催されたパリエアショーに展示された「MALE RPAS」の実大モックアップ(竹内 修撮影)
もともとイギリス議会では、「カナダとオーストラリアを(GCAPに)参加させるべき」という意見が出ていましたし、日本にとってもカナダは自由経済や民主主義の理念を共有する重要な同志国ですから、カナダのオブザーバー参加はあっさり認められるのではないかと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。
ただ。GCAPへの加入を目論んでいるのは、カナダだけではありません。ポーランドのコンラッド・ゴヴォタ国有資産副大臣はポーランドの公共放送「TVP Info」で、ポーランド政府がGCAPへの参加を検討しており、日本およびイタリアの関係者と協議を行っていることを明らかにしています。
3月24日付の「ディフェンスニュース」は、ゴヴォタ国有資産副大臣の行っている協議が、政府レベルのものかは不明だと報じていますし、ポーランドの目指す「加盟」が開発・生産に関与する正式メンバーとしてのものなのか、オブザーバーとしてのものなのかも不明です。しかし、ポーランドが加盟の好機と考える理由は存在します。
それはGCAPの開発費高騰と、開発プログラムの遅延にあります。
イタリアのグイード・クロセット国防相は2025年6月、イタリア議会の国防委員会に「イタリアは概念評価、予備設計、本格開発の費用として60億ユーロを負担する予定だったが現在の負担額は186億ユーロと見積もっている」と報告しています。イギリスと日本の負担も、同様に膨れ上がっていると見るべきでしょう。
現在GCAPは、日本、イギリス、イタリアの各政府が、自国企業との契約に基づいて取り組みを進めていが、2025年末までには開発プログラムを一元的に管理する「GIGO」と、開発に携わる日英伊の企業による合弁会社「エッジウィング」が正式契約を締結して、国際共同開発へと移行する予定でした。GIGOとエッジウィングの契約は2026年4月2日に一応締結されましたが、これは2026年6月まで3か国で開発作業を行うための、いわば「暫定契約」です。
難色を示してきた日本 受け入れるのか?
GIGOとエッジウィングの契約が送れた理由は一つではありませんが、GCAPの開発費高騰に加えて、アメリカから求められている国防予算の増額などを反映した国防計画の見直しと、見直した国防計画に基づく投資計画の発表が遅れているため、イギリスの支出が確定できず、本格的な契約が締結できないという事情があります。
2022年7月に開催されたファンボロー・エアショーで報道陣のインタビューに応じたイギリスのベン・ウォレス国防相(当時)。この会見で後にGCAPとなる、日本、イタリアとの有人戦闘機共同開発の話し合いが大詰めを迎えていることが明らかにされた(竹内 修撮影)
日本はこれまで、GCAPで開発される有人戦闘機の配備を2035年に開始することを目指しており、開発計画に遅れを来す可能性が生じる計画参加国の増加に難色を示してきました。ただ、開発費が当初予測より高騰している状況下で、フランス、ドイツ、スペインによる新戦闘航空システム「FCAS」のように計画が空中分解寸前の状態に陥ることを防ぐには、開発参加国の増加を容認も視野に入れるべきだと筆者は思います。
前に述べたカナダを交えた4か国の話し合いは、2026年7月に行われると報じられています。2022年7月にイギリスで開催されたファンボロー・エアショーで、日英伊の3か国によるGCAPの共同開発に枠組みが公にされたあたりから見て、2026年7月に開催されるファンボロー・エアショーでは、なんらかの新発表があるのかもしれません。
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