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「これが全国唯一の“高速”バスだったのか…」 もと国鉄の「元祖バス専用道」もはや風前の灯? 道も“老朽化”

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  • 乗りものニュース
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鉄道の線路跡を転用したバス専用道は全国でも珍しく、福島県にはその元祖が残っています。しかし最近も一部廃止となるなど、その状況に変化が。現地に行って確かめてきました。

鉄道の廃線跡を「バス専用道に」の元祖

 鉄道路線が廃止された際、バス路線に転換するのは一般的ですが、線路跡をバス専用道として活用する場合もあります。

Large figure1 gallery24古関バス停に磐城棚倉行きのバスが到着する。写真手前が磐城棚倉方面。手前の看板には「国鉄高速度専用自動車道」の文字が(遠藤イヅル撮影)。

 現在運行している例をあげると、被災した大船渡線の被災路線を転用(大船渡BRT線、JR東日本)、秋保電気鉄道の廃線跡(宮城交通)、日立電鉄線の廃線跡(ひたちBRT線、茨城交通)、鹿島鉄道線の廃線跡(かしてつバス)などがそれにあたります。このほかにもかつては、廃線を転用したバス専用道がいくつか存在しましたが、いずれにせよその数は多くありません。

 福島県にも、国鉄白棚(はくほう)線の線路跡をバス専用道に転用した区間が残っています。白棚線は、東北本線の白河駅と水郡線の磐城棚倉(いわきたなぐら)駅間23.3kmを結んでいた路線で、1916(大正5)年に白棚鉄道として開業しました。

 1941(昭和16)年には、国に買収されて国有鉄道白棚線となりましたが、戦争の激化により不要不急路線扱いとされ、1944(昭和19)年に全区間で運行を休止。戦時中の金属供出のためレール類は撤去されました。つまり厳密には、白棚線は現在も休止路線。「廃線」扱いではないのですが、今後も鉄道路線としての復活はあり得ないでしょう。

 その後、並走する道路を走る代替バスの運行が始まりました。戦後には鉄道路線としての復活が計画されたものの叶わず、線路跡を舗装して作った「国鉄自動車専用道」を走るバス路線「白棚高速線」として1957(昭和32)年に運行を再開しました。BRTの先駆けと呼んでも過言ではないでしょう。

 幹線道路でさえ未舗装という時代に、舗装済みで鉄道路線由来の直線的な道路を走るバスの速達効果は高く、蒸気機関車による鉄道時代よりも約15分もの短縮を果たしました。

 1964(昭和39)年に名神高速道路を走る高速路線バス「名神ハイウェイバス」(名神高速線)が開業するまでは、白棚高速線が唯一 “高速” を冠する路線だったことも驚きです。

バス専用道は絶滅寸前

 白棚線のバス路線の開業当初は全区間がほぼ線路跡だったのですが、並走する道路の整備が進むにつれ、次第に区間ごとに少しずつバス専用道が廃止されていきました。直近では、2024年7月から表郷(おもてごう)庁舎前~三森の間が並走する国道289号経由に変更され、同区間のバス専用道を廃止。これにより、残ったバス専用道は関辺~磐城金山間のみとなりました。

Large figure2 gallery1国鉄白棚線の起点だった東北本線の白河駅。現在も旧白棚線を辿る磐城棚倉方面行きバスが出ている(遠藤イヅル撮影)。

 そこで、今も存続するバス専用道はどのようなものなのか、さらに2024年に廃止された区間が現在どのようになっているのか、現地に行って確認してきました。

わずかに残ったバス専用道は「一般車通行止め」

 今回は、白河から磐城棚倉に向かう「上り」方向で辿ることとしたので、まずは、1921(大正10)年に建てられた2代目駅舎が美しい白河駅へと向かいます。駅前にはいくつかバス乗り場があり、磐城棚倉方面行きは1番乗り場から発着します。基本的には白河と磐城棚倉、そして磐城棚倉から先、祖父岡(そぼおか)までを結ぶバスが運行されていますが、1日1本、東北新幹線の新白河駅行きの便などもあります。

 運行はジェイアールバス関東(JRバス関東)白河支店が担当。本数は平日ではおおむね1時間に1本というペースで、思いのほか多い印象です。ひとまずはバス専用道区間がはじまる、関辺バス停まで向かいました。

 関辺バス停は鉄道でいうところの「島式ホーム」のようなスタイルが特徴。バスは左側にドアがあるため、鉄道と異なり、バスはホームの右側へ停車します。

 ここまで国道289号を走ってきたバスは、関辺バス停からバス専用道へと進んでいきますが、専用道の入口には、赤丸に斜線の「車両通行止め(路線バス除く)」の標識があります。なおバス専用道はJRバス関東の私有地。一般車両のみならず、自転車の通行もできません。

交差点は「バス優先」

 続く古関バス停は、両方向ともに簡単な屋根が備わります。専用道は「単線」とも言えるバス1台分の幅しかありませんが、停留所付近はバスのすれ違いができるスペースが確保されています。

Large figure3 gallery25国道289号を走ってきたバスは、関辺バス停からバス専用道に入る。島式ホーム風なのが面白い。写真奥が磐城棚倉方面。赤い線は白河から磐城棚倉方面に向かうバスの動線(遠藤イヅル撮影)。

 鉄道時代は白河・磐城棚倉駅を含めて11駅が設けられていましたが、バス路線化に際しバス停は大幅に増やされています。古関駅は、かつて鉄道駅があったバス停のひとつであるものの、その面影はあまり感じられません。

 古関バス停のそばには、「国鉄高速度専用自動車道」と書かれた、年季が入った国鉄時代の看板が残っており、ここが国鉄のバス路線だった時代を偲ぶことができます。

 前述の通り、バス専用道は一般車・自転車の通行はできませんが、交差する道路はどうなっているのかというと、基本的にはバス専用道が優先のため、道路側に「とまれ」の標識が置かれています。

 次のバス停は白河東工業団地で、バス停名の通り周囲には企業がいくつか集まっています。バス停自体には屋根もありません。白河東工業団地を出ると、次は谷中バス停。白河方面側にだけ、簡素な木製の待合室が建っています。

バス専用道の廃止後はどうなっている?

 専用道は緑の中を進み、温泉口バス停へ。付近に谷中温泉の宿「旅館 谷中ノ湯」があるため、温泉口という名前になったのかもしれません。温泉口バス停も白河方面にのみ待合室がありますが、こちらは庭に置く物置を流用しているように見えます。

 次は番沢。こちらも鉄道駅があったバス停で、それなりに住宅があるエリアに立地しています。両方向に待合室がありますが、バス路線開業時に建てられたという磐城棚倉方面の待合室の方が大きく作られています。

 松上バス停を過ぎると、バス専用道は国道289号と合流。再びバスは国道上を走行します。国道に設けられた磐城金山バス停も、元は駅があったところです。しばらく国道289号を東進すると、表郷庁舎前バス停に至ります。この地域は2005年に白河市に合併する前は表郷村でした。

 前述の通り表郷庁舎前~三森間は2024年6月までバス専用道の区間でしたが、現在のバスは磐城棚倉までそのまま国道289号を走ります。

老朽化によりさらなる廃止もありえる

 では、廃止されたばかりのバス専用道はどうなっているのでしょうか。表郷庁舎前から伸びていたバス専用道は、カラーコーンとコーンバー(トラ棒)で封鎖され、進入できないような措置が取られていました。バス停の様子も気になったので、旧高木バス停まで行ってみたところ待合室は残っており、壁面にはバス停が移動した案内が貼られていました。鉄道と異なり線路がないため、廃止されたといっても建物や路面が荒れた程度の変化が見られるのみです。

Large figure4 gallery262024年6月末で廃止となった表郷庁舎前~三森間のバス専用道跡。旧表郷庁舎前バス停付近から磐城棚倉方面を望む(遠藤イヅル撮影)。

 表郷庁舎前バス停を出たバスは、国道289号と118号を通って磐城棚倉に至ります。昭和中期のコンクリート造りの駅舎を持つ磐城棚倉駅は、いかにも国鉄駅という風情。駅の奥には以前JRバス関東磐城棚倉支社だった車庫と事務所があり、この日もバスが何台か休んでいました。ここからさらに棚倉町内の祖父岡まで走る便も設定されています。

 実際に現地に行ってみると、まっすぐに伸びた1台分の専用道を走るバスの姿は興味深いものがありました。また、バス専用道と国道289号が離れている場所も多く、もしバス専用道が廃止され、バス停が国道上に移動すると、利用客はかなり不便になるのでは、という懸念も感じました。

 バス専用道が廃止される理由に専用道自体の老朽化があげられています。そのため、残った区間もいつまで使用されるか予断を許しません。気になった人は、ぜひ早めの訪問をオススメします。

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