色帯すら不要!? “つるつるステンレス”になぜ戻した? 往年の東急リバイバル車に“とびきりの魔改造車”が
- 乗りものニュース |

長年走った電車を、オリジナルの外観に戻すリバイバルはさまざまな鉄道会社で見られます。ただ、リバイバルした結果が「何もまとわない外観」となった電車も。それでいて中身はしっかり“魔改造”でした。
“リバイバルブーム”の中で生まれた異色の存在
長年走った電車のデビュー時の姿をリバイバルする動きが相次いでいます。関東では西武鉄道が鋼鉄製電車の新101系の一部編成を黄色い車体と窓周りのグレー色のツートンカラーに復刻したり、東急電鉄がステンレス製車両9000系先頭車の前面帯を、オレンジ色のグラデーションから赤一色に回帰させたりしています。
伊豆急行で活躍を続ける元東急8000系の無ラッピング車両(大塚圭一郎撮影)
これらは、車両が花道を飾る前の“化粧直し”や、記念行事の一環として実施されています。うち制御装置が抵抗制御の西武新101系は、2030年度までに全車両を省エネルギー化したVVVFインバーター制御で統一するのに伴って退役します。代わりに数年以内に投入するのが、東急から譲り受ける9000系と9020系です。
9000系は主に東急大井町線で運行しており、登場時の姿である先頭部分の帯を赤一色にした編成の運行を2025年4月に始めました。東急はリバイバルの実現について、「大井町線の運転士・車掌から『長年にわたりご利用いただいてきたお客様に感謝の気持ちをお伝えしたい』との声が上がったため」と説明しています。
同じように、静岡県の伊豆半島東海岸を走る伊豆急行のステンレス製車両8000系の3編成(計9両)も、譲り受けた東京急行電鉄(現・東急)で1969年にデビューした時の姿に戻っています。伊豆急移籍時に取り付けた、海をイメージした濃淡の青色のラッピングを外し、何もまとわない銀色だけの「無ラッピング車両」に回帰したのです。
伊豆急は筆者(大塚圭一郎:共同通信社経済部次長)の取材に対し、第1弾として2019年に1編成を無ラッピング化したのは「開業60周年イベントの一環で、他の2編成は好評につき追加実施した」と明らかにしました。
しかし、その中には1両だけ異なる型式の車両が混じっており、リバイバルを飛び越えた姿に変身しました。筆者はその“魔改造車”に乗ってきました。
東急時代に一世風靡した「銀色電車」
8000系は東急初だった全長20m級の大型車で、客室の4か所に両開き扉を備えています。マスコンハンドルとブレーキレバーを一本化した「ワンハンドルマスコン」を量産用車両として初めて採り入れたのも含め、現在の東急の主力車両の原型になった車両と呼んでも過言ではありません。
東横線を駆ける銀色のスマートな大型車は、路線の魅力を高めるのに一役買いました。東急では2008年に全て消えましたが、伊豆急で「第二の人生」を歩むことになったのは同社が東急グループなのに加え、「相模湾沿いの路線で潮風を浴びるため、腐食しにくいオールステンレス製車両が適していると判断したため」(関係者)だそうです。
座席は「特急シート」でも邪魔なモノが!?
東急時代の8000系は全てがロングシートでしたが、観光客が多く訪れる伊豆急への移籍に当たって相模湾側の客席の一部をクロスシートに変更。西武の特急形車両「ニューレッドアロー(NRA)」10000系の改装に伴い、余剰になったリクライニングシートが流用されました。
伊豆急行の8152号車(大塚圭一郎撮影)
ただ、座席には背もたれを倒すレバーが残されていますが、微動すらしません。座席の背面にパイプが伸びており、背もたれを倒す行為を阻止しているのです。
車両は直通運転するJR東日本の伊東線で走れるように保安装置を追加、ワンマン運転にも対応し、1編成当たり1か所にトイレを設置するなど、大幅な改造が施されました。
伊豆急ではJR東日本209系を譲り受けた4両編成の3000系「アロハ電車」2編成が2022年4月に運行を始めましたが、今も8000系は3両編成が14編成在籍する伊豆急の最大勢力です。国内で現役なのは伊豆急だけで、一部編成を「無ラッピング車両」にしたことで東急時代に通勤通学で利用した旅行者からは「懐かしい」との声も上がります。
8000系の中に潜む異色の"魔改造車"
そんな伊豆急の無ラッピング車両の一つに、「8000系」を名乗りながら元東急8000系ではない異色の”魔改造車”が組み込まれています。それは、無ラッピング化の第1弾となったTA-7編成の1号車「8152号車」です。
8152号車は、伊豆急で唯一の元東急8500系なのです。8500系は東急新玉川線(現・田園都市線)と営団地下鉄(現・東京メトロ)半蔵門線の相互直通運転向けに8000系をベースとして開発された車両で、1975年にデビュー。赤色の帯をまとった先頭デザインは洗練されており、鉄道友の会の「ローレル賞」を受けた東急唯一の車両です。
8500系は田園都市線で2023年1月まで定期運転され、譲渡されて活躍している地方私鉄は伊豆急のほかに、長野電鉄、秩父鉄道(現・7000系)もあります。
1976年に製造された8152号車は、もともと中間電動車だったのを制御電動車に改造した変わり種です。先頭形状は8000系に似せているものの、上部左右の尾灯は”省略”されています。
元東急8000系を無ラッピング化したことで、東急8500系の先頭部分にあった赤色の帯も“省略”されたのです。このため登場時の正面デザインとはかなり異なり、つるつるステンレスが際立つ「のっぺり顔」に一変しました。
魔改造車が呼び覚ましたタイムマシンの記憶
筆者が伊豆急下田駅から乗った伊豆高原行き電車がTA-7編成で運行されており、8152号車の側面の行先表示器は他の2両よりやや大きいことが分かりました。また、8152号車の先頭部の後ろにあった車側灯を撤去し、代わりに最後部に新設しているのもユニークです。
車内レイアウトは一部をクロスシートに改造した伊豆急8000系と同じです。ただ、天井に扇風機が残る車内に足を踏み入れると、初めて東急8500系に乗車した1978年の記憶がよみがえってきました。半蔵門線が渋谷―青山一丁目間で先行開業した直後のことで、当時は全ての電車を8500系で運転していたため「営団地下鉄の路線なのに、東急の車両ばかり走っている」と驚きました。
登場時の姿からは大きく変わった”魔改造車”でも、乗り込んだ瞬間に昔の記憶を呼び覚ましてくれる――そんなタイムマシンのような役割を果たしてくれる往年の東急のエース車両は健在でした。
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