米海軍が続々導入の高性能レーダーシステム「SPY-6」 日本も他人事ではない理由とは
- 乗りものニュース |

アメリカ海軍の艦艇に搭載されるレーダーシステムが、ほぼレイセオン社のSPY-6一色に染まりつつあります。同海軍と深い関係にある海上自衛隊の艦艇も、やはり他人事ではなさそうです。なぜSPY-6なのか、その理由を解説します。
アメリカ海軍の艦艇は将来SPY-6だらけに?
2021年現在、アメリカ海軍は原子力空母から強襲揚陸艦、そしてイージス艦に至るまでありとあらゆる水上艦艇を運用しています。しかし、これらの艦艇に搭載されているレーダーは当然ながらそれぞれ別々です。ところがこれからは、アメリカのレイセオン社が開発した最新鋭の高性能レーダーシステムである「SPY-6」の登場によって、その状況が大きく変化することになりそうです。
アーレイバーク級イージス艦フライトIIIの1番艦である「ジャック・H・ルーカス」のイメージ。SPY-6(V)1が搭載される(画像:アメリカ海軍)。
SPY-6は、全辺60cmという比較的コンパクトなキューブ状の「RMA(レーダーモジュールアッセンブリ)」と呼ばれる小さなレーダーを複数個、組み合わせることによってひとつの大きなレーダーとして機能するもので、搭載する艦艇のサイズや用途に合わせて大きさを変更することが可能です。そのため、今後アメリカ海軍ではこのSPY-6をさまざまな艦艇に搭載することが決定されています。
たとえば、1番艦の就役からすでに30年以上が経過したアーレイバーク級イージス艦の最新型である「フライトIII」では、1面が37個のRMAで構成されるSPY-6(V)1が搭載されます。また、同じくアーレイバーク級のなかでも比較的、建造年数が新しい艦には、これまで搭載されていたレーダーであるSPY-1Dを、24個のRMAで構成されるSPY-6(V)4に変更して戦闘システムをアップグレードさせる改修が行われます。
さらに、現在建造中のアメリカ級強襲揚陸艦3番艦「ブーゲンビル」とサンアントニオ級輸送艦、および原子力空母のニミッツ級には、9個のRMAで構成される回転式のSPY-6(V)2が、そして建造が決定されたばかりの新型戦闘艦であるコンステレーション級フリゲートおよびジェラルド・R・フォード級原子力空母2番艦の「ジョン・F・ケネディ」と3番艦の「エンタープライズ」には9個のRMAで構成される3面固定式のSPY-6(V)3が、それぞれ搭載される予定です。
なぜSPY-6は大人気?
なぜこれだけ多くの艦艇に、SPY-6の搭載が予定されているのでしょうか。
まず、SPY-6は非常に長大な探知距離を誇り、かつ多様な脅威に対処可能な点が挙げられます。もともと、SPY-6は弾道ミサイルや巡航ミサイルといった、さまざまな目標を長距離で探知できるレーダーとして開発されました。そのため、従来イージス艦に搭載されてきたSPY-1Dに比べ、SPY-6(V)1であれば約3倍の探知距離を誇るほか、従来の弾道ミサイルよりも低高度を複雑な軌道を描いて飛翔する極超音速兵器への対応も可能とされています。
SPY-6(V)1。キューブ状のブロックで構成されているのが見てとれる(画像:レイセオン)。
加えて、SPY-6はメンテナンスも非常に容易で、RMAの背面に挿入されている電子回路をわずか数種類の工具により交換するだけで大半の不具合が解消可能となっているほか、全てのSPY-6シリーズはハードウェアが共通化されているため、教育やロジスティクスが共通化され、従来のレーダーよりも運用に関するコストが大幅に削減されます。
SPY-6最大の特徴は戦闘システムへの負担軽減
上記の点に加え、SPY-6が誇る最大の特徴は、捕捉した目標のデータを自前で処理する能力を備えている点です。これまで、レーダーで捕捉したデータは艦艇の戦闘システムに直接、送られ、そこで処理が行われて目標の位置を確定していました。ところが、SPY-6は艦艇の戦闘システムから独立した独自のデータ処理装置を備えているため、そこにかかる負担を大幅に軽減することができるのです。さらに、SPY-6のデータ処理装置と艦艇の戦闘システムが切り離されたことで、それぞれの性能向上も別個に行うことができ、将来の脅威に対して容易に対応することが期待できます。
SPY-6(V)2。周囲のトゲトゲは電波暗室の壁(画像:レイセオン)。
日本国内では2021年3月現在、地上配備型迎撃システム「イージスアショア」の配備計画がとん挫したことを受け、海上自衛隊で運用が予定されている「イージスシステム搭載艦」に装備する戦闘システムやレーダーの詳細について検討が進められています。上記の点を踏まえると、SPY-6はその非常に有力な候補になると筆者(稲葉義泰:軍事ライター)は思います。
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