サケ、サバ…魚の「栄養」は時間帯によって吸収率が変わる 管理栄養士が教える魚の“上手な食べ方”
- オトナンサー |
焼き魚や刺し身など、魚はさまざまな食べ方が楽しめる食材です。魚を食べる時間帯によって、魚に含まれる栄養素の吸収率に違いはあるのでしょうか。魚を食べるのにお勧めの時間帯とその理由、魚の種類に応じたお勧めの食べ方などについて、管理栄養士の松田加奈さんに聞きました。
魚を揚げると栄養素が半減

Q.朝食にサケ、夕食に刺し身を食べる人は多いと思います。魚料理は朝、昼、夜、どの時間帯に食べるとお勧めなのでしょうか。
松田さん「魚料理は、朝昼晩どの時間帯に食べても栄養面でよい効果が期待できます。朝食は、エネルギー補給と体内時計のリセットがテーマです。また、この時間帯は『タンパク質』『糖質』『DHA』『EPA』の吸収率が高まります。そのため、定番のサケや、DHAとEPAが豊富なサバなどの青魚を使ったメニューがお勧めです。ツナマヨネーズをパンやおにぎりの具材にするのもよいでしょう。
昼食時、特に正午ごろは、1日で最も代謝が高く、太りにくい時間帯です。さらに午後1時ごろは、神経機能の維持や貧血予防に不可欠といわれている『ビタミンB12』の吸収が促進されます。昼食時にカキやハマグリ、シジミ、イワシ、サンマなどの魚介類を食べると、栄養素を効率よく摂取できるのでお勧めです。
夕食ですが、サケ、サバ、ツナなどは油分が多いので消化が遅れてしまいます。そのため、タイやスキミタラといった消化によい白身魚や、焼き魚を食べるとよいと思います」
Q.では、サバ缶も含め、夕食時にサバは食べない方がよいのでしょうか。
松田さん「サバのように油分が多い魚は、先述のように消化に時間がかかるため、基本的に昼食に食べるのがお勧めです。特にサバ缶は塩分も高く、代謝が活発な昼間に取るとよいでしょう。夜に油分の多い魚を食べると、消化で睡眠が妨げられ、眠りの質の低下につながる可能性があります。
夕食以降に魚を食べる場合は、白身魚のようにあっさりした魚を選ぶのがお勧めです。刺し身も少量であれば、問題ありません。しかし、深夜の食事は消化の負担があるため、魚介類に限らず避けるのが望ましいですね。もし帰宅が遅くなり、夕食が遅い時間になった場合は、あっさりとした魚料理を選ぶようにしましょう」
Q.魚の栄養素を効率的に摂取する食べ方について、教えてください。
松田さん「魚に含まれる『DHA』や『EPA』といった良質な油は熱に弱く、加熱すると流れ出てしまいます。そのため、刺し身のように生で食べるのが最も効率よく栄養素を摂取できます。
栄養素の流出を減らす工夫として、煮たり蒸したりして、溶け出した栄養素を汁ごと取る方法があります。また、魚をそのまま焼くと、大切な脂分が約2割流出してしまいます。これを防ぐために、野菜やキノコ類と一緒にアルミホイルで包んでホイル焼きにしましょう。バターなどの油分を加えるのも効果的です。
一方で、魚を揚げるとDHAなどの栄養素が半分近くまで減ってしまいます。栄養素の吸収を第一に考えるならば、揚げることは避けてください。やはり、DHAとEPAを最大限に取るには、刺し身がお勧めです」
* * *
朝食、昼食、夕食はそれぞれ体における役割や特徴が異なるため、食べるとよい魚の種類もおのずと絞られてきます。魚は良質な栄養素を含む体によい食材です。その栄養を最大限に生かすためにも、時間帯に合った魚の食べ方を知り、健康維持に役立てていきましょう。
オトナンサー編集部
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