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聴覚障害のある従業員300人と“共創” リアルタイム音声認識システム「YYSystem」開発の背景

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「YYSystem」のイメージビジュアル
「YYSystem」のイメージビジュアル

 日常生活で急に外国人や聴覚障害のある人に話しかけられて困った経験はありませんか。自動車の部品などを製造するアイシン(愛知県刈谷市)が開発した、聴覚障害のある人や外国人の人たちに対し、コミュニケーション支援をする音声認識アプリシリーズ「YYSystem(ワイワイシステム)」というものがあります。

「東京臨海新交通臨海線」(ゆりかもめ)や阪急電鉄の駅、ホテル、ショッピングモールなどに設置された実例がある上、世界中の作品を対象に優れたデザインを選定する台湾のアワード「ゴールデン・ピン・デザイン・アワード2024」の「ベスト・デザイン・アワード」、公益財団法人日本デザイン振興会主催の「グッドデザイン賞2023」で金賞を受賞しています。聴覚障害の従業員300人とともに共創された「YYSystem」について、BR YYSystem事業推進部の横井志教さんに、開発の背景などについて聞きました。

当事者の声を積極的に反映 「誰とでも会話」「生活環境を可視化」できる

Q. まず「YYSystem」とはどのようなアプリなのか、教えてください。
横井さん「YYSystemは、主に障害のある方を対象に、声や音を見える化する独自のアルゴリズムをコアとして、AI技術を活用して『意思疎通支援』を行うアプリケーションシリーズです。

『いつでもどこでも、誰とでも会話ができる』『生活環境を可視化できる』ため、聴覚障害のある方がコミュニケーションで取り残されない、安心して暮らせる社会を実現します。

YYSystemの最大の特長は、『ユーザーとの共創(インクルーシブデザイン)』という考え方を軸に、開発や進化のプロセスに当事者の声を積極的に反映している点にあります。

本プロジェクトでは、開発当初から『作る人』と『使う人』が同じ目線で課題を捉え、本当に必要なものを一緒に生み出すことを大切にしてきました。

具体的には、聴覚障害当事者の方々と継続的にコミュニティーを形成し、日常の困りごとや『こうだったらもっと便利になる』というリアルな声を直接ヒアリング。その意見に基づいて機能開発を進めています。例えば、『会話画面を2分割し、対面でも双方が画面を見やすくするUI』や『自分の苗字など特定キーワードで通知を受け取れる機能』など、多くの機能がユーザーからの要望によって実装されてきました。

この共創型のアプローチは、単なる機能改善にとどまらず、『当事者が本当に必要だと思うものが自然に社会へ広がっていく』という普及モデルも生み出しています。実際、企業や自治体への導入も、その多くが当事者自身の紹介や口コミによって広がっており、YYSystemは社会に根付いたインクルーシブなサービスへと成長を続けています」

聴覚障害者約300人とともに開発された「YYSystem」
聴覚障害者約300人とともに開発された「YYSystem」

Q.「YYSystem」を開発することになった経緯について改めて教えてください。

横井さん「開発のきっかけは、もともとアイシンの研究所で進めていた『音声会話から知識データベースを生成する』という研究テーマと、コロナ禍による社会の急激な変化が交差したことにあります。

マスクの常時着用や仕事のオンライン化が急速に進んだことで、社内に約300人いる、聴覚障害者がこれまで以上にコミュニケーションの壁に直面し、日々の業務や人間関係に大きな課題を感じるようになりました。これを受けて、『共に働く仲間の困りごとをテクノロジーで解決する』という社内プロジェクトとして、YYSystemの開発が本格的にスタートしました」

Q.現在、「YYSystem」はどれぐらいダウンロードされていますか? また、どのようなシーンで使われているのでしょうか。

横井さん「現在累計190万ダウンロードです。個人ユーザーの方々を中心に多くの方にご利用いただいており、また、企業や自治体、医療・福祉、教育現場など、活用の場面が広がっています。

騒音化でもノイズをキャンセルする独自のアルゴリズムがあるため、製造業の工場の中でご利用いただいています。また、日本語、英語、中国語を含む31カ国語での文字起こし・翻訳が可能なため、多言語でコミュニケーションをとる必要のあるホテルや公共交通機関などでは、YYSystemの導入によってスタッフの業務負担を減らしつつ、利用者一人一人に最適な案内やサポートを提供することで、顧客満足度の向上はもちろん、現場で働く方々の心理的・業務的な負担も解消されており、『誰もが安心して利用できるコミュニケーション基盤』としての拡大が進んでいます。

2025年春には、東急プラザ原宿『ハラカド』にて、『世界に字幕を添える展』を開催しました。このイベントでは、ハラカド館内のさまざまなシチュエーションにYYSystemを導入し、“字幕を添える”ことで、聴覚障害のある方やインバウンドの外国人を含む誰もがコミュニケーションを楽しめる世界を体現しました。

聴覚障害当事者の視点によって課題を発見し、聞こえる人は、実は日常に多くある『意思疎通の壁』に気が付く。みんなが意識をすることで、少しずつ世界が変わっていくきっかけになることを目指して実施されました。

来場者は当初目標の2倍となる1333名にのぼり、聴覚障害当事者はもちろん、聴者や店舗スタッフの皆さまからも多様なフィードバックをいただきました。イベント期間中も日々改善を重ねることで、『情報保障があることでコミュニケーションの総量が増える』『字幕が購買意欲やサービス満足度の向上につながる』など、非常に価値ある気付きや新たな可能性を得ることができました」

Q. では、実際に利用した人などから、どのような感想が届いたりしていますか。

横井さん「YYSystemを利用している聴覚障害当事者の方からは、『同僚と同じペースで会話できるようになった』『一人で病院に行くことができるようになった』『日常のコミュニケーションに感じていたストレスが大きく減った』といった声が多く寄せられています。

YYSystemの導入によって、日常生活のさまざまなハードルが下がり、自分らしく前向きに行動できるようになった、というポジティブな自己変革の実感が広がっています。

YYSystemの法人契約では、従業員やお客さまとの円滑なコミュニケーションがとれるようになり意思疎通がしやすくなったなどのお声をたくさんいただいています。また、企業や官公庁、病院など、機密性の高い情報を取り扱う現場でもご利用いただけるよう、万全のセキュリティー対策を講じています。システム側での厳格なセキュリティー対策はもちろん、導入先ごとに異なる『セキュリティチェックシート』への対応も実施しています。これにより、YYSystemは高度な情報管理が求められる現場でも安心してご活用いただける環境を実現しており、導入企業・団体からも高い信頼を得ています」

Q. 今後、「YYSystem」がどのように活躍してほしいか、どのような未来を思い描いていますか?

横井さん「今後も当事者からの声を中心に、インクルーシブ社会の実現に向け進化を続けます。『API連携による他サービス・システムとの融合』『Myエンジン機能による、話し方に特徴のある方の発話を認識して正確に文字起こしするサービスの展開』『オフラインエンジンの活用による災害・インフラ障害時の対応力強化』『海外展開・スマートシティ化への貢献』『教育・スポーツ・芸術等、多分野への応用も進行中』『東京2025デフリンピックでの活用』『世界に字幕を添える展の広域での開催』など、多様な現場・分野・国で“誰もが自然にコミュニケーションできる社会”の実現に挑戦を続けていきます。

YYSystemは、これからも『いつでもどこでも、誰とでも会話ができる』社会づくりに貢献していきたいと考えています」

 聴覚障害の従業員300人とともに共創された「YYSystem」。ふとした時に、外国人や聴覚障害者に寄り添うことができるかもしれません。今年11月15日から開催される「東京2025デフリンピック」でも活用されるということなので、街中などで見かけた時には、注目してみてくださいね。

オトナンサー編集部

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