「日本の土木技術の“勝利”」はいつ!? 夢の高速飯田線「三遠南信道」どこまで進んだ? 事業費137億円増額へ
- 乗りものニュース |
全体の進捗がわかりました。
「三遠南信道」どこまで進んだ?
国土交通省 中部地方整備局は2024年11月8日、今年度3回目となる事業評価監視委員会を開催。「三遠南信道」を構成する「飯喬道路」「青崩峠道路」「水窪佐久間道路」「佐久間道路・三遠道路」について進捗が共有されました。
静岡県側で未開通の鳳来寺IC-東栄IC間の建設状況(画像:中部地方整備局)。
「三遠南信道」は中央道の飯田山本ICから南へ、新東名の浜松いなさJCTに至る約100kmの高規格道路です。中部地方の山間部を貫くJR飯田線に並行し、国道474号に指定されています。
特に長野・静岡県境部は、昔からトンネルを通すことが計画されたものの、中央構造線を通過することから地盤が脆弱で、道路地図に「あまりの崩落の激しさに日本のトンネル技術が敗退」などと書かれるほどでした。ここに2023年、三遠南信道の「青崩峠トンネル」が貫通し、大きな期待が寄せられています。
三遠南信道は現在、約100kmのうち35.4kmが開通しています。また、28.4kmは現道活用区間のため、新規建設となる残り区間は、全体の約4割といったところです。
うち、静岡側の「佐久間道路・三遠道路」は未開通の鳳来峡IC-東栄IC間7.1kmが2025年度に開通予定で、事業進捗率は約97%(2023年度末時点、以下同)に達しています。
開通見込みが出ているのはこの区間だけですが、長野県側で飯田上久堅・喬木富田IC-喬木IC間7.5kmを建設中の「飯喬道路」は事業進捗率約87%、前出した青崩峠トンネルを含む「青崩峠道路」は約73%となっています。
最も遅い2019年度に事業化された水窪IC(仮称)~佐久間川合IC間14.0kmの「水窪佐久間道路」は、2022年度末時点で用地取得率約1%でしたが、2年で約49%まで進みました。ただし全体の事業進捗率は約3%といったところです。
また今回、評価対象区間の総額で、事業費が約137億円増となることが分かりました。資機材や労務単価の高騰などもありますが、「佐久間道路・三遠道路」では想定外の硬い岩盤を掘削するのに、家屋やJR飯田線が近接するため火薬発破ができず、静的破砕による掘削が必要となったことで55億円増になるなどしています。
これら三遠南信道の対応方針を受け、沿線自治体から期待の声も紹介されていますが、浜松市は特に「青崩峠道路については開通見通しの早期公表をお願いしたい」と求めています。
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