「松茸」ってちゃんと栄養あるの? 管理栄養士に聞いてみた結果
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秋の味覚の王様といえば「松茸(まつたけ)」。炭火焼きに土瓶蒸し、炊き込みご飯など、さまざまな調理法で楽しめる、香り高い高級食材です。一方で、「松茸の栄養ってあんまり知らないかも」「ちゃんと栄養あるの?」「他のキノコより栄養ないイメージ」など、栄養に関しては疑問の声もあるようです。実際のところはどうなのでしょうか。松茸の栄養について、管理栄養士の岸百合恵さんに聞きました。
香気成分にがん予防効果も
Q.そもそも「松茸」とはどんな食材ですか。
岸さん「松茸は“秋の味覚の代表格”といわれ、9~10月が最盛期のアカマツやクロマツの林に自生しているキノコの一種です。そのため、アカマツやクロマツが自生している環境でしか生息できません。さらに、生育するための詳しい環境条件もいまだはっきり解明されていないので人工栽培が難しく、自然の中でも繁殖しにくいため、とても貴重なキノコです。
アカマツ林が年々減少していることもあり、収穫の少ない年は特に値段が高くなる傾向にあります。日本では長野県産が最も多く、海外では韓国と中国が主な産地です。
松茸の魅力といえば、何といっても香りのよさです。松茸は『マツタケオール』と呼ばれる香気成分を含んでいるので、あの独特の香りを持っています。エリンギに似たコリコリした心地よい食感が特徴です。なお、生で食べることはできません」
Q.「他のキノコより栄養ないイメージ」といった声も聞かれますが、松茸に栄養は含まれているのでしょうか。
岸さん「松茸は、キノコ類の中では特徴的な栄養素は含みませんが、他のキノコ類と同じようにビタミンDやビタミンB群、カリウム、食物繊維などを多く含みます。100グラム中32キロカロリーで、1本あたり(可食部40グラム)12キロカロリーと、低カロリーな食材です。
また、先述したように、松茸は独特の香りをつくる『マツタケオール』や『桂皮酸(けいひさん)メチル』という香気成分を豊富に含んでいます。これらの成分は食欲を増進したり、消化酵素の分泌を促したりする作用に加え、がん予防の効果も期待されています」
Q.松茸のおすすめの食べ方や、注意点を教えてください。
岸さん「松茸は鮮度が重要なので、手に入れたら香りと風味が落ちないうちにすぐ食べましょう。調理する際は、包丁で切るのではなく手で割いた方が、香りが立ちます。
風味や、特に水溶性の栄養素が損なわれないようにキノコ類は通常洗いませんが、天然物の松茸の場合、人工栽培のものよりも泥やごみが付着していることが多いです。気になるときは濡らした布巾で拭いたり、流水ではなくボウルなどにためた水で優しく洗ったりするようにしましょう。
松茸には、他のキノコ類と同じようにビタミンDが多く含まれますが、このビタミンDはカルシウムの吸収を促進する働きがあります。カルシウムは骨の健康に重要な栄養素ですが、吸収率がとても低いです。松茸に限った話ではないですが、どちらの栄養素も現代の日本人には不足しがちなので、日頃からカルシウムとビタミンDを一緒に摂取することを心がけることが大切です」
オトナンサー編集部
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