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デカくて静かな“スゴイ旅客船”続々登場!? 2025年「注目の新造船」たち 燃料の“脱・アブラ”さらに加速!

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  • 乗りものニュース
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2024年も新燃料や風力に着目したユニークな新造船が多く竣工しました。2025年もその方向性はさらに鮮明に。“脱・アブラ”を象徴する新造船が続々と登場します。

LNGだけじゃない! “脱・重油”が現実に

 2024年は、世界唯一の新造「捕鯨母船」や、巨大な「風力推進装置」を甲板に取り付けた貨物船、国内初の「水素燃料旅客船」、国内初の内航「メタノール燃料タンカー」など、ユニークな船が続々と竣工しました。2025年も“脱・重油”を推進するような新造船が続々と登場する見込みです。

Large figure1 gallery162025年春デビュー予定の「さんふらわあ ぴりか」。1番船の「さんふらわあ かむい」は1月デビューだ(深水千翔撮影)。

「さんふらわあ」のLNG燃料フェリー

 商船三井グループのフェリー・RORO船社、商船三井さんふらわあが運航するLNG(液化天然ガス)燃料フェリーがいよいよ4隻体制になります。大洗(茨城県)―苫小牧(北海道)航路に「さんふらわあ かむい」「さんふらわあ ぴりか」がそれぞれ投入されます。

 両船は内海造船因島工場(広島県尾道市)で建造。環境負荷が低いLNGを燃料にすることで、内航フェリー分野でもGHG(温室効果ガス)の削減へ繋げます。

 投入されるのは大洗―苫小牧航路のうち、午前1時に出港し、同日夜に到着する“深夜便”です。「さんふらわあ かむい」は早くも1月21日にデビューし、同年春ごろまでに新造船2隻が出そろう予定です。

 船体の大きさは1万5600総トンで、全長は199.4m。船体デザインは既存船から一新し、斜め向かい風を推進力に利用する丸型の船首形状「ISHIN船型」を採用。塗装は「さんふらわあ」の象徴である大きな太陽のマークは残しつつ、白を基調とした従来船からイメージを大きく変え、海と空を表す「青」を船体の半分以上に塗ることで「夜明けの海」と「新しい時代を照らす光」を表現しています。

クルーズ船もLNG燃料時代「飛鳥III」

 日本郵船グループの郵船クルーズが導入するLNG燃料新造客船「飛鳥III」もいよいよ2025年夏にデビューします。同船は現在、ドイツの造船所マイヤー・ベルフトで建造中。竣工後は既存の「飛鳥II」と共に横浜港を船籍港として、2隻体制で運航を行う予定です。

「飛鳥III」の船体規模は5万2000総トンで、全長は230.2m、全幅は29.8m。総客室数は385室を予定しており、乗客定員は740人です。全ての客室にバルコニーが配置されるほか、「飛鳥II」でも人気の展望露天風呂も設置。フランス料理やイタリア料理、割烹料理など、その日の気分にあわせてディナーを選べられるよう、6つのダイニングを備えています。

 さらに郵船クルーズは日本の伝統工芸の保存・活用に貢献する取り組みを進めており、上から見る外の景色はもちろん、船内でも芸術作品などを鑑賞できる「動く洋上の美術館」とも言える客船を目指しています。

「自動車運搬船」も次世代燃料へ

 トヨタグループで完成車の輸送を担うトヨフジ海運の新造「自動車船」も、今年デビューです。同社は2050年までに船舶のCO2(二酸化炭素)排出ゼロを掲げ、新燃料船の整備をすすめています。

 この先駆けとして三菱重工業下関造船所で建造されているのが、LNGと軽油を燃料として使用できる2元燃料(DF)エンジンを搭載したRORO船「TRANS HARMONY GREEN」と「TRANS HARMONY EMERALD」です。次世代の自動車船隊を象徴する船として日本―東南アジア航路でトヨタ自動車をはじめとする完成車輸送に従事します。

 全長は195m、全幅は30.6m、総トン数は4万9500トン。積載車両台数は“トヨタクラウン換算”で約3000台となっています。

 1番船は1月中の引き渡しを予定しており、竣工後はアジアの主要港を定曜日、定間隔で結ぶ「アジアウィークリーサービス」へ投入されます。これは横浜や名古屋で完成車などを積み、レムチャバン(タイ)、ポート・ケラン(マレーシア)、シンガポール、パティンバン(インドネシア)といった東南アジアの各港を結ぶ航路となっています。

“世界初”を投入する瀬戸内の有力企業

 広島の備後地方を地盤とする常石造船は、世界初のメタノール燃料6万5700重量トン型ウルトラマックスバルカーを建造中、2025年春の竣工を予定しています。

Large figure2 gallery17常石造船が建造する世界初のメタノール燃料ウルトラマックスバルカー(画像:常石造船)。

 メタノール燃料を使用することで、重油と比較してNOx(窒素酸化物)最大約80%、SOx(硫黄酸化物)最大約99%、CO2最大約10%の排出削減を実現。これにはバイオマス由来もしくは合成燃料としてのグリーンメタノールを使い、カーボンニュートラルを実現する想定です。

 常石造船からはさらに、水素混焼エンジンを搭載したタグボートも2025年内に登場する予定です。同船はCO2排出量を従来のエンジンに比べ、最大80%削減することを目標にしています。現在、ベルギー海運大手CMBと常石グループのツネイシC&F(クラフト&ファシリティーズ)、神原汽船が出資している「ジャパンハイドロ」が、日本財団の支援を受けて開発を進めています。

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