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わずかな刺激で皮膚に水ぶくれができ、指同士が癒着…。44歳で希少疾患「栄養障害型表皮水疱症」と確定診断された女性の決意

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Krystal Biotech Japanは10月21日、これまで有効な治療法がない先天性の難病「栄養障害型表皮水疱(ひょうひすいほう)症」に対応した、国内初の”塗る”遺伝子治療用製品「バイジュベック(R)ゲル」の製品プレスセミナーと事業戦略説明会を開催しました。セミナーの内容をレポートします。

耐えきれない痛みとともに相談先がない孤独を抱えてきた

表皮水疱症は、皮膚や粘膜が剥がれたりするだけでなく、口の中や食道が傷ついたりすることで食事をとることが難しくなったり、繰り返し皮膚がはがれることで指が癒着するなど、日常生活にも大きな影響を与える病気。推定患者数は約500~1,000人と言われる希少な遺伝性疾患です。

セミナーでは、「表皮水疱症友の会 DebRA Japan(デブラ・ジャパン)」の代表を務める宮本恵子さんが、当事者として自身の経験を語りました。

宮本さんは生まれつき栄養障害型表皮水疱症を患いながら、40代を過ぎるまでこの病気の診断が下りなかったと話します。

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「表皮水疱症友の会 DebRA Japan(デブラ・ジャパン)」代表の宮本恵子さん

「私は札幌に住み、市内のいくつもの病院にかかっていましたが、この病気を正しく診断してくれる医師はひとりもいませんでした。この病気は毎日、ちょっと物にぶつかるだけ、身に付ける物や食べる物が固かったりするだけ、といったわずかな刺激で皮膚がめくれ、水ぶくれやびらんが発生します。毎日繰り返すことで指同士が癒着してしまい、次第に関節が曲がっていきました」(宮本さん)

病名がわからないまま医療機関を渡り歩いた宮本さん。毎日めくれる皮膚の感染を防ぐため抗生剤を塗ってガーゼで保護をするなど、自分なりに対処をしながら病気とたったひとりで闘う日々を過ごしました。ガーゼ交換のときには皮膚もはがれてしまい、耐え切れないほどの痛みをともなうのだそうです。

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毎日繰り返す水疱とびらんの処置には痛みを伴い、多くの時間も費やす/DebRA Japan 提供資料より

「以前は包帯やテープ、ガーゼなどの医療材料に対する公的な支援がまったくなく、すべて自己負担でした。医療材料だけで毎月20万円ほどの費用がかかり、家計を圧迫していました。ガーゼと聞くと軽く思われるかもしれませんが、私たちにとっては生活に欠かせない“命を守る道具”です」(宮本さん)

専門医に出会い、患者会を発足

宮本さんが表皮水疱症の確定診断を受けたのは、皮膚がんを発症したことがきっかけでした。

「44歳のときに皮膚がんを発症し、そのときの担当医が初めて確定診断してくれました。医師は『これは一生治らない病気だから一緒に闘おう。一緒に患者会を作ろう』と言ってくれました」(宮本さん)

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左は30代のころの宮本さん。50代(右)では指が癒着してしまっている/DebRA Japan 提供資料より

医師の言葉をきっかけに、宮本さんは2007年「表皮水疱症友の会 DebRA Japan」を立ち上げました。現在、患者会には200名を超える患者が登録しています。

この病気のある子どもたちの多くは、皮膚がむけた状態で生まれます。この病気の治療について知っている医師も少ないので、ご家族はインターネットで必死に情報を検索して患者会にたどり着くことが多いです。私は、日本国内に数人しかいない専門医の先生方と、患者会にたどり着いてくれた人とをつなぐ役割をしてきました。

この病気を抱える人は誰に相談してよいかもわからず、『自分だけがこんな病気なのでは』と孤独を感じ、悩み苦しみます。患者会ができるまでは、患者同士で情報交換する機会もなく、医療者を探すつてもなく、患者たちは本当に苦労していました」(宮本さん)

宮本さんは患者会の活動を通して厚生労働省に働きかけ、医療材料を保険適用にすることや、傷につきにくい医療材料の認可を求め導入を実現するなどし、患者の生活の質の改善に取り組み続けてきました。

最大の問題は治療法が存在しないこと

生まれつき皮膚が非常に弱く、わずかな外力でも水ぶくれやびらんが生じてしまう表皮水疱症。なぜこのような症状が起こるのでしょうか。北海道大学大学院 医学研究院皮膚科学教室 准教授の夏賀 健先生が解説しました。

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北海道大学大学院 医学研究院皮膚科学教室 准教授の夏賀 健先生

「健常な皮膚は、表皮と真皮がⅦ型コラーゲンというタンパク質によってしっかりと固定されています。しかし栄養障害型表皮水疱症の患者さんの場合、遺伝子の異常によってⅦ型コラーゲンが欠損または機能不全に陥っており、少しの外力で皮膚が剥がれ、水疱やびらんが起こってしまいます。

時間の経過とともに指や足の指が癒着してしまうと、物をつかむことが難しくなります。また、皮膚に繰り返し生じる創傷から皮膚がんが発生し、最終的にこれが致命的になるケースもあります」(夏賀先生)

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掴めない、握れない、つまめない、引っ張れない、歩けない、と生活全般に大きな影響を与える/DebRA Japan 提供資料より

激しい痛みやかゆみによる肉体的苦痛や、毎日皮膚のめくれをケアすることを繰り返すことでの精神的負担も大きいのだそうです。

患者さんが最も苦しんでいるのは、水ぶくれやびらんができるたびに激しい痛みを伴うこと。同時に強いかゆみもあります。全身が傷だらけになるため皮膚のバリア機能が失われ、そこから細菌感染を繰り返してしまうことも多く見られます。

さらに、毎日2時間以上かけてガーゼや包帯などの被覆材を交換する必要があり、家族の負担も非常に大きいのが現実です。表皮水疱症は患者本人だけでなく、その家族にとっても非常に医療的ニーズの高い疾患ですが、この病気の最大の問題は“根本的な治療法が存在しない”ことなのです」(夏賀先生)

1日も早く治療薬が欲しかった患者にとって、大きな希望

これまで国内では根本的な治療法はなく対症療法しかありませんでしたが、この度国内初の塗り薬が発売となりました。Krystal Biotechの日本法人、Krystal Biotech Japanが販売する遺伝子治療薬「バイジュベック®ゲル」は、表皮水疱症の4つの病型のうち、栄養障害型表皮水疱症の治療薬。表皮水疱症の患者のうちほぼ半数は栄養障害型と言われています。

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栄養障害型表皮水疱症患者の創傷治療を目的とした遺伝子治療薬「バイジュベック®ゲル」

「この塗り薬は、ベクターと呼ばれる改変したウイルスを使ってⅦ型コラーゲンの遺伝子を皮膚細胞に導入し、そこで正常なタンパク質を作らせるしくみです。これにより皮膚の基盤構造が修復され、表皮と真皮の結合が再び安定します。結果として水ぶくれやびらんが治り皮膚が丈夫になるというメカニズムです。治療は週に1回、傷の部分に塗布します」(夏賀先生)

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夏賀先生投影資料より

海外・国内でも臨床試験が行われ、有効性と安全性が確認されています。試験では治療から6ヶ月後には皮膚が完全閉鎖、つまり傷が治ることがわかりました。

「もちろん、すべての患者さんの傷が完全に治るわけではありませんし、重度の瘢痕化(はんこんか)や指の癒着をすぐに改善することは難しいでしょう。それでも、傷が早く治るということは、患者さんの痛みや苦しみが軽減され、皮膚のバリアができて感染リスクが下がり、さらに皮膚がんを予防できる可能性もあるとも考えられます。この薬によって、患者さんとご家族の生活の質が向上することを願っています」(夏賀先生)

患者会代表として、臨床試験にも参加した宮本さんは「今回の発売は患者にとって大きな希望となる」と強調します。

「患者と患者家族の多くは、1日でも早く治療薬が欲しいと望んできました。幼い患者の中には、毎日おふろに入るたびに傷の痛みで喉から血が出るほど泣き叫ぶ子もいます。親御さんはかわいそうだと思いながらも、清潔にしなければ感染して亡くなってしまうリスクが高まるためにやらざるをえないつらさがあるのです。

今回、臨床試験で実際に薬を使用してみて、瘢痕化した傷は治りが遅かったですが、新しい傷ほど治りがとても早かったという感想です。赤ちゃんのころからこの治療薬を使えれば、きっとよくなるだろうと期待しています」(宮本さん)

遺伝子治療を在宅で行うためには、運搬や保管、廃棄などを定める法律面で大きな課題がありましたが、Krystal Biotech Japanの笠本浩社長は「遺伝子治療薬の取り扱いにおける安全性を確保しながら、在宅での治療を可能にする新しい流通システムを確立した」と話しました。

薬価は1キット(1回の使用分)で約295万円で保険適用となります。講習を修了するなど要件を満たした医療機関のみが「バイジュベック®ゲル」の取り扱いを許可されることとなり、今後全国の大学病院を中心とした医療機関の約80施設で導入を見込んでいます。

Krystal Biotech Japan
https://www.krystalbio.jp/

(取材・文:早川奈緒子)

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