第一子妊娠中に昇進、重要なポジションに任命された小児精神科医が今も忘れない指導医の言葉「誰でも同じ責任と休む権利がある」
- マイナビウーマン |

仕事も子育ても大切にしたいのに、うまくいかない日々にモヤモヤしたり、自信をなくしてしまうことはありませんか?
\子育てに不安や悩みを抱えるすべてのパパ・ママに/
ハーバード大学医学部准教授で小児精神科医としてマサチューセッツ総合病院小児うつ病センター長を務める3児の母・内田舞さんが、日々さまざまな思いを抱えて子育てに向き合う親たちへ、【専門性】×【育児の実体験】でアドバイスとエールを送ります。
今回は、多くのママたちが悩む「キャリアと子育ての両立」について、書籍『小児精神科医で3児の母が伝える 子育てで悩んだ時に親が大切にしたいこと』(日経BP)から一部抜粋してお届けします。
「親である私」と「働いている私」
※画像はイメージです
先ほどお話しした私の友人のように、キャリアと家庭の両立に悩む親は多いと思います。実際、私のところにも「キャリアと子育てを、どうやって両立しているのか」という質問が寄せられることは多いです。
特に日本では、「『仕事は仕事、家庭は家庭』と、はっきりと分けなくてはならない」という暗黙の了解があるように感じています。
でも、どちらも同じ人間の営みです。私は、仕事も好きですが、運動もお裁縫も料理も好きですし、友達と会う時間も好きです。家族との時間も大切です。仕事をしている私、家族といる私、友達といる私、趣味をやっている私、すべてが「私」です。人にはいろいろな面があって、時間帯や場所ではっきり分けられるものではありませんし、わざわざ分割しなくてもいいと思っています。それなのに、なぜか社会からは「分割しなくてはならない」というプレッシャーがあります。
以前、私が働くマサチューセッツ総合病院の小児精神科の会議で、「私たちはみな、多面的な人生の要素を抱えながら仕事の顔を持っているはずなのに、職場では一面的な『仕事の顔』しか出してはいけないという、暗黙のプレッシャーがある時代もあった。しかし今は、いろんな顔を見せてほしい。遠慮なく、『今日は子どもの歯医者の予約があるので、昼に帰ります』と言ってもらい、みんなでそれを、良いことだと祝福するようにしたい」という科の方針が発表されました。
実際、私の職場では、子どもの用事を理由に早く帰る人は珍しくありませんし、私も「職場に育児を持ち込む」ことは多いです。子育てをしていると、想定外のことが頻繁に起こりますが、親には「育児をしないという選択」はありません。子どもを迎えに行った帰りの車の中から、オンラインや電話で会議に参加したりすることもありますが、職場の誰もイヤな顔はしませんし、むしろ「そういう姿を見せてくれてありがとう」と言われることも多いです。
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日本の職場では、プライベートなことを話す時に「私事で恐縮ですが、今度子どもが生まれるんです」など、「私事で申し訳ありませんが……」という言い方をよくしていると思います。でも本当は、恐縮したり、申し訳ないと思ったりする必要などないはずです。
もちろん、プライベートのことを職場であまり話したくない人もいますから、どこまでオープンにするかは個人が自由に判断できるようにすべきです。しかし「家庭のことやプライベートのことは、職場では隠さなくてはならない」という雰囲気を作らない方がよいのではないでしょうか。こうした雰囲気があるからこそ、子どもが発熱したなどの子育てにまつわる突発事項で早退する時にも、親が肩身の狭い思いをしなくてはならなくなってしまうのだと思います。
最近は、男性の育児休暇制度を持つ企業が増えているそうですが、実際は、職場の理解が得られなかったり、育休を取りづらい雰囲気があるなどの理由で、取得率が伸び悩んでいたり、取得したとしても短期間に留まっていたりということがあるようです。仕事の場で「子育て」の姿が見えにくい状況というのは、多くの人を苦しめるように思います。
普段から「そういう姿」(子育てをしている姿)を職場で見せていれば、「全員の生活が1日中仕事中心で回っているわけではない」ことを誰もが理解しやすくなり、「全員が同じ時間帯に、同じような条件下で働かなければならない」といったプレッシャーも、和らぐように思うのです。
コロナ禍で実感した働き方を自由に選べることのメリット
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また、私の職場は、子どもがいようがいまいが、同じレベルの成果を求められますが、時間の使い方は個々に任されています。そこは本当に「職場に恵まれている」と感じています。
実際、妊娠したから、出産したからといって、私の扱いはまったく変わりませんでした。
現在のマサチューセッツ総合病院小児うつ病センターの前身の「小児気分障害早期診断早期介入センター」のセンター長に任命されたのは、私が医師8年目で第1子の妊娠中のことでした。また、ハーバード大学のインストラクターからアシスタントプロフェッサーに昇進したのも、同じ年でした。
当時、センター長にと声がかかった時、「3カ月後に産休に入るのですが」と伝えたのですが、70代の男性上司2人からは「では、早く手続きを進めないとね。センター長になってから育休を取って、復帰したらそこからまた頑張って」という反応でした。その時、2人の表情がまったく曇ることがなかったのは、うれしい驚きでした。産後も私の生産性は落ちないだろう、多少落ちたとしても、センターにとってはプラスになるだろうと期待してくれていると感じました。これがもし日本なら、昇進の話自体がなくなった可能性もあるでしょうし、昇進するとしても、「育休が明けてからあらためて相談しましょう」と先延ばしになっていたのではないかと思います。
子どもが生まれてからも、職場で求められる成果を出していれば、どの時間帯に、どのような働き方をしていてもいいのは本当にありがたいです。もちろん、「成果を出し続ける」のは簡単なことではありませんが、少なくとも、最初から「子どもがいるのだから、成果はほかの人より低いに違いない」という扱いを受けたり、「ほかの人たちと同じ働き方をしていないから」という理由だけで評価を下げられたりすることはありません。
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研修医時代の指導医の言葉で、印象に残ったものがあります。当時、4人の研修医で、月曜日から木曜日のどの日を半日勤務にするか、割り当てなくてはならなくなったのですが、その指導医は「半日勤務の曜日を希望する時は、それが『子どものサッカーの試合があるから』という理由でも『サイクリングのクラスに行きたいから』という理由でも、どちらが優先されるべきということはない。既婚でも独身でも、育児中でも、仕事の責任は平等にあるし、休む日を選ぶ権利も平等にある」と言いました。誰でも同じ責任と休む権利が与えられるというのは、新鮮に感じたことを覚えています。
リモートワークができるようになったことには助けられています。ただ、子どもが小さいうちは、いくらリモートワークが可能であっても、家で子どものめんどうを見ながら仕事をすることは不可能でした。コロナ禍のロックダウン中は、「午前中は夫が子どもの面倒を見て、私がリモートで仕事をする。午後は私が子どもを見て、夫が仕事をする」といったように、交代で子どもを見たり仕事をしたりという生活でした。1日中子どもたちを家で過ごさせるのは本当に大変で、夫も私も毎日くたくたになっていました。
今は、子どもたちもそれぞれ幼稚園(プレスクール)や学校に行っていますし、前に比べると手がかからなくなってきているので、リモートワークができて助かっています。子どもたちが午後3時ごろに家に帰ってきても、そこから5時ごろまで2時間くらいなら家で仕事ができます。ある程度、患者さんと信頼関係ができてからにはなりますが、コロナ後は、オンライン診療も当たり前になったので、家からのリモート診療中に子どもが何かが必要だと声をかけてきた時には「ちょっとだけ待ってください」とお願いして、子どもに対応してから診察に戻ることもあります。
こうした、リモートワークの制度や、職場で子育ての姿を見せられる雰囲気、働き方の柔軟性については、一人ひとりが努力しても、簡単には得られませんし、既にある仕事の常識を変えることは容易ではありません。ただ、自分が苦しんでいるのは、変わらない制度や文化のせいでもあることを、知ってほしいと思います。少なくとも、こうした不利な状況の中で苦しい思いをしている自分を責めて内的評価を下げ、自信をなくしたりすることが、少しでもないようにしてほしいと願っています。
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この続きは、是非書籍でご覧ください。
※本記事は、『小児精神科医で3児の母が伝える 子育てで悩んだ時に親が大切にしたいこと』(著:内田舞/日経BP)より抜粋・再編集して作成しました。
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