宇宙でも「コーヒーの味指定」OK!? 宇宙ステーションの「飲み物事情」野口宇宙飛行士に聞く
- 乗りものニュース |

ISSは各国から選抜された、国籍・宗教・年齢・性別もバラバラのメンバーが集まります。長いと半年ものあいだ閉鎖空間の中で暮らすことになりますが、その際の大きな楽しみの一つが飲食。今回は最新の飲み物事情を野口聡一宇宙飛行士に聞きました。
エスプレッソもグリーンティーもセルフオーダー可
飲み物は個人の好みが色濃く出る部分です。水分摂取だけならば普通の水さえあればこと足りますが、やはり嗜好品があると精神的にもリラックスできます。ISS(国際宇宙ステーション)ではアルコール(酒類)こそ飲めませんが、それ以外はおおむねOKでバラエティも豊富。野口宇宙飛行士によると、最近ではコーヒーを自分好みにオーダーできることもあるのだそうです。
「Zero-G Cup」と名付けられた専用のコーヒーカップでエスプレッソを飲むサマンサ・クリストフォレッティ宇宙飛行士(画像:ESA/NASA)。
――飲食について伺います。人間ですから当然、飲み物や食べ物をとらなければいけません。JAXA(宇宙航空研究開発機構)が認定している宇宙日本食では、食べ物こそ話題になっていますが、飲み物はあまり聞いたことがありません。日本茶系のものとか、コーヒーや紅茶、それらはどうなっているのでしょうか。
野口:飲み物も宇宙日本食として、いっぱい認証されていますよ。それなりにアピールしているつもりなんですが、まだまだ足りなかったかなと思います。
――不勉強ですみませんでした。
野口:缶詰やレトルトカレーが話題になりがちですよね。滞在途中で私のYouTubeでもスポーツ飲料やお茶は紹介しました。コーヒーや紅茶に関しては、実はNASAの方で、かなりのバラエティを持っています。嗜好品ですから、皆さんそれぞれ好みが違うわけです。コーヒーひとつとっても、40種類もバリエーションがあります。
――そんなにあるんですか!
日本&海外の宇宙飲料事情
――ちなみにコーヒーや紅茶は、個人の好みもあるのでしょうけれど、基本的には全員で共有していて、その中にバリエーションが用意してあって各自好きなものを取るという形ですか。それとも個人持ちでしょうか?
野口:実は最近、変わりました。昔は共有で、個人の好みとは関係なく、「コーヒーの棚はココ、紅茶はココ」という形だったんですけど、このコーヒー・紅茶の共有というのは、いまやなくなっています。好みが非常に細かくなってきて、それに対応できるようになっていますから、自分のコーヒーは自分で持っていく、と。
宇宙食のブラックコーヒー。この中身はハワイ・コナのインスタントコーヒーで、お湯で溶いて飲む(画像:JAXA/NASA)。
――進化しているのですね。私の知識は古いままでした。
野口:たとえば半年間でコーヒーを8箱、宇宙ステーションに運んでいたとしましょう。昔はぜんぶ共有でしたが、今は各自が1箱、自分好みのものを選べるというようになっています。私がISSに滞在していた時は半年で7人が同居していましたから、だいたいひとり1箱という計算ですね。以前と運ぶ総量としては変わっていないものの、自分が納得したものを持って行けるようになったのが大きな違いです。たとえば、コーヒー好きといっても皆さん微妙に違いますよね。そこにちゃんと対応できるようになってきています。
――それでは、たとえばミルクのありなしといったオーダーもできるのでしょうか。
野口:そうですね、ミルクのありなし、甘味料では砂糖が良いのか、人工甘味料が良いのか、そんなところまで宇宙に行く前に選べます。
過去には「エスプレッソマシン」の稼働も!?
インタビュー後、あらためて現在の日本宇宙食について調べたところ、三井農林の粉末緑茶と粉末ウーロン茶、大塚製薬のイオンドリンク、森永製菓の森永ミルク生活(宇宙用)が認定されていることがわかりました。宇宙空間では毎週、定期的にゴミの収集があるわけではないため、可能な限りゴミを出さないのは大事な要素です。それもあって、お湯や水で溶かす、茶殻などが出ない粉末タイプとなったとのことでした。
水供給装置(PWD)から宇宙日本食のひとつ、粉末緑茶にお湯を注入する金井宇宙飛行士(画像:JAXA/NASA)。
まず、通常食として粉末の果物ジュース(オレンジジュース、いちごジュース、グレープフルーツジュースなど)が用意されています。コーヒーや紅茶も、豆や葉から淹れるものではなく、粉末(インスタント)になっています。
ただし例外もあります。2015(平成27)年から2017(平成29)年にかけ、イタリア宇宙機関の実験として、エスプレッソマシンが持ち込まれて実際にISSでコーヒーが豆から淹れられたことがありました。ISS(国際宇宙ステーション)とエスプレッソ(Espresso)をかけて「ISSpresso(アイエスエスプレッソ)」と名付けられたこの機械は、ともにイタリアに本拠地を置く航空宇宙メーカーのアルゴテック(Argotec)と、コーヒー関連製品メーカーのラバッツァ(Lavazza)が共同開発したもので、コーヒー豆の詰まった専用カプセルをセットして使う本格的なものでした。さしずめ宇宙版「ネスプレッソ」といったところでしょう。なお、無重力に対応するコーヒーカップもあわせて開発され、通常は飲料用のバッグに注ぐところ、この専用カップでコーヒーを飲む宇宙飛行士の写真も公開されています。
食べ物と飲み物は対をなす楽しみですが、飲み物だけ見てもこれだけ進歩していることがわかります。技術的には、宇宙で毎朝、自分好みのコーヒーをコーヒーマシーンで淹れることや、こだわりの茶葉で紅茶を楽しむことができるようになっていますが、物資を運ぶのに多額のお金が掛かるほか、生存に必要な物資や実験機材の優先順位が高くなること、そして廃棄物を減らす必要性から、常時楽しむのはまだ難しいようです。
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