鳴り物入りで登場したのに…「日本車キラー」と呼ばれたアメリカ車なぜ消えた?「トランプ大統領よ、勉強して!」
- 乗りものニュース |

アメリカ車は「売れない」と言われていますが、日本人のニーズに合致すれば人気を掴むことは可能です。過去には単に価格が安いというだけで売れずに撤退していったアメリカ車がありました。
アメリカ車が日本で売れないのは本当か?
ドナルド・トランプ米大統領は、日本でアメリカ車が売れていないことを問題視して批判を続けています。しかし、日本人の間でアメリカ車の人気がまったくないかといえば、そんなこともありません。
北米仕様のダッジ「ネオン」4ドアセダンのリアビュー。北米市場ではダッジとプリマスの両ブランドで販売された「ネオン」だったが、日本市場ではクライスラーブランドで販売された(画像:クライスラー)。
2024年、ジープは約9500台を販売して輸入車販売台数ランキングで8位に入っていますし、大型自動二輪のハーレー・ダビッドソンは15万1200台を販売して輸入バイクの新規登録台数首位に君臨しています。
結局のところ、国産車にはない個性と魅力、良好なブランドイメージ、右ハンドル化などの市場要求に従ったローカライズ、充実したサービス体制、適切な価格設定などといった要件を満たしていれば、アメリカ車であっても日本で人気を掴むことは可能といえるでしょう。
翻ると、これらの要素が欠けていた場合、日本でのヒットはおぼつかなくなります。過去には国内で使いやすいサイズ・排気量にも関わらず、残念ながら売れなかったクルマもありました。その代表車種が1996年から日本市場で販売を開始したクライスラー「ネオン」です。
もともとこのクルマは、北米市場を席巻していた日本車や韓国車のエントリーモデルに対抗して、それまで中古車しか購入できなかった低所得者層をターゲットに1994年から販売を開始した小型車になります。徹底したコスト削減により、アメリカ本国ではエアコンなしのベースモデルが8975ドル(当時の為替レートで91万5450円)で販売されていました。
1990年代の日本は円高の影響で輸入車への関心が高まっていた時期ということで、フォード「トーラス」や「マスタング」、シボレー「カマロ」、ジープ「チェロキー」などが円高還元セールとして新車価格の引き下げを行っており、価格の安さとアメリカ車らしい個性が受けて人気を博していました。そのようなブームに乗ってクライスラー「ネオン」も日本に上陸したのです。
低価格がウリの「日本車キラー」でも太刀打ちできず
「ネオン」の最廉価グレード、「SE」の販売価格は129万8000円(当時)でしたが、これは新車価格の安さをアピールするために装備を大幅に削った仕様で、エアコンなどを備えると149万9000円(同)となりました。
北米仕様のプリマス「ネオン」4ドアセダン(画像:クライスラー)。
装備を充実させた中間グレードの「LE」が163万9000円(同)、本革シートなどを備えた最上級グレードの「LX」が179万9000円(同)と、同クラスの日本製セダンよりもやや安いプライス。ちなみに日本に正規輸入された「ネオン」は全車右ハンドルでした。
導入当初、「ネオン」の価格の安さに注目した日本のマスコミは「日本車キラー」と称して脅威を煽りました。しかし、もともとこのクルマの出自は、日本の軽自動車のような安価な小型車ということもあり、仕上げや品質の面では同クラスの日本車に遠く及ばず、装備面でもATは3速、空調は上級グレードでもマニュアルエアコンのみ、ABSは中間グレードからオプションで選択可能と、装備面で見劣りを感じる内容でした。
その結果、鳴り物入りで登場した割に初代「ネオン」の販売は低迷、1999年9月に2代目へとバトンタッチします。この2代目モデルは販売グレードを最上級モデルの「LX」に絞り、内外装の品質を向上させましたが、販売価格が215万円に値上げされたことからほとんど話題にならず、2年ほどでカタログから落とされています。
じつは筆者(山崎 龍:乗り物系ライター)は、初代「ネオン」を愛用していた時期があります。購入は2005年頃で、アシに使える安価な中古車を探していたところ、たまたまネットオークションに出品されている「ネオン」を見つけて入札。落札金額は車検が1年半残った状態で5万円でした。
筆者の手元に来た「ネオン」は最廉価グレードの「SE」で、珍しいMT車でしたが、オプションのエアコンは装着されていました。走行距離は約5万kmで、程度は中の上といったところ。車体後部に事故歴があるのを承知で購入しましたが、キチンと修復されていたのでクルマとしての機能に問題はありませんでした。
「ネオン」じつはそんなに悪いクルマじゃなかった?
「ネオン」のキャブフォワードデザイン+丸目ヘッドライトのスタイリングはなかなか個性的で好ましく思ったものの、日本車と比べるとチリ(隙間や段差、面のずれ)にはあまり関心が払われておらず、内装はプラスチック多用で安っぽく、インパネやドアトリムのクオリティは軽トラック並みでした。また、アメリカ車にもかかわらずシートの作りが悪いため、2時間ほど運転していると腰に痛みを覚えました。
筆者の愛車だった1996年型クライスラー「ネオン」。2005年頃、ネットオークションに出品されていた中古車を5万円で落札した。廉価グレードの「SE」で日本では珍しいMT車。故障もなく、燃費も良好でアシとして大変重宝した。2年間で1万5000kmほど乗って手放したが、買った時よりも2万円高い7万円で売却することができた(山崎 龍撮影)。
運転感覚は、ホンダの5代目「アコード」に似てハンドリングは意外にもシャープでした。足回りは乗り心地と走行安定性のバランスがよく、街乗りでも高速走行時でも可もなく不可もなくという印象でした。また、エンジンは低回転域から必要にして充分なトルクを発生させることから運転はしやすかったです。筆者は2年ほど所有しましたが、その間に大きな故障はありませんでした。
「ネオン」の最大の長所は燃費性能で、2000ccというエンジン排気量にもかかわらず街乗りで燃費10km/Lを割ることはなく、高速道路を使った場合は14~16km/Lにも達しました。アメリカ車というと燃費最悪、いうなれば「ガスガズラー」との印象を持つ人が多いでしょうが、ことガソリン車に限ると、意外なことに燃費性能では同クラスの日本車や欧州車を上回る車種も多いのです。
ネット上では「軽自動車に劣る性能で満足に走らない」「小型車なのにガソリンをカブ飲みする」「故障ばかりでロクに乗れない」などと揶揄されることが多かった「ネオン」ですが、それらは根も葉もない流言の類ではないかと、実際に乗り回していた筆者からすると感じます。なお、そのような書き込みをする人の多くは、実際にはこのクルマの運転経験がないまま面白おかしく、ハナシを盛って書いているのではないでしょうか。
このクルマを例えるなら「ボタンや使っている生地は安物だが、ボタンのかけ違いのないファストファッションのようなクルマ」ということになるのでしょう。「ネオン」が日本で売れなかったのは、日米のユーザーが2000ccクラスの乗用車に求めるニーズの違いだったのだろうと、いま振り返ると感じる次第です。
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