次世代戦闘機の開発「参加国は増やせますけど…」イタリア側代表が語る“条件”とは? 従来機との根本的な違いを聞いた(後編)
- 乗りものニュース |

2025年5月21日から23日にかけて幕張メッセで開催された「DSEI Japan 2025」。そこで、筆者は日英伊共同開発の次世代戦闘機「GCAP」について、イタリアのレオナルド社幹部にインタビューを実施しました。
そもそも「GCAP」とは何か
前回に引き続き、DSEI Japanにおいて実施した、イタリアのレオナルドでGCAP上級代表を務めるエドアルド・デ・サント氏への単独インタビューの内容をお伝えします。
レオナルドが公開したGCAPの最新イメージ(画像:レオナルド)。
まず、GCAPは単なる戦闘機ではなく、有人戦闘機を中心として無人機や衛星などとも連携する「システム・オブ・システムズ(システムの統合化された集合体)」であるとされています。その意味するところについて、デ・サント氏はこう語ります。
「GCAPをシステム・オブ・システムズとして捉え、理解してくださっている点は非常に重要で、まさにそれがGCAPの新たなコンセプトです。これは、単に飛行能力とセンサー、そしてネットワークによる連接性を有する航空プラットフォームではありません。むしろ、それを超えた『進化する存在』なのです。
第6世代戦闘機とは、センサーフュージョンの実現、複数プラットフォームの統合運用、そして防衛環境に存在するすべてのリソースを活用するという思想に基づいています。そしてこの要件は、各国政府が新たな脅威を特定し、その脅威に対応するために必要とされる機能や性能に基づいて定義されています。
また、これは従来の『固定化された要求に基づいて製品を提供する』というパラダイムを変えるものでもあります。今後は、要求そのものが時間とともに進化していくという前提のもとで、対応力のあるシステムが求められるのです。つまり、脅威が進化するにつれて、それに対応する手段も同様に進化しなければならないということで、まさに我々が構築しようとしているシステム・オブ・システムズはこのような考え方に基づいて設計されています。
もちろん、その中核にはプラットフォーム、すなわち航空機が存在します。航空機は、あらゆる機能を統合的に管理する中枢であり、したがって設計の起点となるべきものです。現時点で、GCAPは有人戦闘機開発計画として認識されていますが、しかし実際にはそれだけではありません。つまり、『機体』だけがGCAPの全てではないのです」
パイロットの意見をどう反映する? GCAPの「意見集約」の仕組みとは
さらに、状況に合わせて進化していくのは、GCAPそのものだけではないとデ・サント氏は指摘します。
レオナルドのエドアルド・デ・サントGCAP上級代表(稲葉義泰撮影)。
「このような設計思想は、将来的にJV(GCAPを開発するための合弁企業)自体が進化し、また防衛産業を取り巻く環境や重心も変化していくことを意味しています。産業全体が必要とするあらゆる要素を初期設計の段階から統合できるようにする、それが目指すべき方向性です。
つまり、『後から取り入れる』のではなく、『最初から取り入れられる設計』にしなければならないのです。外部からのインプットや新技術を受け入れることができる『オープン・マインドな設計』が必要であり、私たちはまさにその方向で動いています。現時点では、GCAPは『先進概念設計段階(Advanced Concept Phase)』にありますが、この段階からすでに、あらゆる要素がどのように統合的に関与できるかを意識して設計作業を進めています」
また、GCAPにおいて気になるのは、開発に携わる3か国のパイロットたちの要求をどのように反映していくのかという点です。これについて、デ・サント氏は次のように語ります。
「そうした要求はすべて、機体開発の初期段階から組み込まれています。なぜなら、パイロット自身がGCAPにおける『運用要求管理者(Requirements Manager)』として、開発に関与しているからです。
政府機関(GIGO)に所属しているのは、各国のパイロットスクール出身の現役、もしくは元パイロット達であり、彼らは最初の段階から『こういう機体であってほしい』という要望を持ち寄っています。たとえば、『どう操作したいか』『コックピットはどう設計すべきか』『飛行中に何が必要か』といった具体的な要求です。
こうした要求は、国・政府・産業界の三者による『フロントエンドの協業(初期段階からの共同設計)』という形で集約されます。つまり、日本、イギリス、イタリアのそれぞれのパイロットコミュニティから提出された要求が「要求テーブル(Requirements Table)」に集められ、それを産業側の設計エンジニアリング部門が受け取り、実際の機体設計に反映していくのです。
このプロセスによって、航空機は3か国の要求を起点にして設計されており、これらは単に統合されるだけでなく、『初めから設計に組み込まれている(ビルトインされている)』のです。日本、イタリア、イギリスの各国の要求は調整・統合され、最初の設計段階から反映されています。そしてこれは今まさに現在進行形で行われており、各国の要求は日々、共同設計に反映され続けているのです」
パートナー国「増やせますけど…」 担当者が語る必須の条件とは
最後に、最近話題となっているGCAP参加国拡大の可能性について伺いました。デ・サント氏によると、パートナー国を増やすこと自体は可能ながら、それにはある条件があるといいます。
「現時点での協力体制は、ご存じのとおり、日本・イギリス・イタリアの3か国の政府および産業界によって構成されています。ただし、協力の可能性は常に存在しています。重要なのは、その実現方法を見つけることです。現在、各国政府間で協議が行われていることは承知しています。これは基本的に政府主導のプロセスであり、各国がどのような形で協力が可能かを模索しています。
このようなプロセスは段階的に進めていく必要があります。仮に政府間で何らかの合意が形成されれば、次は産業界に対しても『協業体制を構築せよ』と要請が来るでしょう。その際、我々産業側も協議を行い、『協業が可能かどうか』、また『どのような形態であれば現実的か』を検討することになります。原則として、協力は常に可能です。ただし、そのためには適切な方法論と制度設計が必要です。
協力にはさまざまなレベルやパートナーシップ形態があります。それは、各国・各企業が持つ能力や役割に応じて異なるでしょう。ですが、協力とはあくまでプログラムの効率性を高め、成果の迅速な実現を促進するものでなければなりません。つまり、それは価値を加え、進捗を加速するものであり、逆に非効率や障害を生むようなものであってはなりません」
開発参加国をやみくもに増やすことにより、かえって開発の難航を招くことは火を見るよりも明らかです。そこで、「どうすれば開発を加速できるか」という視点を常に持つことが重要であるとデ・サント氏は説いています。
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