53％以上の日本人が「不愉快で許せない」と嫌悪感を露わに、多くの人が問題視するモラルとは

日本には約296万人の外国人が暮らしています（2022年6月末現在）。そんななか、最近では外国人への人権侵害や差別的な発言などが問題視されることもしばしば。外国人差別は海外だけの問題ではないと実感するようになった人も多いのではないでしょうか。子どもが差別意識を抱かないためにも、日頃から関心を向けていきたいですね。

日本にいる外国人の人権問題をどう思う？

外国の文化が好きだったり、外国人の友人がいるという人も少なくないでしょう。その一方で、古今東西問わず「外国人差別」というものが存在します。では、身近なところで、外国人への人権問題を感じることはあるのでしょうか。そこで、内閣府が行った「人権擁護に関する世論調査」でのアンケート調査をご紹介します。

外国人の人権問題で多く見られるのは

外国人に関する人権問題
内閣府「人権擁護に関する世論調査」より

「日本に居住している外国人に関して、体験したことや身の回りで見聞きしたことで人権問題だと感じたこと」があるかを尋ねた結果、次のようになりました。

「特にない」を除いたなかで最も多かった回答は「風習や習慣などの違いが受け入れられないこと」（27.8％）でした。外国人は日本人とは異なる文化を持つことが当たり前ですが、外国人の習慣が尊重されない場面は少なくないようです。

また、それに伴って「就職・職場で不利な扱いを受けること」（22.1％）などが重なる場合も少なくないことが想像されます。そのほか「差別的な言葉を言われること」（19.5％）、「職場、学校などで嫌がらせやいじめを受けること」（19.1％）などが挙げられました。

ヘイトスピーチを見聞きしたことはある？

ヘイトスピーチを見聞きした経験
内閣府「人権擁護に関する世論調査」より

特定の民族を排斥するような、不当で差別的な言動のことを指す「ヘイトスピーチ」。外国人に対する人権問題の1つですが、ヘイトスピーチについて見聞きしたことがあるかを尋ねたところ、「テレビ・ラジオや新聞、インターネットなどの報道で見たり聞いたりしたことがある」という回答が最も多く、半数以上に上りました。また、「見聞きしたことがない」という人は3割弱。直接的な経験を持つ人はそれほど多くないのかもしれません。

しかし、「インターネット上の書き込みを直接見たことがある」は15.4％、「デモや集会、街宣活動などで直接見たり聞いたりしたことがある」は13.7％となっており、身近にヘイトスピーチを目にしたことのある人も一定数いることがわかりました。

ヘイトスピーチは「不愉快で許せない」人が多数

ヘイトスピーチに対する意識
内閣府「人権擁護に関する世論調査」より

では、人々はヘイトスピーチをどう思っているのでしょうか？

報道やインターネット、デモや集会、ポスター、家族・友人からの情報など、何らかの形でヘイトスピーチについて見聞きしたことがある人を対象に、「ヘイトスピーチについて見聞きして思ったこと」を聞いた結果が以下のとおり。

53.6％の人が「不愉快で許せないと思った 」と回答しています。また、44.0％の人が「日本に対する印象が悪くなると思った」と答えていて、「ヘイトスピーチ」そのものに嫌悪感を抱いている人が多いことがわかりました。

ただし、「「表現の自由」の範囲内のものだと思った」や「ヘイトスピーチをされる側に問題があると思った」と回答した人も約1割に。こうした考え方が、ヘイトスピーチや外国人差別を助長してしまう可能性もあるのではないでしょうか。また、「自分には関係ないと思った」と感じた人は8.3％ですが、こうした無関心にも気を付けたいものです。

まとめ

島国ゆえか、どちらかというと閉鎖的な日本。それはもともと住んでいる人たちには居心地がいいと感じられることかもしれませんが、いまや、外国から来ている人たちも社会の重要な一員となっていることは確かです。それにもかかわらず、日本人ではないから、言葉や肌の色、文化が違うから、といった理由で差別をすることは、無くしていかなければなりません。外国人を差別する大人を見た子どもは、そうした態度が正しいものだと思ってしまいます。それは間違っていることなのだと、しっかりと伝えていきたいですね。

（マイナビ子育て編集部）

※画像はイメージです

調査概要

■人権擁護に関する世論調査／内閣府
調査対象：全国18歳以上の日本国籍を有する者3,000人（有効回収数1,556人）
調査時期：令和4年8月4日から9月11日
調査方法：郵送法（配布：郵送、回収：郵送またはインターネット回答）

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