【東京無人島めぐり】ミクロネシアから流れ着いた「小さな旅人」がかつて生息 日本最東端の孤島「南鳥島」をご存じですか
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日本最東端の島
日本最南端の場所は、以前この連載でも取り上げた沖ノ鳥島。最西端は沖縄の与那国島、最北端は北海道の択捉島です。では、最東端の場所は?
正解は、東京都小笠原村に属する南鳥島です。

この島はハワイと同じ太平洋プレートの上に乗る日本で唯一の場所。1864(元治元)年に米国船モーニングスター号が来訪した際「マーカス島」と命名されたため、アメリカでは現在もその名で呼ばれることがあるようです。
1993年までアメリカ沿岸警備隊が管理
現在、船舶・航空機ともに民間の定期便はなく、政府職員が25人ほど生活をしています。
その内訳は、南鳥島気象観測所で働く気象庁の職員が10人、飛行場の維持管理や国境地域における警備活動を行う自衛隊員が10人、港湾施設の整備・維持管理を行う関東地方整備局の職員が3人ほど。
彼らは寄宿舎で生活しながら任務にあたっており、政府職員の移動には自衛隊や海上保安庁の航空機が使われています。

以前この島には、船舶や航空機で利用されてきた電波航法システム「LORAN」の施設があり、1993(平成5)年まではアメリカ沿岸警備隊が管理を担当していました。
当時は自衛隊員との野球の試合が滑走路で行われていたほか、親善パーティーも定期的に開催されるなど、日米の親善が図られていたといいます。その後、アメリカ沿岸警備隊は撤収。LORAN施設の管理は海上保安庁が引き継ぎましたが、のちに施設自体が廃止されました。
起伏の少ないフラットな地形
また、作家の池澤夏樹はアメリカ沿岸警備隊が島にいた当時、南鳥島に渡る貨物船に乗船。島での体験を「南鳥島特別航路」に記しています。

池澤によると、船が出るのは金曜の夜。翌週火曜の早朝に到着するという、実に80時間の船旅だったそうです。「南鳥島特別航路」の中で、島の様子を池澤はこのように描写しています。
「海岸に沿って島を一周してみる。全周囲を砂と小石の浜が取り巻いており、断崖やマングローブの浜はない。全体に植生は単純で、トベラの類か、一種類の灌木が島全体を覆っている。ココヤシとパパイアが少々あるのは人が植えたものだろう。ハイビスカスとブーゲンビリアは庁舎の前にそれぞれ1株ずつ。島の西側、滑走路のすぐ近くにアジサシが集団で営巣しているところがある」
池澤によると、島は起伏の少ないフラットな地形。そのため台風の際にはすさまじい突風にさらされたといいます。
気象庁の南鳥島気象観測所のウェブサイトによると、電気は発動発電機で発電しており、燃料は年に一回船で運搬。生活に使う水は海水から塩分を除き消毒して使用しているそうです。そうした技術がなかった時代、この島で暮らすことは困難を極めました。
アホウドリが群生
厳しい環境にもかかわらず、この島にはかつて集落がありました。
小笠原諸島の父島で雑貨商を営み、サイパンなどと交易を行っていた水谷新六が南鳥島に降り立ったのは1896(明治29)年のこと。
当時、ヨーロッパではアホウドリの羽毛が高値で取引されていたため、一獲千金を狙った男たちが太平洋の島々を巡っていましたが、水谷新六もそうした男のひとりでした。彼は南鳥島の一角にアホウドリが群生していることを知ると、母島の島民23人を移住させます。

1898年7月には南鳥島という正式名が付けられ、東京府小笠原村に属することになります。
また、同年には南鳥島全体が10年間の期限付きで水谷に貸し付けられることになり、1902年5月には島に水谷村が開村。アホウドリの羽毛のほか、鳥糞(グアノ)やヤシ油の採取が島の産業となりました。
島内に残る戦争の記憶
大正末期までは島の産業も大規模なものでしたが、赤痢などの伝染病や高潮の被害をたびたび受けたことから、1933(昭和8)年には全島民が撤収。再び無人島となりました。島で亡くなった人々の魂を鎮めるための「忠魂の碑」が現在も残っているといいます。
太平洋戦争の際には海軍および陸軍の部隊が配備され、たびたび米軍機による空襲が行われました。1943年9月の空襲では島の施設の70%以上が破壊され、食糧不足から栄養失調で亡くなった者も。
南鳥島における戦死・戦病死者の数は191人。現在でもトーチカや防空壕(ごう)が当時のまま残されており、戦争の記憶を現在に伝えています。
なお、南鳥島にはかつてミナミトリシマヤモリというヤモリが生息していたといいます。ただし、南鳥島では近年生存が確認されておらず、繁殖集団が消滅したと考えられています。

もともとはミクロネシアから流れ着いた流木にしがみついてきた個体が繁殖したとされており、国内では唯一、南硫黄島で生息が確認されています。小さなヤモリが流木にしがみつき、大海原を何百kmも渡ってきたなんて、なんともスケールの大きな話です。
●参考文献
・池澤夏樹「南鳥島特別航路」(新潮文庫)
・小笠原村公式サイト
・気象庁南鳥島気象観測所ホームページ
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