まるで高速道路を“森林”に!? コンクリに塗れば「CO2をめっちゃ吸収する」魔法の溶剤がスゴイ!
- 乗りものニュース |
各方面でCO2の削減が模索されるなか、大手ゼネコンが特徴的なアプローチで課題解決に挑んでいます。既存のコンクリートがまるで樹木のようにCO2を吸収するようになるという溶剤です。
高架橋が森になる?画期的アプローチの溶剤
2024年4月から5月にかけ、東京都が未来へのテクノロジーやアイデアを集めたイベント「SusHi Tech Tokyo 2024」を開催しています。5月12日からは海の森エリア(中央防波堤)にて、再生可能エネルギーや環境改善・資源循環などの新技術の展示が21日まで行われています。
コンクリートの橋脚と橋桁で構成される高速道路のイメージ(画像:写真AC)。
そのなかで、「小瓶に入った透明の溶剤」と「コンクリートの小片」という、かなりミニマムなアイテムを小さなブースに展示していたのが、ゼネコン大手の清水建設です。同社が打ち出していた技術は、まさにこの透明の溶剤。
「DACコート」と呼ばれるこの溶剤をコンクリートに塗ると、大気中のCO2(二酸化炭素)の吸収を活性化させ、コンクリート内部に固定化させるといいます。
担当者曰く、森林がCO2を吸収するのと同じように、道路の橋脚などのコンクリート構造物がその役割を果たすのだそうです。
これを塗布することで、CO2固定量は1.5倍以上となり、橋脚10本(コンクリート3000立方メートル相当)で、スギの人工林1万ヘクタールと同じ年間約9トンのCO2を固定するのだとか。
近年、工場や船舶などからの排出CO2を回収して輸送し、コンクリートに吸着させる取り組みが検討されています。CO2はコンクリート構造物に炭酸カルシウムとして固定化されるそうですが、「コンクリートの生産工程でCO2を吸収させるのは、内部の鉄筋を腐食させることが課題」なのだとか。
それに対し、DACコートを塗るとアミン化合物の防食作用により、むしろ鉄筋の腐食速度が50分の1に抑制され、耐食性は約1.5倍に向上。既存コンクリート構造物そのものの耐久性向上につながるといいます。
清水建設は2026年頃の実用化を目指してDACコートの開発を進めているものの、問題は「塗り方」だそう。建設業の担い手が減少するなかで、橋脚や橋桁へどう効率的に塗布するかを模索しているといいます。
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