令和の「デコトラ」カスタム、いったいナニが売れてるの? デコトラ専門ショップに売れ筋を聞いてみた 「臆することなく来て」
- 乗りものニュース |

「高度経済成長期」を支えたトラック運転者が思い思いにデコレーションしたのが起源
今も昔も、高速道路や国道を“彩る”存在のひとつが「デコトラ」です。今日では法令の規制が厳しくなったこと、また個人でトラックを所有する運転者が減ったことから、ひと昔前ほどデコトラを見かけなくなりました。しかし、コアな世界は今も深く熱く健在です。
今も昔も根強いユーザーがいるデコトラの世界(画像:トラックアート歌麿)
門外漢にとっては、デコトラの「カッコ良い・良くない」の基準がわからないのも正直なところ。そこで今回はデコトラユーザーたちから熱い視線を浴びるカリスマデコトラショップ、トラックアート歌麿本店(群馬県伊勢崎市)を訪ね、筆頭の売れ筋商品から、その深い様式美を探ることにしました。
本題の売れ筋商品を紹介する前に、まずデコトラの変遷を紹介します。
1960年代以降の「高度経済成長期」の日本を、物流面で支えたダンプやトラック。こういったトラック運転者の一部が、自分の車両に思い思いのカスタムを施し全国を駆け巡り、同業者たちに派生していったのがデコトラの起源と言われています(諸説あり)。
また、こういったトラック運転者たちのドラマや思いに感銘を受けた俳優の菅原文太、愛川欽也自らが、東映に映画化の企画を持ち込み実現したのが、1975年に第1弾が公開された『トラック野郎』シリーズです。同映画の大ヒットと合わせて、全国へとデコトラブームが派生しました。
以降、専門誌が刊行されたり、スタイルが多様化したり、法令の改正で思うようなカスタムができなくなったりと、紆余曲折と進化を重ねながら60年以上の歴史を重ねています。
こういったデコトラシーンの一端を支えてきたのがトラックアート歌麿や、各地にあるカスタムショップやパーツ専門店。1985年創業のトラックアート歌麿では、今どんなカスタムアイテムが売れ筋なのでしょうか。
ド定番アイテムから、トラック運転ならではの実用アイテムまでの売れ筋5選
トラックアート歌麿スタッフの堀口 透さんに売れ筋5つをピックアップし紹介してもらいました。
デコトラユーザーたちからカリスマ視されるカスタムショップ、トラックアート歌麿本店(2026年、松田義人撮影)
●マーカーランプ
「もともとは、車体の輪郭やサイズを他のドライバーに認知させるために小型ランプが装備されていました。それが、やがてドレスアップアイテムに転じられていったものです。車体の側面や荷台部のフチに装着することが多く、レンズ形状も星型、ハート型などもあります。また、近年のマーカーランプはほぼ全てLED化されていて、視認性が格段にアップしています」
●シフトノブ
「トラック車内の雰囲気を華やかにしてくれるシフトノブも人気です。定番の水中花タイプは今も人気ですが、実は1970年代の乗用車のカスタムに用いられていたものがルーツと言われています」
●ハンドルカバー
「ノーマルハンドルよりもカバーをつけて太くすることで、長距離の運転でも楽になります。今も変わらぬ売れ筋アイテムの一つです。カバーのスタイルもいくつかあり、光沢感あるエナメルのキルトステッチが特徴の『キルトタイプ』、伝統的な織り生地を使った『金華山タイプ』など、シフトノブと合わせて買われていくお客さまが多いです」
●安全窓
「トラックの助手席側のドア下部にある死角確認用の窓を覆う板です。視界を遮るため、公道走行はできませんが、イベントなどでのカスタムドレスアップ用として人気です。自社開発のウロコステンレスのタイプが一番よく売れています」
●ロールスクリーン
「一昔前のトラック用のスクリーンは、虫除けネットみたいにパチっとはめて使うタイプが主流でした。しかし、ETCのない料金所などでは、チケットを受け取る際や通行料を支払う際にかなり手間がかかるので、考案されたのがこのロール式のスクリーンです。長時間の運転で受ける日差しを軽減できることもあり、実用アイテムとして売れている商品です」(堀口さん)
※ ※ ※
ここまでの堀口さんの紹介を聞き、いまのデコトラの売れ筋アイテムは、トラック運転者ならではの事情を解消するものや、実用部品を進化させた物が多いように思いました。
トラックアート歌麿は、実は伝説の四輪カスタムショップが前身
実はトラックアート歌麿の前身は、1980年代の日本の四輪チューニング黎明期に名を馳せた伝説的カスタムショップ・死喰魔(しぐま)です。まだカスタム車が珍しかった時代にワイドボディにカスタムしたフェアレディZで陸運局の公認を取得し、当時の自動車業界、四輪ファンの度肝を抜いたことで知られています。
「その時代のお客さまの中に、トラック運転者の方がいらして『こういうパーツを入れてくれないか』といった要望が増えていったと聞いています。それで、デコトラ専門のカスタムショップに転じることになったのが始まりです」(堀口さん)
創業時はデコトラユーザーが多く、おおいに人気を博したトラックアート歌麿。カリスマショップとしてユーザーから熱い視線を送られ、デコトラシーンの盛り上がりの一端を担い続け今日に至ります。ただし、創業時と今とでは、状況が変わったとも。
「まず大きいのが、かつてのように大型トラックを個人で購入して、好きなようにデコレーションする人が減ったということです。
中古車にしても高騰傾向が続いていて、大型トラック1台の冷凍車になると、1台4000万円するケースも珍しくなくなりました。高額な大型トラックを個人で購入できる人は限られていて、ほとんどが運送会社所有のトラックを、運転者として乗るというケースが大半になりました。
中には『自分のモノではない、会社のクルマでも好きなようにカスタムしちゃう』という運転者の方もいますが、圧倒的に少数派だと思います。今、デコトラを楽しまれる方は、『仕事用のトラックをカスタムする』よりは、趣味的に小型トラックなんかをカスタムするケースが多くなりました。法令の問題もあるので『デコトラに乗って移動する』というよりも、イベントなどに向けてドレスアップを楽しむお客さまが増えました。
また、デコトラ用のカスタムパーツを乗用車やバイクに流用できないかと相談に来られるお客さまも増えていますよ」(堀口さん)
「多様化するデコトラ文化はもちろん、別カテゴリーのニーズにも応えたい」
言い換えれば、昭和の時代から続くデコトラという様式美が、時代の移り変わりとともに楽しみ方が変わり、そして別カテゴリーからのニーズも増え始めたということでしょう。
取材に応じてくれたトラックアート歌麿の堀口さん(2026年、松田義人撮影)
こういった時代の変化を受けて、デコトラの未来と、トラックアート歌麿のこれからについて最後に聞いてみました。
「デコトラ自体の楽しみ方は昭和時代に比べれば大きく変わりましたが、その分ドレスアップやカスタムも多様化しています。
一時はガンダム仕様のドレスアップが登場して流行ったりした一方、今では1970年代、80年代のレトロな飾りが流行ってきたりとか。また、ヨーロピアンスタイルの情報が入ってきたり、アメリカのコンボイスタイルを好む人が増えたりとか。
こういったデコトラの多様化はこれからももっと進むような気がしますし、さっき言ったようにデコトラユーザー以外のお客さまのご来店やお問い合わせも増えていますので、クルマを問わずどんなニーズにもお応えできるようにしていきたいなと思っています。
結構一般の方からすると『敷居が高そう』と見られがちな店ではあるのですが、臆することなくお店にお越しいただければ嬉しいですね。そして、欲しいものをお探しいただいたり、カスタムの相談を寄せていただければと思っています」(堀口さん)
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