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年末年始に注意したい「3つの感染症」 高熱で重症化、せきが長引く、下痢&嘔吐…感染経路と予防策

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年末年始に流行しやすい感染症は?
年末年始に流行しやすい感染症は?

 冬は気温や湿度が低く、ウイルスや細菌にとって最適な環境といわれています。一方、人間の場合は寒さのために体温が低くなるほか、代謝機能や免疫力も低下するため、ウイルスや細菌に感染しやすくなります。

 特に年末年始は多くの人が外出するため、感染症にかかるリスクが上がります。この時期にはどのような感染症が流行しやすいのでしょうか。また、感染を防ぐにはどのような対策が有効なのでしょうか。事業場向けの産業保健支援を行うエムステージ(東京都品川区)産業保健事業部保健師業務マネージャーで、保健師の本田和樹さんが解説します。

インフルエンザに注意

 冬に流行する主な感染症として、インフルエンザのほか、ノロウイルスによる感染性胃腸炎、マイコプラズマ肺炎があります。主な原因や症状などについて、順番に解説します。

■インフルエンザ
インフルエンザウイルスに感染することによって起きる病気です。一般的な風邪に比べると全身症状を伴うことや、高齢者や小児が重症化する危険性を持ちます。38度を超える発熱のほか、くしゃみや喉の痛み、関節痛、頭痛、筋肉痛などの症状があります。

■ノロウイルスによる感染性胃腸炎
手指や食品などを通じてノロウイルスに感染することによって起きる病気です。感染力が非常に高く、長期免疫が獲得できないため何度も感染します。アルコール消毒や熱への耐性が強いことも特徴の一つです。吐き気や嘔吐(おうと)、下痢、腹痛といった症状のほか、微熱が1~2日生じます。

■マイコプラズマ肺炎
「肺炎マイコプラズマ」という細菌に感染することによって起きる呼吸器感染症です。小児や若い人の肺炎の原因として、比較的多いものの一つです。例年、患者として報告されるもののうち約80%は14歳以下ですが、成人の報告もみられます。発熱や全身倦怠(けんたい)感、頭痛、せきなどの症状が出ます。せきは熱が下がった後も3~4週間程度続くのが特徴です。

感染経路は?

 感染症の主な感染経路は「飛沫(ひまつ)感染」「空気感染」「接触感染」「経口感染」の4種類があります。順番に説明します。

■飛沫感染
感染者のせきやくしゃみ、会話による飛沫(しぶき)を吸い込むことで感染します。

■空気感染
空気中に漂う飛沫核(原因)を吸い込むことにより感染します。また、チリやホコリとともに空気中に舞い上がった感染源を吸い込むことで感染する塵埃(じんあい)感染と呼ばれるものもあり、空気感染に含まれます。

■接触感染
ウイルスや菌が付いた物を触ったその手で顔を触ることで、目や鼻の粘膜からウイルスが侵入し感染します。

■経口感染
病原体に汚染された水や食べ物を口にすることで感染します。

 インフルエンザウイルスは飛沫感染や接触感染、ノロウイルスは経口感染や接触感染、塵埃感染、マイコプラズマ肺炎は飛沫感染や接触感染が原因でそれぞれかかるといわれています。

感染を防ぐためにできることは?

 感染は、感染源、人、感染経路の3つがそろうと成立します。「感染経路を断つ」「個人の免疫機能を高める」という点を意識して感染予防対策を行いましょう。

【感染経路を断つ】
(1)飛沫感染や空気感染への対策
・感染防止と感染拡大防止にはマスクの着用が有効です。

・せきやくしゃみをするときは、直接手で口元を覆わずに、ティッシュやハンカチ、肘の内側で口元を覆い、飛沫が飛び散ることを防ぎましょう。

・換気の悪い場所や混雑した場所は感染源にさらされるリスクが高まります。出向く必要がある場合にはマスク着用に加え、手洗い、うがいを行いましょう。

・窓の開放による自然換気や換気扇などを使用した機械換気を定期的に行いましょう。

(2)接触感染への対策
・汚染された可能性のある手で目や鼻、口の粘膜を触らないようにしましょう。

・手を洗うタイミングと手洗い方法を意識し、手洗いの効果を高めましょう。例えば、「食事の前後」「電車の手すり、ドアノブなど多くの人が触れる場所に触った後」「せきやくしゃみをした後」などに手を洗ってください。

すぐに手を洗えないシーンではアルコール消毒も有効です。ただし、ノロウイルスをはじめ一部のウイルスや菌については、アルコール消毒があまり効かないため、注意が必要です。

【個人の免疫機能を高める】
免疫機能を高めるには生活習慣が非常に重要です。食生活や運動習慣、睡眠習慣を整えましょう。

(1)食生活
ホルモンや酵素、免疫物質など体をつくるもとになるタンパク質、体の調子を整えるビタミンやミネラル、エネルギー源となる脂質や糖質といったように、栄養素はそれぞれ役割をもち、また互いに作用し合います。そのため、特定の食べ物だけ摂取するのではなく、多様な食品を組み合わせることが免疫力を保つために重要です。

(2)運動習慣
適度な運動習慣は免疫力の向上につながります。一方、過度な運動はそれ自体が体にとって負担となり、逆に免疫機能を低下させるため、やり過ぎには注意しましょう。運動強度は息がはずみ、汗をかく程度の運動を週合計1時間、毎週続けることが理想的です。

(3)睡眠習慣
睡眠は疲労回復、脳や体の休養などに欠かせません。良い睡眠が取れているかどうかは“睡眠で休養が取れている感覚があるかどうか”に着目し、睡眠休養感が得られる睡眠時間、睡眠環境、生活習慣を整えましょう。

正しい感染症対策を行い、年末年始を楽しくお過ごしください。

(参考文献)
・令和6年度インフルエンザQ&A(厚生労働省)

・「ノロウイルスに関するQ&A」(厚生労働省)

・「マイコプラズマ肺炎」(厚生労働省)

・「手洗い」(厚生労働省)

オトナンサー編集部

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